【ルノー トゥインゴ 新型試乗】4ドアと乗り心地の良さが“あのクルマ”との差…島崎七生人
◆より“フツー”の実用コンパクトカーになった
新旧で較べると、灯体が一対あるかないかが大きな差。“ない”新型はデザインのひとヒネリがなくなったが、その分、プレーンなルックスになった。より“フツー”の実用コンパクトカーになった……そんな表明が込められたフェイスリフトだと理解した。
ちなみに外観ではほかに、左側面リヤフェンダー部にインテークが新設されている。今回、エンジンのスペックが2ps向上しており、「吸気系の手直しでおそらくパワーアップしたのだろう」(ルノー・ジャポン)とのこと。
ほかにボディサイドの持ち上がって下がるユニークなプレスラインに沿ったストライプが、ストライプとその上の肩口の面に控えめに広がるドットのグラデーション模様に置き換わった。まだ全色(5色)で実車を見た訳ではないが、いかにもな感じはない、好感のもてるアクセントになっている。
◆「コレでよしとしよう」と思えるキャラクター
インテリアでは、今どきのお約束で、Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応になった。レポーターは普段は使わないが、試乗時に手持ちのiPhoneを接続してみたところ、問題なくミラーリングによりサクサクと操作ができた。7インチタッチスクリーンは十分な大きさで、クッキリとした視認性、タッチ操作時の感度も問題なしだった。
実用面では、リヤゲートのワイパー軸部に新たにオープナー(開閉スイッチとハンドル)が設けられ、直感的に開けられるようになった。室内側は後席と助手席の前倒しで実質2.2m程度(カタログ上の数値は2315mm)の長尺物の積載が可能というから、ホームセンターで急にカサ張る買い物をしても安心だ。
後席だけ倒した状態でも、背もたれがラゲッジ床面とスムースに繋がり、背もたれ側もトリム付きというのも嬉しいところ。また後席を起こした通常の状態でもラゲッジスペースは十分で、日常の買い物で食品のほかにトイレットペーパーや洗剤やドッグフードなど日用雑貨や消耗品をどっさりと買い込んだとしてもなお余裕……そんな感じだ。
後席は背中を押されるような独特の着座姿勢は従来どおり。ドアガラスも前ヒンジのスイング式と割り切ったものだが、実際に乗り込むと「まあ贅沢は言わずコレでよしとしよう」と思えるのは『トゥインゴ』の“車”徳といったところか。
◆フィアット500オーナーならではの視点
走りは例によって爽快なもの。レポーターは現行チンク(フィアット500)のオーナーだが、その立場で断言できる『トゥインゴ』にあって『500』にないモノは、“4ドアと概ねフラットで快適な乗り心地”だ。とくに乗り心地は空車状態で前後450kg/570kgの車重が人が乗った状態で前寄りの荷重が増える訳だが、この変化は小さな『トゥインゴ』ではより影響が大きく、前輪をよりシッカリと路面に食い付かせつつ、前後均等の素直な挙動を生み出している。
タイヤサイズは前後で異なるが、後輪はしっかりと駆動力を伝えていることが手に取るように伝わってくるし、高速走行時の安定感がよく、街中もスイスイと身軽な挙動が味わえるのがいい。4.3mの恐ろしく小さな最小回転半径は、都市部や狭い場所で超ありがたい。
排気量897ccの3気筒ターボは6速デュアルクラッチに助けられ、十分な動力性能と無理のない加速を発揮する。今回の試乗では(不覚にも“スイッチ”の存在を忘れて)終始ECOモードのままで走行したのだが、大きな不満を抱かなかった……といえば、絶対性能の十分さがご理解いただけるだろうか?
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
新旧で較べると、灯体が一対あるかないかが大きな差。“ない”新型はデザインのひとヒネリがなくなったが、その分、プレーンなルックスになった。より“フツー”の実用コンパクトカーになった……そんな表明が込められたフェイスリフトだと理解した。
ちなみに外観ではほかに、左側面リヤフェンダー部にインテークが新設されている。今回、エンジンのスペックが2ps向上しており、「吸気系の手直しでおそらくパワーアップしたのだろう」(ルノー・ジャポン)とのこと。
ほかにボディサイドの持ち上がって下がるユニークなプレスラインに沿ったストライプが、ストライプとその上の肩口の面に控えめに広がるドットのグラデーション模様に置き換わった。まだ全色(5色)で実車を見た訳ではないが、いかにもな感じはない、好感のもてるアクセントになっている。
◆「コレでよしとしよう」と思えるキャラクター
インテリアでは、今どきのお約束で、Apple CarPlayおよびAndroid Auto対応になった。レポーターは普段は使わないが、試乗時に手持ちのiPhoneを接続してみたところ、問題なくミラーリングによりサクサクと操作ができた。7インチタッチスクリーンは十分な大きさで、クッキリとした視認性、タッチ操作時の感度も問題なしだった。
実用面では、リヤゲートのワイパー軸部に新たにオープナー(開閉スイッチとハンドル)が設けられ、直感的に開けられるようになった。室内側は後席と助手席の前倒しで実質2.2m程度(カタログ上の数値は2315mm)の長尺物の積載が可能というから、ホームセンターで急にカサ張る買い物をしても安心だ。
後席だけ倒した状態でも、背もたれがラゲッジ床面とスムースに繋がり、背もたれ側もトリム付きというのも嬉しいところ。また後席を起こした通常の状態でもラゲッジスペースは十分で、日常の買い物で食品のほかにトイレットペーパーや洗剤やドッグフードなど日用雑貨や消耗品をどっさりと買い込んだとしてもなお余裕……そんな感じだ。
後席は背中を押されるような独特の着座姿勢は従来どおり。ドアガラスも前ヒンジのスイング式と割り切ったものだが、実際に乗り込むと「まあ贅沢は言わずコレでよしとしよう」と思えるのは『トゥインゴ』の“車”徳といったところか。
◆フィアット500オーナーならではの視点
走りは例によって爽快なもの。レポーターは現行チンク(フィアット500)のオーナーだが、その立場で断言できる『トゥインゴ』にあって『500』にないモノは、“4ドアと概ねフラットで快適な乗り心地”だ。とくに乗り心地は空車状態で前後450kg/570kgの車重が人が乗った状態で前寄りの荷重が増える訳だが、この変化は小さな『トゥインゴ』ではより影響が大きく、前輪をよりシッカリと路面に食い付かせつつ、前後均等の素直な挙動を生み出している。
タイヤサイズは前後で異なるが、後輪はしっかりと駆動力を伝えていることが手に取るように伝わってくるし、高速走行時の安定感がよく、街中もスイスイと身軽な挙動が味わえるのがいい。4.3mの恐ろしく小さな最小回転半径は、都市部や狭い場所で超ありがたい。
排気量897ccの3気筒ターボは6速デュアルクラッチに助けられ、十分な動力性能と無理のない加速を発揮する。今回の試乗では(不覚にも“スイッチ”の存在を忘れて)終始ECOモードのままで走行したのだが、大きな不満を抱かなかった……といえば、絶対性能の十分さがご理解いただけるだろうか?
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
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