日産 キックス 新型試乗 ハンドリングはまるでスポーツカーのそれ…中村孝仁
クルマを前にして開口一番「あら、アウディに似てるじゃない」。これ、我が女房殿の言葉である。まあ、多少ともクルマに知識のある世の奥様方の印象はこんなところかもしれない。
◆ワンペダルドライブが好きか嫌いかで決する走り
日産『キックス』に用いられているパワープラントは、1.2リットル3気筒エンジンとモーターを組み合わせたe-POWERのみ。問題はそのe-POWERの走り、即ちワンペダルドライブが好きか嫌いかでこのクルマの走りの面のほとんどすべてを決してしまうと思う。で、大前提として僕はこのe-POWERの走りが好きである。そんなところから話を初めよう。
とにかくワンペダルの面白さは実に微妙なアクセルとブレーキのコントロールを、アクセルひとつでこなせてしまうことにある。前車が止まっているところにどのあたりからアクセルを緩めていったらピタリと止まれるか…そんなことをまるでスマホアプリのゲーム感覚で行えてしまうことも楽しいし、アクセルの増減で走りを如何にスムーズにコントロールできるか等々、遊び感覚で運転の上達具合(ワンペダルへの慣れ具合なのだが)を体感できるところも面白い。
勿論いざという時はブレーキを踏めば当然普通のクルマ同様に、いわゆるギュッと止めることも出来る。また、e-POWERに乗る意味があまりないけれど、ドライブモードのノーマルを選べば普通のクルマ同様に空走感を味わうことも出来る。
◆デザインもインテリアのツートーンも結構いい
で、アウディ似と評されたデザインだが、うまくまとまっていると思う。このクルマ、グローバルマーケット向けのクルマで最初はブラジルでデビュー。今や北米やインド中国など多くの市場で販売されている。日本向けのこのクルマは、実はタイで作られたもの。だからどうなの?ということもないが、個人的には結構いい。
インテリアもイイ。試乗車はツートーンインテリアエディションというやつで、シートがツートーンカラーとなっているもの。グレードはXと名付けられた1グレード展開だが、このツートーンインテリアエディションの方が若干装備も良い(と言ってステアリングヒーターとシートヒーターを装備することぐらいだが)。
シンプルなダッシュボードの作りも気に入ったし、オレンジ色と黒の合皮インテリアも派手だけど個人的には結構いい。
◆ハンドリングはまるでスポーツカーのそれ
今回のe-POWERに乗って『ノート』と比較して一番良かったことは、エンジンでバッテリーをチャージし始めた時の音が静かなこと。それにエンジン、モーター共に性能アップを果たしていて、低速域ではそれほど感じられなかったが、高速に乗って80km/h程度から上のパーシャル領域から加速して行った時の気持ちよさが際立っていた。 個人的には結構いい。
一番気に入ったのはステアリングフィール。切り始めのシャープさが印象的で相当に鋭い。まあ、ルーズな運転が好きな人にはシャープ過ぎて怖いという印象を持たれるかもしれないが、ハンドリング自体はまるでスポーツカーのそれのようで気持ちいい。個人的にはとてもいい。
一方で少々固められた足回りはフラット感に乏しく、常に上下の微振動が伝わるタイプで、乗っていて少々忙しない。決して乗り心地が良いというタイプではない。ちょっといや。
◆気になる燃費性能は意外と…
細かい話をすると、今回の試乗車にはアラウンドビューモニターとセットオプションのインテリジェントルームミラーと呼ばれる、カメラで後方を映し出すルームミラーが付いていた。これ、装備する場所によっては遠近両用メガネ使用者には無用の長物なのだが、眼球から離れた位置についているので良く見える。
ただし、後方からパンダ色のクルマが来ていないか確認する時や、岡っ引きの乗った覆面車を確認するのは容易ではなく、やはりこの点は普通のミラーの方が心強い。それともう一つ、普通のミラーを使用してパーキングなどでアラウンドビューを見たい時は、このミラーに写し出されるためにいちいち切り替えねばならず不便であった。一つに集約するのは良いが、ならばもっとカメラの性能をあげて、普通のミラー以上の精度にして欲しいものである。
とはいえこのキックス。走りもスタイルも運動性能も結構いい。因みに燃費は期待したほど良くはない。おおよそ14.0km/リットルといったところだった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
◆ワンペダルドライブが好きか嫌いかで決する走り
日産『キックス』に用いられているパワープラントは、1.2リットル3気筒エンジンとモーターを組み合わせたe-POWERのみ。問題はそのe-POWERの走り、即ちワンペダルドライブが好きか嫌いかでこのクルマの走りの面のほとんどすべてを決してしまうと思う。で、大前提として僕はこのe-POWERの走りが好きである。そんなところから話を初めよう。
とにかくワンペダルの面白さは実に微妙なアクセルとブレーキのコントロールを、アクセルひとつでこなせてしまうことにある。前車が止まっているところにどのあたりからアクセルを緩めていったらピタリと止まれるか…そんなことをまるでスマホアプリのゲーム感覚で行えてしまうことも楽しいし、アクセルの増減で走りを如何にスムーズにコントロールできるか等々、遊び感覚で運転の上達具合(ワンペダルへの慣れ具合なのだが)を体感できるところも面白い。
勿論いざという時はブレーキを踏めば当然普通のクルマ同様に、いわゆるギュッと止めることも出来る。また、e-POWERに乗る意味があまりないけれど、ドライブモードのノーマルを選べば普通のクルマ同様に空走感を味わうことも出来る。
◆デザインもインテリアのツートーンも結構いい
で、アウディ似と評されたデザインだが、うまくまとまっていると思う。このクルマ、グローバルマーケット向けのクルマで最初はブラジルでデビュー。今や北米やインド中国など多くの市場で販売されている。日本向けのこのクルマは、実はタイで作られたもの。だからどうなの?ということもないが、個人的には結構いい。
インテリアもイイ。試乗車はツートーンインテリアエディションというやつで、シートがツートーンカラーとなっているもの。グレードはXと名付けられた1グレード展開だが、このツートーンインテリアエディションの方が若干装備も良い(と言ってステアリングヒーターとシートヒーターを装備することぐらいだが)。
シンプルなダッシュボードの作りも気に入ったし、オレンジ色と黒の合皮インテリアも派手だけど個人的には結構いい。
◆ハンドリングはまるでスポーツカーのそれ
今回のe-POWERに乗って『ノート』と比較して一番良かったことは、エンジンでバッテリーをチャージし始めた時の音が静かなこと。それにエンジン、モーター共に性能アップを果たしていて、低速域ではそれほど感じられなかったが、高速に乗って80km/h程度から上のパーシャル領域から加速して行った時の気持ちよさが際立っていた。 個人的には結構いい。
一番気に入ったのはステアリングフィール。切り始めのシャープさが印象的で相当に鋭い。まあ、ルーズな運転が好きな人にはシャープ過ぎて怖いという印象を持たれるかもしれないが、ハンドリング自体はまるでスポーツカーのそれのようで気持ちいい。個人的にはとてもいい。
一方で少々固められた足回りはフラット感に乏しく、常に上下の微振動が伝わるタイプで、乗っていて少々忙しない。決して乗り心地が良いというタイプではない。ちょっといや。
◆気になる燃費性能は意外と…
細かい話をすると、今回の試乗車にはアラウンドビューモニターとセットオプションのインテリジェントルームミラーと呼ばれる、カメラで後方を映し出すルームミラーが付いていた。これ、装備する場所によっては遠近両用メガネ使用者には無用の長物なのだが、眼球から離れた位置についているので良く見える。
ただし、後方からパンダ色のクルマが来ていないか確認する時や、岡っ引きの乗った覆面車を確認するのは容易ではなく、やはりこの点は普通のミラーの方が心強い。それともう一つ、普通のミラーを使用してパーキングなどでアラウンドビューを見たい時は、このミラーに写し出されるためにいちいち切り替えねばならず不便であった。一つに集約するのは良いが、ならばもっとカメラの性能をあげて、普通のミラー以上の精度にして欲しいものである。
とはいえこのキックス。走りもスタイルも運動性能も結構いい。因みに燃費は期待したほど良くはない。おおよそ14.0km/リットルといったところだった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来40年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
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