ダイハツ タフト 新型試乗 NAとはまるで質感が違うターボの走り…中村孝仁
軽自動車にはほとんどのケースで660ccのNAエンジンとターボの設定がある。これまで両者の差は単なるエンジンの差だけではなく、外観も異なるのだと勝手に解釈していた。
ところが、よくよく紐解いてみると、そうでもない。ハイト系やスーパーハイト系にはボディに標準とカスタムという仕様が多く存在し、(他にも車名でペットネームをつけるケースもある)、エンジンでは分けていない。
『タフト』の場合も勿論NAとターボが選べ、その2車は少なくともボディの外観上何ら変わるところは無い。強いて挙げればアルミホイールがターボ車はガンメタ塗装。NA車がシルバー塗装となるが、そのデザインはともに一緒である。
それにこのタイヤ/ホイール、軽乗用車の中では最大サイズを誇る165/65R15である。筆者が若かりし頃は普通乗用車で13インチが当たり前。それがフランスの某メーカーは細いけれど15インチを履いていてビックリしたが、今や軽自動車に15インチである。時代は変わったものだとつくづく思う。
◆エンジンの違いだけで走りの質がまるで違う
それにしても今回のタフト、本当に内外装に違いを設けておらず、NAとターボは極めて単純に走行性能の差だけでチョイスが決まるといって良い。因みにその価格差は同じGグレードの車両本体で12.1万円。後は如何にオプションを載せていくかにかかるわけだ。
試乗車両で比較したところ、最初に乗ったNAのGはオプション合計が42万662円。一方のターボは37万6662円で、その差4万4000円。NAにその差額で付いているのはスマートクルーズパックと呼ばれるもの。これはいわゆるアダプティブACCとレーンキープコントロール、それにそのステアリングスイッチである。というわけでこれが標準となるGターボとの価格差は、7万7000円ということになる。
たったの7万7000円でターボの快適な加速感が得られるなら、ちょっと無理しちゃおうと考える人は多いと思うのだが、実は差はそれだけではなかった。同じホイールサイズ、同じタイヤサイズにもかかわらず、何故か走りの質がまるで違うのである。
勿論加速性能は当然ながらターボの方が上で、ほぼ同じようなアクセル開度では車速にして10~15%ほどターボ車の方が速い。高速での試乗をしていないので、高速のパーシャル領域からの加速感は不明だが、それでもNAより速いことは自明である。
ACCも試してみたが、新たにダイハツ初となる電動パーキングブレーキが装備されて、停車保持も可能になっていることに加え、何とブレーキホールド機能も付いている(ダイハツではオートブレーキホールドと呼ぶ)。これはそのボタンをあらかじめ押しておくと、停車した際にブレーキペダルから足を離しても、停車を維持してくれる機能で、実に便利なアシストである。
そもそもACCが軽自動車の新たな潮流として普及が始まったので、いずれこの機能も付いてくる可能性が高いが、電動化の恩恵は軽自動車と高級車の境を取り払っていく可能性すら感じた。
◆軽自動車にも走りの質を求めるならターボ
もう一つの違いはCVT。ターボ車にはDNGAが出来た時に新開発された新しいD-CVTが装備されているのだが、NAは旧来のまま。NAで指摘したヒュイーンという唸り音は、こちらのCVTではほぼ皆無である。だから加速の際もより快適だ。
さらに何故かわからないが走りの質感が異なっていて、ターボ方はNAよりもどっしり感があり、直進安定性も高い。果たしてサスペンションのチューニングを変えているのか、コロナ禍の試乗会のためエンジニアとそのあたりの話をすることが出来なかったが、どうしても違うとしか思えない。特にNAの時に指摘したキャスター角が異なるのではないかと感じたほどだ。どちらにしてもターボ、NAともにほぼ同じルートで試乗したので、違いに驚かされた。
因みに重量差はたったの10kgでしかないから、それがどっしり感に影響を与えたかどうか定かではないが、フィーリング的にはそれ以上の走りの差であった。というわけで、軽自動車にも走りの質を求めるユーザーは是非、ターボをチョイスすることをお勧めする。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファーデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
ところが、よくよく紐解いてみると、そうでもない。ハイト系やスーパーハイト系にはボディに標準とカスタムという仕様が多く存在し、(他にも車名でペットネームをつけるケースもある)、エンジンでは分けていない。
『タフト』の場合も勿論NAとターボが選べ、その2車は少なくともボディの外観上何ら変わるところは無い。強いて挙げればアルミホイールがターボ車はガンメタ塗装。NA車がシルバー塗装となるが、そのデザインはともに一緒である。
それにこのタイヤ/ホイール、軽乗用車の中では最大サイズを誇る165/65R15である。筆者が若かりし頃は普通乗用車で13インチが当たり前。それがフランスの某メーカーは細いけれど15インチを履いていてビックリしたが、今や軽自動車に15インチである。時代は変わったものだとつくづく思う。
◆エンジンの違いだけで走りの質がまるで違う
それにしても今回のタフト、本当に内外装に違いを設けておらず、NAとターボは極めて単純に走行性能の差だけでチョイスが決まるといって良い。因みにその価格差は同じGグレードの車両本体で12.1万円。後は如何にオプションを載せていくかにかかるわけだ。
試乗車両で比較したところ、最初に乗ったNAのGはオプション合計が42万662円。一方のターボは37万6662円で、その差4万4000円。NAにその差額で付いているのはスマートクルーズパックと呼ばれるもの。これはいわゆるアダプティブACCとレーンキープコントロール、それにそのステアリングスイッチである。というわけでこれが標準となるGターボとの価格差は、7万7000円ということになる。
たったの7万7000円でターボの快適な加速感が得られるなら、ちょっと無理しちゃおうと考える人は多いと思うのだが、実は差はそれだけではなかった。同じホイールサイズ、同じタイヤサイズにもかかわらず、何故か走りの質がまるで違うのである。
勿論加速性能は当然ながらターボの方が上で、ほぼ同じようなアクセル開度では車速にして10~15%ほどターボ車の方が速い。高速での試乗をしていないので、高速のパーシャル領域からの加速感は不明だが、それでもNAより速いことは自明である。
ACCも試してみたが、新たにダイハツ初となる電動パーキングブレーキが装備されて、停車保持も可能になっていることに加え、何とブレーキホールド機能も付いている(ダイハツではオートブレーキホールドと呼ぶ)。これはそのボタンをあらかじめ押しておくと、停車した際にブレーキペダルから足を離しても、停車を維持してくれる機能で、実に便利なアシストである。
そもそもACCが軽自動車の新たな潮流として普及が始まったので、いずれこの機能も付いてくる可能性が高いが、電動化の恩恵は軽自動車と高級車の境を取り払っていく可能性すら感じた。
◆軽自動車にも走りの質を求めるならターボ
もう一つの違いはCVT。ターボ車にはDNGAが出来た時に新開発された新しいD-CVTが装備されているのだが、NAは旧来のまま。NAで指摘したヒュイーンという唸り音は、こちらのCVTではほぼ皆無である。だから加速の際もより快適だ。
さらに何故かわからないが走りの質感が異なっていて、ターボ方はNAよりもどっしり感があり、直進安定性も高い。果たしてサスペンションのチューニングを変えているのか、コロナ禍の試乗会のためエンジニアとそのあたりの話をすることが出来なかったが、どうしても違うとしか思えない。特にNAの時に指摘したキャスター角が異なるのではないかと感じたほどだ。どちらにしてもターボ、NAともにほぼ同じルートで試乗したので、違いに驚かされた。
因みに重量差はたったの10kgでしかないから、それがどっしり感に影響を与えたかどうか定かではないが、フィーリング的にはそれ以上の走りの差であった。というわけで、軽自動車にも走りの質を求めるユーザーは是非、ターボをチョイスすることをお勧めする。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファーデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
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