【VW Tクロス 新型試乗】ベース車の価格次第では国産SUVのライバルになる…九島辰也
今回の試乗車はVW『Tクロス TSI 1st Plus』(Volkswagen T-Cross)。ここ数年各メーカーは発売を記念した“ファーストエディション”なるものを用意するが、このクルマもそれだ。
意味合いは、快適装備を備えて価格は少々高くなるが、あとでオプションを募るよりも「お得!」というグレードとなる。試乗車はそのPlus(プラス)なので、てんこ盛りといった内容だ。
◆SUVの原点と言えるいでたち
そのファーストインプレッションだが、見た目はオーセンティックで好感度が高い。お洒落なボディカラーやホイールカラーを用意するが、基本はコンサバと言えるだろう。ディメンションもそうで、全長4115mmというところはSUVの原点とも思える。そもそも2ボックスのSUVは、全長が短く全幅がワイドというのが特徴だ。
そんなパッケージングだからか、ドライバーズシートに座るとアップライトなポジションとなる。これも典型的なSUVスタイルで原点に立ち返ったよう。しかも、それが功を奏するのか、身長180cmの私が運転席に座ったシート位置で、リアシートにそのまま座れる。頭の上もそうだが、膝頭にも若干の余裕があったのには驚いた。
◆数字の印象以上に力強い走り
走らせてどうかというと、1リットル3気筒エンジンはその排気量以上に力強い。というか、1リットルと聞かされなければ想像つかないであろう。確かにTクロスの最高出力116psは『ポロ』の同エンジンの出力より上がっているが、感覚的には数字以上である。
ただ乗り出してすぐに気になったのが硬めの乗り心地で、思いのほか路面の段差でトントンという突き上げがあった。VWのブランドイメージからはもう少し快適さが前面に出ると思いきやそうでもない。その要因は18インチのタイヤだ。ホイールは大きい方が見た目はかっこいいが、ネガティブ要素も共存してしまう。オプションのてんこ盛りは魅力だが、そこは実際に乗ってみて判断した方が良さそうだ。
と同時に、スタンダードの16インチタイヤであれば相当乗り心地はよさそうなのがイメージできる。『ゴルフ』にも使われるMQBプラットフォームは堅牢なことから、サスペンションを柔らかくセッティングできるからだ。サスが柔らかく動いてくれれば自然と乗り心地はよくなる。
◆ベーシックモデルの価格を抑えることができるか
その他で気になったのはエンジンのスターターボタンがセンターコンソールの左側にあったこと。始動するのにそれを探してしまう。ゴルフが右側にあることを考えれば、その辺はそれほど難しくはないと思うのだが。
それはともかく、Tクロスは全体的に好印象。クルマの出来栄えはよく、コンセプトにも共感できる。アウトドアなイメージを担保しながら都会でも浮かないお洒落さも持ち合わせる。
あとはこれから追加されるベーシックモデルの価格をどのくらいまで抑えられるかだろう。260万円まで来れば、国産SUVの驚異的なライバルになるのは間違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
意味合いは、快適装備を備えて価格は少々高くなるが、あとでオプションを募るよりも「お得!」というグレードとなる。試乗車はそのPlus(プラス)なので、てんこ盛りといった内容だ。
◆SUVの原点と言えるいでたち
そのファーストインプレッションだが、見た目はオーセンティックで好感度が高い。お洒落なボディカラーやホイールカラーを用意するが、基本はコンサバと言えるだろう。ディメンションもそうで、全長4115mmというところはSUVの原点とも思える。そもそも2ボックスのSUVは、全長が短く全幅がワイドというのが特徴だ。
そんなパッケージングだからか、ドライバーズシートに座るとアップライトなポジションとなる。これも典型的なSUVスタイルで原点に立ち返ったよう。しかも、それが功を奏するのか、身長180cmの私が運転席に座ったシート位置で、リアシートにそのまま座れる。頭の上もそうだが、膝頭にも若干の余裕があったのには驚いた。
◆数字の印象以上に力強い走り
走らせてどうかというと、1リットル3気筒エンジンはその排気量以上に力強い。というか、1リットルと聞かされなければ想像つかないであろう。確かにTクロスの最高出力116psは『ポロ』の同エンジンの出力より上がっているが、感覚的には数字以上である。
ただ乗り出してすぐに気になったのが硬めの乗り心地で、思いのほか路面の段差でトントンという突き上げがあった。VWのブランドイメージからはもう少し快適さが前面に出ると思いきやそうでもない。その要因は18インチのタイヤだ。ホイールは大きい方が見た目はかっこいいが、ネガティブ要素も共存してしまう。オプションのてんこ盛りは魅力だが、そこは実際に乗ってみて判断した方が良さそうだ。
と同時に、スタンダードの16インチタイヤであれば相当乗り心地はよさそうなのがイメージできる。『ゴルフ』にも使われるMQBプラットフォームは堅牢なことから、サスペンションを柔らかくセッティングできるからだ。サスが柔らかく動いてくれれば自然と乗り心地はよくなる。
◆ベーシックモデルの価格を抑えることができるか
その他で気になったのはエンジンのスターターボタンがセンターコンソールの左側にあったこと。始動するのにそれを探してしまう。ゴルフが右側にあることを考えれば、その辺はそれほど難しくはないと思うのだが。
それはともかく、Tクロスは全体的に好印象。クルマの出来栄えはよく、コンセプトにも共感できる。アウトドアなイメージを担保しながら都会でも浮かないお洒落さも持ち合わせる。
あとはこれから追加されるベーシックモデルの価格をどのくらいまで抑えられるかだろう。260万円まで来れば、国産SUVの驚異的なライバルになるのは間違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。
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