【日産 GT-R NISMO 新型試乗】高級GTとしてさらに進化した2020年モデル…桂伸一
『GT-R NISMO』で走り出すとまずはそのボディ剛性のカタマリ感に驚く。それがカーボンルーフの威力だとすると、硬質感を増した進化だと理解できる。
テストコースはいつもの袖ケ浦フォレスト・レースウエイ。路面の摩擦係数は一般公道と同じ。いわゆるサーキット舗装のようにザラザラとグリップ力が高い性質とは違う。なので、クルマの挙動変化が起きやすく素性が掴みやすい。
◆「弱アンダーステア特性」がひとつの答え
そんな中で、低速から高速まで、速度規制無く全開走行が可能な状況では、例えばステアリングは5mm動かしたら、正確に5mm応答すると言える正確さが速く走るうえで何よりも重要。と言って、鋭いレスポンスでシビアに動き過ぎる訳ではない。基本中の基本である高速直進安定性は高い。
ハンドリング特性を試す意味で、あえてコーナーにオーバースピードで進入してステアリングを切り込むと、ノーズ(フロント)は入り(曲がり)、リアは粘り安定する。そのリアの特性は、弱アンダーステア傾向とも言える。走行モードはRを長押しして、車輌安定装置VDCをOFFした状態でも、微妙にブレーキ制御が介入しているようで極端な挙動変化を起こさない。その制御も関係しているようだ。
サーキットに限らず、公道でもオーバーステアに変化する事は、ロードカーとしては好ましくない。意図したときにできるオーバーステアは善し、と思うものの、600ps/66.5kgmの4WD車を誰もが扱いやすい操縦特性に収めるには、やはりこの「弱アンダーステア特性」に抑える事が適しているのは、R32時代からGT-Rを研究開発して来た日産GT-R部隊のひとつの答えなのかも知れない。
◆高級GTとしてさらに進化した2020年モデル
タイヤのグリップ限界まではニュートラルステア故に、旋回速度は異様に高く、当然強い横Gにさらされて、ヘルメットを被っていないにも関わらず、首や肩へのストレスを強く感じた。
直線速度は本誌試乗記での最高速200km/h(アウディR8)にもう一歩で並ぶ198km/h!! 最終コーナーのアンダーステアに注意しながらアクセルが踏み込めれば本誌最速、最高速も夢ではない。何故かと言うと、割り当てられた周回数がわずか3ラップだったので、その間に操縦性その他を確認しながらではタイム出しの走行時間が無かったため。カーボンブレーキもあえて酷使したが、この程度で変化するハズもない余裕の容量である。
乗りやすい特性はもちろん標準モデルも同様。やはりいかにヒトが操作したことが自然にクルマ側に伝わるか。クルマ側から自然な応答が得られるか、が重要で、そこを重視している。アイドリング時にトランスアクスル部、ミッションからの機械ノイズが気になった従来からすると、音の類も推し沈められた感があり、高級GTとしてさらに進化したものが2020年モデルと言える。
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。
(レスポンス 桂伸一)
テストコースはいつもの袖ケ浦フォレスト・レースウエイ。路面の摩擦係数は一般公道と同じ。いわゆるサーキット舗装のようにザラザラとグリップ力が高い性質とは違う。なので、クルマの挙動変化が起きやすく素性が掴みやすい。
◆「弱アンダーステア特性」がひとつの答え
そんな中で、低速から高速まで、速度規制無く全開走行が可能な状況では、例えばステアリングは5mm動かしたら、正確に5mm応答すると言える正確さが速く走るうえで何よりも重要。と言って、鋭いレスポンスでシビアに動き過ぎる訳ではない。基本中の基本である高速直進安定性は高い。
ハンドリング特性を試す意味で、あえてコーナーにオーバースピードで進入してステアリングを切り込むと、ノーズ(フロント)は入り(曲がり)、リアは粘り安定する。そのリアの特性は、弱アンダーステア傾向とも言える。走行モードはRを長押しして、車輌安定装置VDCをOFFした状態でも、微妙にブレーキ制御が介入しているようで極端な挙動変化を起こさない。その制御も関係しているようだ。
サーキットに限らず、公道でもオーバーステアに変化する事は、ロードカーとしては好ましくない。意図したときにできるオーバーステアは善し、と思うものの、600ps/66.5kgmの4WD車を誰もが扱いやすい操縦特性に収めるには、やはりこの「弱アンダーステア特性」に抑える事が適しているのは、R32時代からGT-Rを研究開発して来た日産GT-R部隊のひとつの答えなのかも知れない。
◆高級GTとしてさらに進化した2020年モデル
タイヤのグリップ限界まではニュートラルステア故に、旋回速度は異様に高く、当然強い横Gにさらされて、ヘルメットを被っていないにも関わらず、首や肩へのストレスを強く感じた。
直線速度は本誌試乗記での最高速200km/h(アウディR8)にもう一歩で並ぶ198km/h!! 最終コーナーのアンダーステアに注意しながらアクセルが踏み込めれば本誌最速、最高速も夢ではない。何故かと言うと、割り当てられた周回数がわずか3ラップだったので、その間に操縦性その他を確認しながらではタイム出しの走行時間が無かったため。カーボンブレーキもあえて酷使したが、この程度で変化するハズもない余裕の容量である。
乗りやすい特性はもちろん標準モデルも同様。やはりいかにヒトが操作したことが自然にクルマ側に伝わるか。クルマ側から自然な応答が得られるか、が重要で、そこを重視している。アイドリング時にトランスアクスル部、ミッションからの機械ノイズが気になった従来からすると、音の類も推し沈められた感があり、高級GTとしてさらに進化したものが2020年モデルと言える。
桂 伸一|モータージャーナリスト/レーシングドライバー
1982年より自動車雑誌編集部にてレポーター活動を開始。幼少期から憧れだったレース活動を編集部時代に開始、「走れて」「書ける」はもちろんのこと、 読者目線で見た誰にでも判りやすいレポートを心掛けている。レーサーとしての活動は自動車開発の聖地、ニュルブルクリンク24時間レースにアストンマー ティン・ワークスから参戦。08年クラス優勝、09年クラス2位。11年クラス5位、13年は世界初の水素/ガソリンハイブリッドでクラス優勝。15年は、限定100台のGT12で出場するも初のリタイア。と、年一レーサー業も続行中。
(レスポンス 桂伸一)
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