【マツダ CX-30 新型試乗】これは日本の大衆車の新たな創造だ…木下隆之
◆これが日本の大衆車サイズだ
ライバルのトヨタ『C-HR』とホンダ『ヴェゼル』ともに全長4400mm以下であり全幅は1800mmを下回る。このサイズ感は、日本の市街地を走るのにはちょうどいい。スーパーマーケットへの買物や駅の送り迎え、もちろん通勤通学でももてあますことのない平均的なサイズ感なのだ。
しかも、セダンやハッチバックよりも着座点の高いSUVは、日本の道では走り易い。視点の高さは視界の良さでもあり、ミニバンやトラックに囲まれた市街地での圧迫感の少なさでもある。もはや日本の大衆車がこのサイズ帯のSUVに移行していることを考えれば、これからの主流になる資格があるといえる。
◆犠牲なく、SUVクーペ感を醸し出す
SUVでありながら、ともすれば過剰になりがちなオフロード感も抑えられているのが特徴だ。『CX-30』は、室内空間を犠牲にせずに、クーペSUV風の巧みなデザインが心地いい。ライバルがそうであるように強い傾斜でルーフを寝かせることなく、それでいてCピラーを傾けることで、さり気なくスタイリッシュな造形にしている。
フロントのリップスポイラーから、フェンダーアーチをくるくると取り囲み、リアエンドまで一筆書きで渡される黒系のプロテクターは、CX-30を薄くみせるための視覚的な効果を狙っているのだろう。結果的に前後にのびやかに見える。個人的には、とても美しいスタイルだと思う。
ライバルに比較して、全高が抑えられているのも特徴だ。立体駐車場への許容性も高い。日本の大衆車としての配慮と可能性はそのあたりから感じ取ることができる。
◆街乗りだけのSUVではない
エンジンラインナップはガソリンとディーゼルだ。ガソリンは2リットルであり、ディーゼルは1.8リットル。FFだけでなく4WDも選べる。ミッションは6速ATと6速MTが選べるという贅沢さだ。
走りには破綻がない。エンジンの低回転トルクにもうちょっと期待したいところではあるものの、全てにおいて不満らしきものはない。乗り心地も充分に優しい。
それでいて興味深かったのは4WDとのセット展開となる新開発「オフロード・トラクション・アシスト」の存在で、悪路での走破性を高める。
立体駐車場にまで配慮するほど大衆車としての利便性を考えているのに、一方でアクティブな場面を想定しているのだ。新しい大衆車SUVの創造なのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
木下隆之|モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも
(レスポンス 木下隆之)
ライバルのトヨタ『C-HR』とホンダ『ヴェゼル』ともに全長4400mm以下であり全幅は1800mmを下回る。このサイズ感は、日本の市街地を走るのにはちょうどいい。スーパーマーケットへの買物や駅の送り迎え、もちろん通勤通学でももてあますことのない平均的なサイズ感なのだ。
しかも、セダンやハッチバックよりも着座点の高いSUVは、日本の道では走り易い。視点の高さは視界の良さでもあり、ミニバンやトラックに囲まれた市街地での圧迫感の少なさでもある。もはや日本の大衆車がこのサイズ帯のSUVに移行していることを考えれば、これからの主流になる資格があるといえる。
◆犠牲なく、SUVクーペ感を醸し出す
SUVでありながら、ともすれば過剰になりがちなオフロード感も抑えられているのが特徴だ。『CX-30』は、室内空間を犠牲にせずに、クーペSUV風の巧みなデザインが心地いい。ライバルがそうであるように強い傾斜でルーフを寝かせることなく、それでいてCピラーを傾けることで、さり気なくスタイリッシュな造形にしている。
フロントのリップスポイラーから、フェンダーアーチをくるくると取り囲み、リアエンドまで一筆書きで渡される黒系のプロテクターは、CX-30を薄くみせるための視覚的な効果を狙っているのだろう。結果的に前後にのびやかに見える。個人的には、とても美しいスタイルだと思う。
ライバルに比較して、全高が抑えられているのも特徴だ。立体駐車場への許容性も高い。日本の大衆車としての配慮と可能性はそのあたりから感じ取ることができる。
◆街乗りだけのSUVではない
エンジンラインナップはガソリンとディーゼルだ。ガソリンは2リットルであり、ディーゼルは1.8リットル。FFだけでなく4WDも選べる。ミッションは6速ATと6速MTが選べるという贅沢さだ。
走りには破綻がない。エンジンの低回転トルクにもうちょっと期待したいところではあるものの、全てにおいて不満らしきものはない。乗り心地も充分に優しい。
それでいて興味深かったのは4WDとのセット展開となる新開発「オフロード・トラクション・アシスト」の存在で、悪路での走破性を高める。
立体駐車場にまで配慮するほど大衆車としての利便性を考えているのに、一方でアクティブな場面を想定しているのだ。新しい大衆車SUVの創造なのかもしれない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
木下隆之|モータージャーナリスト
プロレーシングドライバーにして、大のクルマ好き。全日本GT選手権を始め、海外のレースでも大活躍。一方でカー・オブ・ザ・イヤー選考委員歴は長い。『ジェイズな奴ら』を上梓するなど、作家の肩書きも
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