トヨタ RAV4 PHV 新型試乗 大容量バッテリーのパワーは、想像以上だ…九島辰也
日本はもちろん、アメリカでも人気の『RAV4』に新しいモデルが追加された。プラグインハイブリッドの『RAV4 PHV』である。これまでパワーソースは2リットル直4のガソリン仕様と2.5リットル直4+モーターのハイブリッドという構成だったが、これで3つのソースから選べるようになった。
ではそのポジショニングだが、RAV4 PHVはトップグレードに位置する。運動性能の高いRAV4にこれまで以上の高出力パワートレーンを積むからだ。ベースとなるのは『プリウスPHV』にも採用される“THS II Plug-in”システムだが、これに大規模に手を入れた。
リチウムイオン電池、充電機、コンバーター、モーター、PCUはすべて新開発。モーターとエンジンの出力を大きく向上させている。結果、システム出力は306ps(225kW)、EV走行距離は95kmを達成しているからお見事。95kmは平均的に、一日に運転する距離を余裕で超えている。
◆とにかく速い!
というクルマを今回はサーキットで試乗した。グレードは19インチを履いた「ブラックトーン」と18インチの「G」。共に4WDのE-Fourである。前者はピラーから上の部分を黒く塗ったものだ。「アドベンチャー」というグレードに屋根を白くした2トーンがあるが、そのブラック版といったところだろう。白とは異なる高級感がこちらにはある。
で、走りはとにかく速い。スタートからアクセルの踏みしろに対しグイグイとトルクが発生してクルマを前へ押しやる。試乗会場がサーキットなのではじめから遠慮なく踏めた。そもそも走行安定性の高いRAV4だけに、その辺は安心材料となる。
事実、高速コーナーからタイトコーナーまでステアリングは正確だし、クルマの挙動も乱れない。おかげでどのタイミングでもブレーキを踏めるのが嬉しい。クルマの挙動を診るのにブレーキングのタイミングを遅らせたり、ブレーキを残しながらコーナーへ入っていったりするからだ。
◆「走ってナンボ!」なRAV4
ハイブリッドシステムに対する考え方は、EVモードを基本形にするとわかりやすい。ガソリンエンジンをモーターがサポートするのではなく、モーターをガソリンエンジンが発電と走りでサポートするのだ。そしてそのガソリンパワーをどう振り分けるかをドライバーが任意で行ったり、コンピューターに最適化させたりすることができるという仕組み。
最適化をクルマに任せてサーキットを走ると、全開のストレート以外はすべてEV走行した。でもってパワーの出方にピーキーさがないのがいい。リニアな加速はもちろん、回生ブレーキを含めフィーリングは自然だ。ちなみに、走行スイッチをEVモードにすると最終コーナーからストレートエンドまで丸々一周電気で走る。なるほど、バッテリーのパワーと容量の大きさは想像以上。トヨタ開発陣の自信作といったところだろう。
ところで、今回のPHVは普通充電のみで急速充電装備はないそうだ。あるのは、一般家庭で充電できる100Vと200V用プラグ。ピュアEVとは違うので、これで十分という割り切りだ。でもその裏には、少しでも重量を軽くして運動性能を高めたいという意図が見え隠れする。
「走ってナンボ!」今のRAV4からはそんな声が聞こえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
ではそのポジショニングだが、RAV4 PHVはトップグレードに位置する。運動性能の高いRAV4にこれまで以上の高出力パワートレーンを積むからだ。ベースとなるのは『プリウスPHV』にも採用される“THS II Plug-in”システムだが、これに大規模に手を入れた。
リチウムイオン電池、充電機、コンバーター、モーター、PCUはすべて新開発。モーターとエンジンの出力を大きく向上させている。結果、システム出力は306ps(225kW)、EV走行距離は95kmを達成しているからお見事。95kmは平均的に、一日に運転する距離を余裕で超えている。
◆とにかく速い!
というクルマを今回はサーキットで試乗した。グレードは19インチを履いた「ブラックトーン」と18インチの「G」。共に4WDのE-Fourである。前者はピラーから上の部分を黒く塗ったものだ。「アドベンチャー」というグレードに屋根を白くした2トーンがあるが、そのブラック版といったところだろう。白とは異なる高級感がこちらにはある。
で、走りはとにかく速い。スタートからアクセルの踏みしろに対しグイグイとトルクが発生してクルマを前へ押しやる。試乗会場がサーキットなのではじめから遠慮なく踏めた。そもそも走行安定性の高いRAV4だけに、その辺は安心材料となる。
事実、高速コーナーからタイトコーナーまでステアリングは正確だし、クルマの挙動も乱れない。おかげでどのタイミングでもブレーキを踏めるのが嬉しい。クルマの挙動を診るのにブレーキングのタイミングを遅らせたり、ブレーキを残しながらコーナーへ入っていったりするからだ。
◆「走ってナンボ!」なRAV4
ハイブリッドシステムに対する考え方は、EVモードを基本形にするとわかりやすい。ガソリンエンジンをモーターがサポートするのではなく、モーターをガソリンエンジンが発電と走りでサポートするのだ。そしてそのガソリンパワーをどう振り分けるかをドライバーが任意で行ったり、コンピューターに最適化させたりすることができるという仕組み。
最適化をクルマに任せてサーキットを走ると、全開のストレート以外はすべてEV走行した。でもってパワーの出方にピーキーさがないのがいい。リニアな加速はもちろん、回生ブレーキを含めフィーリングは自然だ。ちなみに、走行スイッチをEVモードにすると最終コーナーからストレートエンドまで丸々一周電気で走る。なるほど、バッテリーのパワーと容量の大きさは想像以上。トヨタ開発陣の自信作といったところだろう。
ところで、今回のPHVは普通充電のみで急速充電装備はないそうだ。あるのは、一般家庭で充電できる100Vと200V用プラグ。ピュアEVとは違うので、これで十分という割り切りだ。でもその裏には、少しでも重量を軽くして運動性能を高めたいという意図が見え隠れする。
「走ってナンボ!」今のRAV4からはそんな声が聞こえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
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