フィアット 500Xスポーツ 新型試乗 SUVであることを5分で忘れさせる…九島辰也
◆背の高いSUVであることなど、5分で忘れてしまう
フィアット『500X』に“スポーツ”という名前のモデルが追加された。スタンダードの500Xと500Xクロスに次ぐ3番目のモデルだ。2015年10月の国内導入以来、イタリア好きの人たちに支持されてきたモデルだが、久しぶりのカンフル剤のような気がする。
というのも、実際に走らせるとまさにカンフル剤のごとくドライバーに刺激を与えてくれるからだ。正直走らせる前はそれほど期待していなかったが、走り出すとすぐにこれまでとは違うと感じた。まさにイタリアのハッチバックのように気持ちよく軽快に駆けまわる。背を高くしたSUVであることなど、5分で忘れてしまう走りだ。
◆コーナリングでもクルリと向きを変えてくれる
手を入れたのは、足まわりとステアリング、それとボディカラーに専用色を用意したあたり。特に大きなウイングが付いたわけでもないので、見た目の新鮮さはそれほどない。クルマの周りを一周するとドアミラーの前に“SPORT”のエンブレムが目に入った程度だ。
だが、よくよく考えるとこのサイズにして19インチのホイールというのはすごい。デザインもイマドキ感があって特別であることをにわかにアピールする。それに500Xが17インチであることを鑑みるとその違いは歴然。もちろん、あちらはクロスカントリー系に仕上げてあるのだからそれで成立しているが、2インチアップというのは英断だ。
そしてこの19インチのタイヤにバッチリ合っているのがサスペンションのセッティング。今回はバネレートもダンパーの減衰圧も変えたそうだ。が、けっしてそれが硬すぎると思う場面はなかった。試乗コースが箱根のワインディングということもあり、コーナリング性能にばかり気が入ってしまいがちだが、乗り心地は悪くない。それとクイックレスポンスになったステアリングフィールもかなりグッド。クルリクルリと向きを変えてくれるため、コーナリングがどんどん楽しくなる。
◆クロスはアウトドア、スポーツは文字通りスポーツ走行向け
こうした運動性能の向上は、今回手を入れた細部が関係しているのは確かだが、基本骨格がいいことが証明される。高いボディ剛性が操作性を高めているということだ。それを手に入れたのが、昨年のマイナーチェンジである。フロント周りの意匠変更とエンジンをスイッチしたタイミングで、かなりの部分見直された。2015年のデビュー時では得られなかった走りの気持ちよさが今は感じられる。
そんな500Xスポーツのプライスは344万円。500Xクロスが341万円だからほとんど変わらない。つまり、この2台は上下関係ではなく、ジャンルの違いを表している。文字通り、“スポーツ”はスポーツ走行派に、“クロス”はオフロードを含むアウトドア派にオススメということだ。そんな目線でこの2台を比較するのはおもしろい。
ボディカラーもオプションもそれぞれの世界観が出るように用意されている。いずれにせよ、“スポーツ”の登場で500Xファミリーの存在感がグッと高まることになるのは間違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
フィアット『500X』に“スポーツ”という名前のモデルが追加された。スタンダードの500Xと500Xクロスに次ぐ3番目のモデルだ。2015年10月の国内導入以来、イタリア好きの人たちに支持されてきたモデルだが、久しぶりのカンフル剤のような気がする。
というのも、実際に走らせるとまさにカンフル剤のごとくドライバーに刺激を与えてくれるからだ。正直走らせる前はそれほど期待していなかったが、走り出すとすぐにこれまでとは違うと感じた。まさにイタリアのハッチバックのように気持ちよく軽快に駆けまわる。背を高くしたSUVであることなど、5分で忘れてしまう走りだ。
◆コーナリングでもクルリと向きを変えてくれる
手を入れたのは、足まわりとステアリング、それとボディカラーに専用色を用意したあたり。特に大きなウイングが付いたわけでもないので、見た目の新鮮さはそれほどない。クルマの周りを一周するとドアミラーの前に“SPORT”のエンブレムが目に入った程度だ。
だが、よくよく考えるとこのサイズにして19インチのホイールというのはすごい。デザインもイマドキ感があって特別であることをにわかにアピールする。それに500Xが17インチであることを鑑みるとその違いは歴然。もちろん、あちらはクロスカントリー系に仕上げてあるのだからそれで成立しているが、2インチアップというのは英断だ。
そしてこの19インチのタイヤにバッチリ合っているのがサスペンションのセッティング。今回はバネレートもダンパーの減衰圧も変えたそうだ。が、けっしてそれが硬すぎると思う場面はなかった。試乗コースが箱根のワインディングということもあり、コーナリング性能にばかり気が入ってしまいがちだが、乗り心地は悪くない。それとクイックレスポンスになったステアリングフィールもかなりグッド。クルリクルリと向きを変えてくれるため、コーナリングがどんどん楽しくなる。
◆クロスはアウトドア、スポーツは文字通りスポーツ走行向け
こうした運動性能の向上は、今回手を入れた細部が関係しているのは確かだが、基本骨格がいいことが証明される。高いボディ剛性が操作性を高めているということだ。それを手に入れたのが、昨年のマイナーチェンジである。フロント周りの意匠変更とエンジンをスイッチしたタイミングで、かなりの部分見直された。2015年のデビュー時では得られなかった走りの気持ちよさが今は感じられる。
そんな500Xスポーツのプライスは344万円。500Xクロスが341万円だからほとんど変わらない。つまり、この2台は上下関係ではなく、ジャンルの違いを表している。文字通り、“スポーツ”はスポーツ走行派に、“クロス”はオフロードを含むアウトドア派にオススメということだ。そんな目線でこの2台を比較するのはおもしろい。
ボディカラーもオプションもそれぞれの世界観が出るように用意されている。いずれにせよ、“スポーツ”の登場で500Xファミリーの存在感がグッと高まることになるのは間違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
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