トヨタ ハリアー 新型試乗 リニアな加速にサウンド、ガソリン車が輝いて見えた…九島辰也

トヨタ ハリアー 新型。写真はハイブリッド(プロトタイプ)
4世代目『ハリアー』の特徴はハードウェアである。ご覧のようにデザインはキープコンセプトで、大きな変化は感じない。相変わらずスタイリングはシュッとしていて、SUVクーペ的ニュアンスが強い。都会的なイメージのあるハリアーにはぴったりだ。

このほかではフロントとリアのコンビネーションランプをリデザインし、従来型にはなかったボディサイド後方のキャラクターラインを加えている。


◆新型RAV4の実績も活きている?

注目はTNGAプラットフォーム(GA-K)の採用だ。堅牢なフレームを用いたことで、走行性能を向上させている。高剛性ボディとなることでサスペンションセッティングの自由度が増すということだ。足を固めることなく高速域でのクルマの挙動をコントロールすることで、快適な乗り心地を担保できる。

実際、今回は千葉県の袖ヶ浦フォレストレースウェイという極めて特殊な試乗環境だったが、乗り心地に不安や不満は一切なかった。終始キャビンはフラットに保たれ嫌なピッチングは発生しない。フォレストレースウェイは公道に近い路面なので、この乗り味は一般道でも生かされるであろう。ただサーキットには段差がないので、その“こなし方”はわからないが。

ちなみに、試乗車は19インチだったが、カタログには17、18インチもある。開発のスポークスマンにどのサイズに合わせたセッティングをしたのか聞くと、18インチという答えが帰ってきた。となると、19インチであれだけ乗り心地がいいのだから18インチも期待大だ。

パワートレーンは、2リットル直4ターボのガソリン仕様と2.5リットル直4+モーターのハイブリッド仕様という設定。クルマ好きの方ならご存知だろうが、『RAV4』と同じラインナップとなる。トランスミッションも同様だ。なので、ある意味信頼性は高い。すでに市販され実績を重ねているユニットである。また、TNGAプラットフォームとの相性もそう。先にリリースされたRAV4のデータがそのまま開発を手助けする。開発チーム同士席が隣というから信憑性は高そうだ。


◆サーキットではリニアな加速とサウンドのガソリンに軍配

では、走らせた印象だが、試乗車はハイブリッドのE-FourとガソリンのFWD。ナンバーの付く前のプロトタイプだそうだ。前述したようにホイールは共に19インチ。

走行性能に関する総体的な印象はかなりいい。乗り心地はもちろん、ステアリングの操舵フィールもNVH対策もよくできている。風切り音やロードノイズの抑え方は高級車的だ。サーキットで試乗会を行う意図もわからなくない。周りに喧騒がない分、音に関しては敏感になる。

ただ、こういう場所だとガソリン仕様車が輝いて見える。アクセルに対するリニアな加速やサウンドが気持ちいいからだ。タイトコーナー出口からの再加速はスムーズで心地よい。


これに対しハイブリッドは車両重量が重くなる分やや軽快感が欠けると共に、再加速のテンポが鈍る。もちろん、一般生活でこんな運転はしないのだからそこをどう評価するかは個人個人だが、ガソリン仕様との違いは明らか。それにガソリンもガソリンで、CVTをよくここまで躾けたといった感じだ。他モデルを思い返してもトヨタのCVTはこのところかなりいい。

というのがサーキット試乗で見えた新型ハリアーの印象だ。ナンバーの付く前のプロトタイプだそうだ。次回は一般道での試乗になるだろうが、その節はぜひ都市間ラリー的に走ってみたい。東京から大阪を高速道路で結び、静岡と名古屋の街中を経由するような。となると、ハイブリッドの優位性は見えてくる。“三密”にならない“県またぎ”にハイブリッドはいい相棒になるであろう。



■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★

九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。

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