【DS 3 クロスバック 新型試乗】合理的とか効率的とか無視して、とにかくマイペース…岩貞るみこ

DS 3 クロスバック
全長4120mm、全幅1790mm。排気量は1.2リットル+ターボで、女性のストライクゾーンに突き刺さるコンパクトSUVである。

本格的なSUVなら200mmはある最低地上高(地面からクルマの下腹まで)は185mmに抑えられていることからも、「凹凸のあるラフロードも、ちょっとくらいならいけるけれど、街中のほうが似合うのよ」という声が聞こえてくる、ってどこから? カタログの数値から。

それを裏付けるのはインテリアだ。ドアを開けたとたん、まぶしさで目がくらみそうな(うそ)ダイヤモンドの数々。座るシートの表皮、インパネまわり、スイッチの数々、目に映るいたるところにダイヤ&ダイヤ。そこもかしこもダイヤをモチーフにしたデザインが散りばめられているのだ。

しかも、こうしたSUV系のクルマはふつう、ちょっとでも荷物を積める雰囲気というか、長距離でゆったり走れることを意識して車内を広く仕立てるけれど、お洒落重視なこのクルマの場合、広さよりデザイン。

運転席と助手席のあいだに並ぶパワーウィンドースイッチなどは、贅沢極まりない土地空間の使い方で、合理的とか効率的とか機能的とかといった最近のキーワードはすべて無視して、かわいくてきれいな方がいいじゃない? というマイペースぶり。

排気音は、1.2リットルの小排気量ながら、排気音は低音でビートが効いたインパクト十分なサウンド。8速AT(!)がエンジンのパワーをうまくつないで、軽快に走る。そして、乗り心地はインテリアのデザイン同様、ソツなく理性的でオリコウでとは異なる、人間味が伝わってくる、機械的な雰囲気の味わいがある。

走りにしても、デザインにしても、ネガティブをつぶすのではなく、いいところを伸ばしていく奔放さがやたら魅力的。ただ、私個人としては、きらっきらなダイヤよりハートマークのほうが好きなんだけれどね。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、ノンフィクション作家として子どもたちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。

(レスポンス 岩貞るみこ)

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