ホンダ アコード 新型試乗 低いボンネットの位置と“目線”にワクワクする…九島辰也
新型『アコード』は今回で10代目となる。初代が1976年だから今や大御所。セダンとは言えホンダのスポーティなイメージと相まって、若い頃から気になるクルマのひとつであった。
◆e:HEVのEV走行に違和感なし
新型の目玉はホンダ一推しの2モーターハイブリッドシステムに他ならない。e:HEVと呼ばれるそれはi-MMDの進化版で、先だって試乗した新型『フィット』にも使われている技術だ。フィットはモーターと1.5リットルガソリンエンジンの組み合わせだが、アコードは2リットルガソリンエンジンとなるのがキモ。車格に見合った走りを実現するため排気量はアップされた。
e:HEVの特徴はEV走行をデフォルトとしているところだろう。今回の試乗でも一般道のほとんどをモーターのみで走りきった。自然なフィールのEV走行は違和感なく、とても気持ちがいい。もちろん、意図的にアクセルをグイグイ踏み込むとガソリンユニットから直接的に駆動力を送る。
メーター位置にあるモニターで“パワーフロー”を選択すればその流れは一目瞭然だ。内燃機関とそれをサポートするモーターのチカラで、クルマはスポーティに加速する。
◆ドライバーをワクワクさせる目線
で、その時のハンドリングの良さが際立った。全長4900mmのサイズ感からその辺はあまり期待していなかったのだが、これには驚き。ロールの抑え込みは自然だし、鼻先も機敏に向きを変える。ステアリングに余計な反力がないのもいい。
しかも、その時の目線がドライバーをワクワクさせる。低いボンネットの位置と目線の関係、ボンネットの見え方がスポーティに感じられるのだ。ここに関しては開発者の意図的な思惑があるのだろうが、現時点ではそれは不明。開発スタッフと対面できたら伺ってみたいところだ。
高速走行では、その低く構えたボンネットとロングホイールベースが安定感を生み出す。走行安定性は高く評価できそうだ。また剛性アップされた新開発のプラットフォームはキャビンを静かにしてくれる。高級車としての側面はそこにあると言っていい。
ただ、静粛性が高い分、高速道路ではエンジン音が耳につくのは否めない。特に中間加速ではCVTのネガティブポイントが出て、それが強調されてしまう。
◆このクルマには「コンフォート」がよく似合う
ドライブモードは、「スポーツ」「ノーマル」「コンフォート」が選択できるが、このクルマには「コンフォート」がよく似合う。アダプティブダンパーシステムとも連動しているようで、かなりいい乗り心地を提供してくれた。
人を乗せている時もそうだが、一人で乗っていてもこのくらいがいい。ちなみに、アダプティブダンパーシステムは4つのタイヤの回転速度や車両挙動から減衰圧を算出するそうだ。つまり、ある程度の領域で可変するので、「コンフォート」でも終始ソフトなわけではない。
それにしても驚いたのはテスト走行後のバッテリー残量。メーター右端がガソリン、左端がバッテリーの容量を示す針が備わるのだが、結構色々試してもバッテリー量は極端に減らない。ホンダが一点突破しようとしているこのハイブリッドシステムはなかなか秀逸に仕上がっているようだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
◆e:HEVのEV走行に違和感なし
新型の目玉はホンダ一推しの2モーターハイブリッドシステムに他ならない。e:HEVと呼ばれるそれはi-MMDの進化版で、先だって試乗した新型『フィット』にも使われている技術だ。フィットはモーターと1.5リットルガソリンエンジンの組み合わせだが、アコードは2リットルガソリンエンジンとなるのがキモ。車格に見合った走りを実現するため排気量はアップされた。
e:HEVの特徴はEV走行をデフォルトとしているところだろう。今回の試乗でも一般道のほとんどをモーターのみで走りきった。自然なフィールのEV走行は違和感なく、とても気持ちがいい。もちろん、意図的にアクセルをグイグイ踏み込むとガソリンユニットから直接的に駆動力を送る。
メーター位置にあるモニターで“パワーフロー”を選択すればその流れは一目瞭然だ。内燃機関とそれをサポートするモーターのチカラで、クルマはスポーティに加速する。
◆ドライバーをワクワクさせる目線
で、その時のハンドリングの良さが際立った。全長4900mmのサイズ感からその辺はあまり期待していなかったのだが、これには驚き。ロールの抑え込みは自然だし、鼻先も機敏に向きを変える。ステアリングに余計な反力がないのもいい。
しかも、その時の目線がドライバーをワクワクさせる。低いボンネットの位置と目線の関係、ボンネットの見え方がスポーティに感じられるのだ。ここに関しては開発者の意図的な思惑があるのだろうが、現時点ではそれは不明。開発スタッフと対面できたら伺ってみたいところだ。
高速走行では、その低く構えたボンネットとロングホイールベースが安定感を生み出す。走行安定性は高く評価できそうだ。また剛性アップされた新開発のプラットフォームはキャビンを静かにしてくれる。高級車としての側面はそこにあると言っていい。
ただ、静粛性が高い分、高速道路ではエンジン音が耳につくのは否めない。特に中間加速ではCVTのネガティブポイントが出て、それが強調されてしまう。
◆このクルマには「コンフォート」がよく似合う
ドライブモードは、「スポーツ」「ノーマル」「コンフォート」が選択できるが、このクルマには「コンフォート」がよく似合う。アダプティブダンパーシステムとも連動しているようで、かなりいい乗り心地を提供してくれた。
人を乗せている時もそうだが、一人で乗っていてもこのくらいがいい。ちなみに、アダプティブダンパーシステムは4つのタイヤの回転速度や車両挙動から減衰圧を算出するそうだ。つまり、ある程度の領域で可変するので、「コンフォート」でも終始ソフトなわけではない。
それにしても驚いたのはテスト走行後のバッテリー残量。メーター右端がガソリン、左端がバッテリーの容量を示す針が備わるのだが、結構色々試してもバッテリー量は極端に減らない。ホンダが一点突破しようとしているこのハイブリッドシステムはなかなか秀逸に仕上がっているようだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。
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