ボルボ XC90 B5 新型試乗 フラッグシップ・ボルボに相応しいパワートレーン…島崎七生人
◆何事も起こらない上品なことの始まり
センターコンソールの始動ノブを捻ると、スッと呆気なくエンジンが始動する。ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)を使った「B5」ならではの“何事も起こらない上品なことの始まり”だと感じた。
その感想を伝えると、ボルボ・広報のNさんは「いやぁ、さすがに冷間時の始動はそういう訳にはいかないでしょう」と、いつもどおり爽やかに率直なトークでそう仰った。
が、よくよく考えれば、Nさんは発着場所からスタートしていく試乗車を送り出す立場。その場合、Nさんは車外にいて目の前で試乗車のエンジンがかかるのを待ち、アイドリング状態でクルマが立ち去るまで、少なくとも数秒~数十秒はそのままでいるはずだ。一方でコチラは乗車して、見送られる立場だから、できるだけ時間をかけずに準備を整えての出発となる。
今回もそうだったが、車内にいる限り、入念な遮音対策もあって、エンジンがいつかかったかほとんどわからないほどだった……と報告しよう。
一般的なセルモーターのクランキングに伴う音と振動がないのはやはり快適だし、そういう「B5」は、3列シートでボルボのSUV系のフラッグシップであるこの『XC90』との親和性が非常に高い、活きていると思える。
◆もっとも『XC90』らしい快適で穏やかな走りっぷり
もちろん走らせた印象も、まったく不満なしだった。試乗車に用意されていたスペックシートによれば車重は2100kgあり、全長×全幅×全高=4950×1930×1775mmと十分にボリューム感がある。しかし搭載の48Vハイブリッドパワートレーンは低速時のトルク感やコントロール性もまったく素直に反応してくれる印象だし、高速走行時の再加速でも余裕は十分にある。
聞けば「パワートレーン自体は『XC90』(ボルボ車)用に入念なチューニングを行っている。今回はそれに加え、“ジェネレーション3”に進化したDrive-e(エンジン)が非常に多くの改良を受けたことも大きい」(ボルボ)との見解。具体的にはピストン、シリンダー、シリンダーヘッドまわりなど摺動部品の変更、エンジンマウントの改良、遮音、静粛性の見直しや改良など、大改良を実施しているという。
そうしたことと、オプションのエアサスペンションを備えた試乗車のおっとりと穏やかな乗り味と相まって、これまでの試乗車の中ではもっとも『XC90』らしい快適で穏やかな走りっぷりが味わえた。
ちなみに気筒休止機構は条件が整えば実行されているはずだが、ISGMのサポートがよほど巧みなのか、走行中、その切り替えはまず体感できないレベル。コースティングについては、メーター内に文字の表示が現れるので認識は可能だ。
なお試乗車には先にレポートした『XC60』とは別のまた渋めの色合いの革製Lightningケーブルが載っていた。オプションだが、代表的なレザーシートに合わせてチャコール、ブロンド、アンバーの3色の用意があるのだそうで、リモコンキー(4色)同様に、ボルボらしくお洒落なコーディネートになっている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
(レスポンス 島崎七生人)
センターコンソールの始動ノブを捻ると、スッと呆気なくエンジンが始動する。ISGM(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター・モジュール)を使った「B5」ならではの“何事も起こらない上品なことの始まり”だと感じた。
その感想を伝えると、ボルボ・広報のNさんは「いやぁ、さすがに冷間時の始動はそういう訳にはいかないでしょう」と、いつもどおり爽やかに率直なトークでそう仰った。
が、よくよく考えれば、Nさんは発着場所からスタートしていく試乗車を送り出す立場。その場合、Nさんは車外にいて目の前で試乗車のエンジンがかかるのを待ち、アイドリング状態でクルマが立ち去るまで、少なくとも数秒~数十秒はそのままでいるはずだ。一方でコチラは乗車して、見送られる立場だから、できるだけ時間をかけずに準備を整えての出発となる。
今回もそうだったが、車内にいる限り、入念な遮音対策もあって、エンジンがいつかかったかほとんどわからないほどだった……と報告しよう。
一般的なセルモーターのクランキングに伴う音と振動がないのはやはり快適だし、そういう「B5」は、3列シートでボルボのSUV系のフラッグシップであるこの『XC90』との親和性が非常に高い、活きていると思える。
◆もっとも『XC90』らしい快適で穏やかな走りっぷり
もちろん走らせた印象も、まったく不満なしだった。試乗車に用意されていたスペックシートによれば車重は2100kgあり、全長×全幅×全高=4950×1930×1775mmと十分にボリューム感がある。しかし搭載の48Vハイブリッドパワートレーンは低速時のトルク感やコントロール性もまったく素直に反応してくれる印象だし、高速走行時の再加速でも余裕は十分にある。
聞けば「パワートレーン自体は『XC90』(ボルボ車)用に入念なチューニングを行っている。今回はそれに加え、“ジェネレーション3”に進化したDrive-e(エンジン)が非常に多くの改良を受けたことも大きい」(ボルボ)との見解。具体的にはピストン、シリンダー、シリンダーヘッドまわりなど摺動部品の変更、エンジンマウントの改良、遮音、静粛性の見直しや改良など、大改良を実施しているという。
そうしたことと、オプションのエアサスペンションを備えた試乗車のおっとりと穏やかな乗り味と相まって、これまでの試乗車の中ではもっとも『XC90』らしい快適で穏やかな走りっぷりが味わえた。
ちなみに気筒休止機構は条件が整えば実行されているはずだが、ISGMのサポートがよほど巧みなのか、走行中、その切り替えはまず体感できないレベル。コースティングについては、メーター内に文字の表示が現れるので認識は可能だ。
なお試乗車には先にレポートした『XC60』とは別のまた渋めの色合いの革製Lightningケーブルが載っていた。オプションだが、代表的なレザーシートに合わせてチャコール、ブロンド、アンバーの3色の用意があるのだそうで、リモコンキー(4色)同様に、ボルボらしくお洒落なコーディネートになっている。
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(レスポンス 島崎七生人)
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