ホンダ フィット 新型試乗 「クロスター」の追加は“大正解!”…飯田裕子
ひとクラス上がった印象すら抱く、新型『フィット』。大胆なデザイン変更を行ったフィットの新世代感は、もう街中や販売店の店先で認識されていることだろう。そのなかでも注目のモデル、SUVルックの「クロスター」が今回の主役だ。
近年のSUV人気からすれば、これがフィットブラザーズに加わったことは“大正解!”。フィットならではのパッケージングや運転のしやすさは健在だし、ユニークな存在感はそれ以上に魅力が感じられるからだ。
◆ボディ寸法は配慮しつつ、デザインの個性も光る
“SUVルック”という表現をあえてしたのは、ベースモデルに対し(特に4WDモデル対比)車高やロードクリアランスが圧倒的に高いというわけではなく、デザイン面でのユニークさが特徴だから。
ボディサイズは全長4090×全幅1725×全高1545mm(ルーフレール装着車は1570mm)。FFモデルはベース車に対し全高で+30mm、地上高は+25mmの160mm、4WDは+5mmの155mmだ。個性を際立だせたデザイン加飾により、全長はベースに対し+95mm、そして全幅が+30mm(1725mm)となるため、クロスターは3ナンバーモデル。しかし、ボディ寸法には日本の駐車場事情への配慮がうかがえるし、それでもクロスターの個性はしっかりと感じられるのがいい。一方でロードクリアランスがもっと欲しい、本格的な4WD仕様が欲しかった、という方には少々物足りないかもしれない。
デザイン面で注目なのは、SUVルックな印象を強める、前後のバンパーやサイドシルガーニッシュ、ホイールアーチプロテクターなどのブラックの専用樹脂パーツ。さらに専用デザインの16インチアルミホイールが装着される。ちなみに他モデルはグリルレスだが、クロスターにはグリルがある。新型フィットには5タイプのモデルが用意されているが、そのなかでもクロスターは最もアクティブでどこにでも連れ出したくなるような自由なムードが強い。
◆格段に向上した視界の良さと目が丸くなるほどの広さ
新型フィットの魅力は、紹介しきれないほどたくさんあるが、特筆ポイントは2つ。
一つは、大胆な発想の転換により、フロントウインドウの視界がこれまでよりも格段に向上したこと。新旧を比べれば一目瞭然だが、フロントウインドウを支える左右のピラー(柱)が従来の半分以下の太さになり、従来の視野角が69度なのに対し新型は90度に拡大している。死角が軽減され、例えば交差点やコーナーでの対向車や歩行者なども発見しやすい。
ちなみに運転席から見て手前(二番目)のピラーが衝突安全性やボディ補強の役割を主に担うことで、万一衝突した場合と、視覚的な安全性を共に向上させることができたのだ。
もう一つは「広い!」と思わず声を出してしまったほどの室内の広さ。フィットとしては、相変わらずのセールスポイントでもある。が、わかっていても目が丸くなる。さらにシートアレンジ次第で、収納力は拡大可能。インテリアの清潔感とシンプルな雰囲気も魅力だ。
◆走りはドッシリとした安定感とフラットさが印象的
続いて動力性能。新型フィットでは、1.3リットルのガソリンエンジンと1.5リットル+2モーターのハイブリッド「e:HEV」が選べるが、今回はe:HEVに試乗。これまでもハイブリッドモデルはあったけれど、新型のポイントは“e”にあり。フィットとしては、初めてモーター駆動を主動力とするシステムを採用しているのだ。
1.5リットルエンジンは基本的には電気モーターでタイヤを駆動させるための”動力源“として機能し、タイヤに動力を伝えるのはモーター。だいたいの場合、EVのように走る。出足から静かにかつスムーズに走りだし、加速時の瞬発力や力強さ、そしてモーター駆動を操るアクセルペダルとのリニアな連携も申し分ない。一方で高速走行時は燃費効率に優れたエンジンが主力となる。
乗り心地は、ドッシリとした安定感とフラットさが印象的。コーナリングでごくわずかなロール感があるが、ボディの骨格がしっかりとしているおかげで、しなやかなハンドリングと相まってバランスが良く扱いやすい。e:HEVの頼もしく扱いやすい動力と運転のしやすさも新型の大きな進化であり、クロスターでもそれは同様なのだ。
また「これまでならこのクラスとしてはあり得ない」と開発者が言う、設計から見直されたシートもぜひ注目してほしい。クロスターには撥水加工がほどこされたシートを採用しており、利便性も高い。新型フィットの魅力や質の向上を、全身で感じることができるはずだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
飯田裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。
(レスポンス 飯田裕子)
近年のSUV人気からすれば、これがフィットブラザーズに加わったことは“大正解!”。フィットならではのパッケージングや運転のしやすさは健在だし、ユニークな存在感はそれ以上に魅力が感じられるからだ。
◆ボディ寸法は配慮しつつ、デザインの個性も光る
“SUVルック”という表現をあえてしたのは、ベースモデルに対し(特に4WDモデル対比)車高やロードクリアランスが圧倒的に高いというわけではなく、デザイン面でのユニークさが特徴だから。
ボディサイズは全長4090×全幅1725×全高1545mm(ルーフレール装着車は1570mm)。FFモデルはベース車に対し全高で+30mm、地上高は+25mmの160mm、4WDは+5mmの155mmだ。個性を際立だせたデザイン加飾により、全長はベースに対し+95mm、そして全幅が+30mm(1725mm)となるため、クロスターは3ナンバーモデル。しかし、ボディ寸法には日本の駐車場事情への配慮がうかがえるし、それでもクロスターの個性はしっかりと感じられるのがいい。一方でロードクリアランスがもっと欲しい、本格的な4WD仕様が欲しかった、という方には少々物足りないかもしれない。
デザイン面で注目なのは、SUVルックな印象を強める、前後のバンパーやサイドシルガーニッシュ、ホイールアーチプロテクターなどのブラックの専用樹脂パーツ。さらに専用デザインの16インチアルミホイールが装着される。ちなみに他モデルはグリルレスだが、クロスターにはグリルがある。新型フィットには5タイプのモデルが用意されているが、そのなかでもクロスターは最もアクティブでどこにでも連れ出したくなるような自由なムードが強い。
◆格段に向上した視界の良さと目が丸くなるほどの広さ
新型フィットの魅力は、紹介しきれないほどたくさんあるが、特筆ポイントは2つ。
一つは、大胆な発想の転換により、フロントウインドウの視界がこれまでよりも格段に向上したこと。新旧を比べれば一目瞭然だが、フロントウインドウを支える左右のピラー(柱)が従来の半分以下の太さになり、従来の視野角が69度なのに対し新型は90度に拡大している。死角が軽減され、例えば交差点やコーナーでの対向車や歩行者なども発見しやすい。
ちなみに運転席から見て手前(二番目)のピラーが衝突安全性やボディ補強の役割を主に担うことで、万一衝突した場合と、視覚的な安全性を共に向上させることができたのだ。
もう一つは「広い!」と思わず声を出してしまったほどの室内の広さ。フィットとしては、相変わらずのセールスポイントでもある。が、わかっていても目が丸くなる。さらにシートアレンジ次第で、収納力は拡大可能。インテリアの清潔感とシンプルな雰囲気も魅力だ。
◆走りはドッシリとした安定感とフラットさが印象的
続いて動力性能。新型フィットでは、1.3リットルのガソリンエンジンと1.5リットル+2モーターのハイブリッド「e:HEV」が選べるが、今回はe:HEVに試乗。これまでもハイブリッドモデルはあったけれど、新型のポイントは“e”にあり。フィットとしては、初めてモーター駆動を主動力とするシステムを採用しているのだ。
1.5リットルエンジンは基本的には電気モーターでタイヤを駆動させるための”動力源“として機能し、タイヤに動力を伝えるのはモーター。だいたいの場合、EVのように走る。出足から静かにかつスムーズに走りだし、加速時の瞬発力や力強さ、そしてモーター駆動を操るアクセルペダルとのリニアな連携も申し分ない。一方で高速走行時は燃費効率に優れたエンジンが主力となる。
乗り心地は、ドッシリとした安定感とフラットさが印象的。コーナリングでごくわずかなロール感があるが、ボディの骨格がしっかりとしているおかげで、しなやかなハンドリングと相まってバランスが良く扱いやすい。e:HEVの頼もしく扱いやすい動力と運転のしやすさも新型の大きな進化であり、クロスターでもそれは同様なのだ。
また「これまでならこのクラスとしてはあり得ない」と開発者が言う、設計から見直されたシートもぜひ注目してほしい。クロスターには撥水加工がほどこされたシートを採用しており、利便性も高い。新型フィットの魅力や質の向上を、全身で感じることができるはずだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
飯田裕子|自動車ジャーナリスト協会会員
現在の仕事を本格的に始めるきっかけは、OL時代に弟(レーサー:飯田章)と一緒に始めたレース。その後、女性にもわかりやすいCar & Lifeの紹介ができるジャーナリストを目指す。独自の視点は『人とクルマと生活』。ドライビングインストラクターとしての経験も10年以上。現在は雑誌、ラジオ、TV、シンポジウムのパネリストやトークショーなど、活動の場は多岐にわたる。
(レスポンス 飯田裕子)
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-
-
-
スズキ『スイフト』新型のツートンカラーが「オートカラーアウォード2024」特別賞に
2024.12.21
-
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-
MORIZO on the Road