ダイハツ タフト 新型試乗 ファーストカーに選んでもいいと思える軽SUV…丸山誠
◆意外?なタフトのネーミング
年齢が50歳前後の方には『タフト』というネーミングを聞いて懐かしいと思う方も多いはずだ。1970年代から発売されていた本格クロスカントリー4WDが初代タフトだからだ。
のちにトヨタに『ブリザード』としてOEM供給もされていた。ラダーフレームに縦置きエンジン、2速トランスファーを備えていたから、かなりの走破性だったに違いない。というのは、初代タフトに試乗できた世代ではないし、ブリザードもダイハツ『ラガー』のOEMモデルのブリザードでようやく試乗したことがある世代だ。
のっけから昔話で恐縮だが、そうした過去を知る世代にとってはダイハツがタフトというネーミングを再登場させるのは意外でもあった。サイズ感はまったく違うし、本格クロカンの名前を軽自動車に付けるというのだから。
ダイハツは今回のタフトを出す前にスズキの『ハスラー』を追撃するため、『キャスト』を用意した。しかも3タイプのボディを設定し、スポーツをハスラーのライバルにしようと考えたが、ご存じのようにハスラーの快進撃を止めることはできなかった。ダイハツにしてみれば、ちょうどプラットフォームの改編時期にライバルが大ヒット車を生み出したから、混乱もあったのだろう。
◆ファーストカーに選んでもいいと思えるほど走りがこなれている
現代に蘇ったタフトは、軽自動車という枠のモデルながらネーミングどおりのタフネスなエクステリアデザインが映える。直線基調のデザインはハスラーより塊感があってSUVらしさが満点だ。キャストスポーツを出さずにタフトを登場させればよかったとは思うが、前述のようなプラットフォームの事情があったから仕方ない。タフトは現行『タント』から採用されたDNGAの第3弾となる。
パワーユニットはNAとターボの2タイプだが、パワートレーンに若干の違いがある。NAは従来からのCVTを組み合わせているが、ターボは新開発のスプリットギヤを使ったD-CVTを設定。ギヤを組み合わせたCVTのためアクセル操作にリンクして車速が高まるのが特徴で、ドライブフィールにリニア感がある。そのためアクセルレスポンスがよく感じられてスポーティな走りができるのがいい点だ。
乗り心地もフラット感があって軽いボディを意識させない。コンパクトカークラスやそれ以上に迫る滑らかな走りを見せる。ファーストカーに選んでもいいと思えるほど走りがこなれているのが特徴だ。
◆NAでも市街地なら十分な動力性能
NAも十分な動力性能を持っていて、走り出しからトルク感があり市街地走行ではターボに負けないほどの加速性能を見せる。CVTは従来型だが、制御がよくなっているためかこちらもアクセル操作によくリンクしているものの、アクセルを大きく踏み込むとリニア感に差があることがわかる。
市街地中心に使うのであればNAでも動力性能に不満はなく、4人フル乗車しても、ステアリングに付けられたPWR(パワー)スイッチを押せば、エンジン回転を高く保つため加速がいい。ターボもPWRスイッチが設定されているが、それを使わなくてもパワフルな走りが可能だ。ワインディングなどでスポーティに走るときに使えば、とても便利なはずだ。
NAでちょっと気になったのは3000回転ほどから4000回転過ぎまでヒューンというタービン音に似た音が聞こえる点。もちろんターボは付いていないが、このKF型エンジンとCVT組み合わせに共通した音で、ほかのジャーナリストも指摘しているが、気になると耳につく。もっともオーディオを聞いていればわからないほどのボリュームだから、気づかない人もいるだろう。
◆安全装備の充実と、スカイフィールトップも魅力
タフトは先進安全装備が充実しているのも魅力的な点だ。電動パーキングブレーキはオートホールド機能付きで、シフトをPレンジに入れると自動で作動するから上級車のようだ。ACCはもちろん全速域対応で停止保持もしてくれるし、レーンキープ機能もある。
ただし、NAのGにACCとレーンキープコントロールを付けるのには「スマートクルーズパック」を選ぶ必要があるが、価格は4万4000円と安い。もちろんターボは標準。それに特徴でもあるスカイフィールトップは全車標準だからかなり魅力的だ。夜の都心を走るとガラスルーフがビルの明かりでキラキラと光りとても美しい。これまでもガラスサンルーフのクルマはあったが、軽自動車で開口部が大きいガラスルーフは新鮮なドライブ感だ。
おススメは高速道路でも走りがいいターボ。安全装備が充実し、スカイフィールトップが標準というのが魅力的な軽SUVだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
年齢が50歳前後の方には『タフト』というネーミングを聞いて懐かしいと思う方も多いはずだ。1970年代から発売されていた本格クロスカントリー4WDが初代タフトだからだ。
のちにトヨタに『ブリザード』としてOEM供給もされていた。ラダーフレームに縦置きエンジン、2速トランスファーを備えていたから、かなりの走破性だったに違いない。というのは、初代タフトに試乗できた世代ではないし、ブリザードもダイハツ『ラガー』のOEMモデルのブリザードでようやく試乗したことがある世代だ。
のっけから昔話で恐縮だが、そうした過去を知る世代にとってはダイハツがタフトというネーミングを再登場させるのは意外でもあった。サイズ感はまったく違うし、本格クロカンの名前を軽自動車に付けるというのだから。
ダイハツは今回のタフトを出す前にスズキの『ハスラー』を追撃するため、『キャスト』を用意した。しかも3タイプのボディを設定し、スポーツをハスラーのライバルにしようと考えたが、ご存じのようにハスラーの快進撃を止めることはできなかった。ダイハツにしてみれば、ちょうどプラットフォームの改編時期にライバルが大ヒット車を生み出したから、混乱もあったのだろう。
◆ファーストカーに選んでもいいと思えるほど走りがこなれている
現代に蘇ったタフトは、軽自動車という枠のモデルながらネーミングどおりのタフネスなエクステリアデザインが映える。直線基調のデザインはハスラーより塊感があってSUVらしさが満点だ。キャストスポーツを出さずにタフトを登場させればよかったとは思うが、前述のようなプラットフォームの事情があったから仕方ない。タフトは現行『タント』から採用されたDNGAの第3弾となる。
パワーユニットはNAとターボの2タイプだが、パワートレーンに若干の違いがある。NAは従来からのCVTを組み合わせているが、ターボは新開発のスプリットギヤを使ったD-CVTを設定。ギヤを組み合わせたCVTのためアクセル操作にリンクして車速が高まるのが特徴で、ドライブフィールにリニア感がある。そのためアクセルレスポンスがよく感じられてスポーティな走りができるのがいい点だ。
乗り心地もフラット感があって軽いボディを意識させない。コンパクトカークラスやそれ以上に迫る滑らかな走りを見せる。ファーストカーに選んでもいいと思えるほど走りがこなれているのが特徴だ。
◆NAでも市街地なら十分な動力性能
NAも十分な動力性能を持っていて、走り出しからトルク感があり市街地走行ではターボに負けないほどの加速性能を見せる。CVTは従来型だが、制御がよくなっているためかこちらもアクセル操作によくリンクしているものの、アクセルを大きく踏み込むとリニア感に差があることがわかる。
市街地中心に使うのであればNAでも動力性能に不満はなく、4人フル乗車しても、ステアリングに付けられたPWR(パワー)スイッチを押せば、エンジン回転を高く保つため加速がいい。ターボもPWRスイッチが設定されているが、それを使わなくてもパワフルな走りが可能だ。ワインディングなどでスポーティに走るときに使えば、とても便利なはずだ。
NAでちょっと気になったのは3000回転ほどから4000回転過ぎまでヒューンというタービン音に似た音が聞こえる点。もちろんターボは付いていないが、このKF型エンジンとCVT組み合わせに共通した音で、ほかのジャーナリストも指摘しているが、気になると耳につく。もっともオーディオを聞いていればわからないほどのボリュームだから、気づかない人もいるだろう。
◆安全装備の充実と、スカイフィールトップも魅力
タフトは先進安全装備が充実しているのも魅力的な点だ。電動パーキングブレーキはオートホールド機能付きで、シフトをPレンジに入れると自動で作動するから上級車のようだ。ACCはもちろん全速域対応で停止保持もしてくれるし、レーンキープ機能もある。
ただし、NAのGにACCとレーンキープコントロールを付けるのには「スマートクルーズパック」を選ぶ必要があるが、価格は4万4000円と安い。もちろんターボは標準。それに特徴でもあるスカイフィールトップは全車標準だからかなり魅力的だ。夜の都心を走るとガラスルーフがビルの明かりでキラキラと光りとても美しい。これまでもガラスサンルーフのクルマはあったが、軽自動車で開口部が大きいガラスルーフは新鮮なドライブ感だ。
おススメは高速道路でも走りがいいターボ。安全装備が充実し、スカイフィールトップが標準というのが魅力的な軽SUVだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
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