アルファロメオ 4Cスパイダー 最終試乗 生産終了を受けてドライブ。きっと後世に残るモデルになる…九島辰也
アルファロメオ『4Cスパイダー』を久しぶりに試乗した。丸2年はステアリングを握っていなかっただろう。憧れのクルマである。とはいえ、いつか手に入れたいと夢を描きながらネットで中古車相場をチェックしているのが実情だ。
◆年末に発売される“ファイナル・エディション”が楽しみ
今回試乗した理由は『4C』の生産終了がアナウンスされたから。去る4月30日に日本での販売が終わった。ただ、年末には“ファイナル・エディション”として限定車が売られるそうなので楽しみ。きっと後世に残るモデルになるであろう。
と言うのも、ご存知のようにこのクルマは特別。バスタブのようなカーボンモノコックフレームとアルミのシャーシに開発費は当然のこと、生産にもお金がかかっている。生産過程も手組みの部分が多いからかかる時間もコストは相当だ。もちろん、ファクトリーラインも別物である。しかも、このプライス。きっと利益率は相当低いだろう。まぁ、さすがに作るだけ赤字ってことはないだろうが。
運転したのは4Cスパイダーである。トップは脱着式で、左右とフロントのロックを外し、クルクルと巻いてトランクにしまう。トランクはエンジンベイの後ろ。深さもあって意外に使える。
◆ゴーカートからレーシングマシンへと変わるドライブモード
さて、乗り込む。カーボンむき出しの太いサイドシルをまたいでシートにお尻を乗せ、それから腰を回して足をペダル位置へ。スターターはキーシリンダーにキーを挿して回すタイプ。ブレーキを深く踏み込まないとエンジンはかからない。プッシュボタン式でないことからも世代が一つ古いことがわかる。ワールドプレミアは2013年だった。
エンジンは1750ccの4気筒直噴ターボ。それをミッドにマウントする。ギアボックスは6速デュアルクラッチだ。では走った印象だが、このクルマのキャラはドライブモードでかなり変わる。アルファロメオ特有の“D N A”ってやつだ。“D”はダイナミック、“N”はナチュラル、“A”はオールウェザーを表す。通常は“N”。この時の走りは、思いのほかおとなしい。アクセルレスポンスはそれほどクイックではないし、サウンドもそれなり。
強調されるのはハンドリングで、ミッドシップならではの挙動が前面に押し出される。スッとステアリングを切った時、自分を軸にクルマが回転する感覚が強い。まんまゴーカート。低速ではそうでもないが、速度が上がるとステアリングを切るタイミングがFRともFFとも異なる。このフィーリングが続くと、ステアリングを切るのがどんどん楽しくなってくる。街中のクランクは当然のこと、大きな交差点では左折するだけで楽しい。
“N”を楽しんだ後“D”に切り替える。すると「あー、このクルマの本性はコレ!」となる。アクセルレスポンスはクイックに、エキゾーストは跳ね馬の如き響き渡る。ギアボックスをマニュアルモードにすれば、まさにレーシングカー。なので、ドライバーが意図する以上にスピードが出ていることもある。しかもその時のステアリングはシビアで、かなりダイレクトにクルマの挙動に反映されるから油断は禁物だ。
◆高速道路でも安定感はあるが…
とはいえ、全体的なバランスはよく、しっかり躾けられている。今回の試乗の範囲ではあるが、極端なオーバーステアが起きることはなさそうだ。横置きされたエンジンはスナッチが小さく、挙動を乱すことはない。
高速道路でも安定感はある。が、快適に走るのであればより上のギアが必要。そうすれば音は静かになり、燃費もよくなる。まぁ、スペース的にこれ以上の多段化はできないのだろうが。
と言うのが、今回のショートインプレッション。こういうクルマがつくれるのだからアルファロメオはすごいし、強い。110年間のヘリテージともども業界におけるブランドの存在感は大きい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
◆年末に発売される“ファイナル・エディション”が楽しみ
今回試乗した理由は『4C』の生産終了がアナウンスされたから。去る4月30日に日本での販売が終わった。ただ、年末には“ファイナル・エディション”として限定車が売られるそうなので楽しみ。きっと後世に残るモデルになるであろう。
と言うのも、ご存知のようにこのクルマは特別。バスタブのようなカーボンモノコックフレームとアルミのシャーシに開発費は当然のこと、生産にもお金がかかっている。生産過程も手組みの部分が多いからかかる時間もコストは相当だ。もちろん、ファクトリーラインも別物である。しかも、このプライス。きっと利益率は相当低いだろう。まぁ、さすがに作るだけ赤字ってことはないだろうが。
運転したのは4Cスパイダーである。トップは脱着式で、左右とフロントのロックを外し、クルクルと巻いてトランクにしまう。トランクはエンジンベイの後ろ。深さもあって意外に使える。
◆ゴーカートからレーシングマシンへと変わるドライブモード
さて、乗り込む。カーボンむき出しの太いサイドシルをまたいでシートにお尻を乗せ、それから腰を回して足をペダル位置へ。スターターはキーシリンダーにキーを挿して回すタイプ。ブレーキを深く踏み込まないとエンジンはかからない。プッシュボタン式でないことからも世代が一つ古いことがわかる。ワールドプレミアは2013年だった。
エンジンは1750ccの4気筒直噴ターボ。それをミッドにマウントする。ギアボックスは6速デュアルクラッチだ。では走った印象だが、このクルマのキャラはドライブモードでかなり変わる。アルファロメオ特有の“D N A”ってやつだ。“D”はダイナミック、“N”はナチュラル、“A”はオールウェザーを表す。通常は“N”。この時の走りは、思いのほかおとなしい。アクセルレスポンスはそれほどクイックではないし、サウンドもそれなり。
強調されるのはハンドリングで、ミッドシップならではの挙動が前面に押し出される。スッとステアリングを切った時、自分を軸にクルマが回転する感覚が強い。まんまゴーカート。低速ではそうでもないが、速度が上がるとステアリングを切るタイミングがFRともFFとも異なる。このフィーリングが続くと、ステアリングを切るのがどんどん楽しくなってくる。街中のクランクは当然のこと、大きな交差点では左折するだけで楽しい。
“N”を楽しんだ後“D”に切り替える。すると「あー、このクルマの本性はコレ!」となる。アクセルレスポンスはクイックに、エキゾーストは跳ね馬の如き響き渡る。ギアボックスをマニュアルモードにすれば、まさにレーシングカー。なので、ドライバーが意図する以上にスピードが出ていることもある。しかもその時のステアリングはシビアで、かなりダイレクトにクルマの挙動に反映されるから油断は禁物だ。
◆高速道路でも安定感はあるが…
とはいえ、全体的なバランスはよく、しっかり躾けられている。今回の試乗の範囲ではあるが、極端なオーバーステアが起きることはなさそうだ。横置きされたエンジンはスナッチが小さく、挙動を乱すことはない。
高速道路でも安定感はある。が、快適に走るのであればより上のギアが必要。そうすれば音は静かになり、燃費もよくなる。まぁ、スペース的にこれ以上の多段化はできないのだろうが。
と言うのが、今回のショートインプレッション。こういうクルマがつくれるのだからアルファロメオはすごいし、強い。110年間のヘリテージともども業界におけるブランドの存在感は大きい。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
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