【マツダ3 SKYACTIV-X 新型試乗】スゴイことなんです、この圧縮着火…松田秀士
ガソリンエンジンをディーゼルエンジンのように高圧縮比化。ふつうガソリンの高出力エンジンは11.0で高圧縮比といわれるけれどもSKYACTIV-Xでは16.3という値。どうしてこういうことをしているのか? というと、ガソリンと空気の混合気をうんと薄くして燃やすため。
薄くすればその分燃費が良くなりますね。しかし超希薄というくらいに薄くすると、もうプラグの火花では燃えなくなります。そこでディーゼルのように強烈に圧縮したことによる気体の熱上昇で燃える(爆発)するようにしているのです。これを圧縮着火と呼んでます。
◆量産世界初、マツダ独自の技術
スゴイことなんですこの圧縮着火。ガソリンの場合、世界中のどのメーカーも成功していません。つまり量産世界初。とはいうものの、単純にディーゼルのようにプラグを使わず圧縮のみで着火させているわけではありません。膨張火炎球といって、圧縮着火に誘導するいわば火種のようなものをプラグ点火によって作り、その膨張率とともに圧縮着火に導いています。これによって全体が均質に燃焼する安定した圧縮着火を実現しています。
この方式をSPCCI(火花点火制御圧縮着火)といい、マツダ独自の技術なのです。なーんだ、プラグ使っているじゃない! 確かにプラグを使っていますが、あくまで制御のための道具で、メインは同時に燃える圧縮着火なのです。
◆SKYACTIV-Xに乗ることがステイタスになれば面白い
それを証明して感動したのが、今回の試乗舞台となったドイツのアウトバーンでの超高速試乗。160km/hまでアクセルを踏み込んだけれども、高回転域の6500rpm付近までSPCCIモードで走り続けたのです。SPCCI状態なのか普通のプラグ点火モードなのかは、センターディスプレーに表示されるので一目瞭然。アクセル全開にするとSPCCIを止めプラグ点火モードに移行するのですが、いつ変化したのかわからないくらいにスムーズ。考え方によっては、プラグ点火モードなら混合気も濃いはずなので、もっとパワーを出してほしいと感じました。
ではSPCCIモードではパワー不足かというとそんなことはなく、市街地における極低速域ではマイルドハイブリッドシステムによる電動モーターのヘルプもあるので力不足は感じません。ものすごいパワフルではないけれども、超希薄燃焼のSPCCIモードでの走行が長く、しかも普通にレスポンス良く回るエンジンに感心しました。
おそらく価格は高くなるでしょう。でもなにか米国で『プリウス』に乗ることが環境に心配りするセレブとして流行ったように、SKYACTIV-Xに乗ることがステイタスになれば面白いな、と感じた次第。最後に『MAZDA3』の完成度の高さに改めて驚きました。それは160km/hという高速での直進安定性と室内静粛性の高さです。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践しスーパーGT最年長55歳の現役レーサー。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。
(レスポンス 松田秀士)
薄くすればその分燃費が良くなりますね。しかし超希薄というくらいに薄くすると、もうプラグの火花では燃えなくなります。そこでディーゼルのように強烈に圧縮したことによる気体の熱上昇で燃える(爆発)するようにしているのです。これを圧縮着火と呼んでます。
◆量産世界初、マツダ独自の技術
スゴイことなんですこの圧縮着火。ガソリンの場合、世界中のどのメーカーも成功していません。つまり量産世界初。とはいうものの、単純にディーゼルのようにプラグを使わず圧縮のみで着火させているわけではありません。膨張火炎球といって、圧縮着火に誘導するいわば火種のようなものをプラグ点火によって作り、その膨張率とともに圧縮着火に導いています。これによって全体が均質に燃焼する安定した圧縮着火を実現しています。
この方式をSPCCI(火花点火制御圧縮着火)といい、マツダ独自の技術なのです。なーんだ、プラグ使っているじゃない! 確かにプラグを使っていますが、あくまで制御のための道具で、メインは同時に燃える圧縮着火なのです。
◆SKYACTIV-Xに乗ることがステイタスになれば面白い
それを証明して感動したのが、今回の試乗舞台となったドイツのアウトバーンでの超高速試乗。160km/hまでアクセルを踏み込んだけれども、高回転域の6500rpm付近までSPCCIモードで走り続けたのです。SPCCI状態なのか普通のプラグ点火モードなのかは、センターディスプレーに表示されるので一目瞭然。アクセル全開にするとSPCCIを止めプラグ点火モードに移行するのですが、いつ変化したのかわからないくらいにスムーズ。考え方によっては、プラグ点火モードなら混合気も濃いはずなので、もっとパワーを出してほしいと感じました。
ではSPCCIモードではパワー不足かというとそんなことはなく、市街地における極低速域ではマイルドハイブリッドシステムによる電動モーターのヘルプもあるので力不足は感じません。ものすごいパワフルではないけれども、超希薄燃焼のSPCCIモードでの走行が長く、しかも普通にレスポンス良く回るエンジンに感心しました。
おそらく価格は高くなるでしょう。でもなにか米国で『プリウス』に乗ることが環境に心配りするセレブとして流行ったように、SKYACTIV-Xに乗ることがステイタスになれば面白いな、と感じた次第。最後に『MAZDA3』の完成度の高さに改めて驚きました。それは160km/hという高速での直進安定性と室内静粛性の高さです。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
松田秀士|レーシングドライバー/モータージャーナリスト/僧侶
成仏する直前まで元気でクルマを運転できる自分でいたい。「お浄土までぶっ飛ばせ!」をモットーに、スローエイジングという独自の健康法を実践しスーパーGT最年長55歳の現役レーサー。これまでにINDY500に4度出場し、ルマンを含む世界4大24時間レース全てに出場経験を持つ。メカニズムにも強く、レースカーのセットアップや一般車の解析などを得意とする。専門誌等への寄稿文は分かりやすさと臨場感を伝えることを心がけている。
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