フィアット 500Xインディゴ 新型試乗 ツッコミどころ満載だけど憎めないやつ…中村孝仁
フィアット『500X』に試乗するのはこれが3回目のことだ。2015年デビューだから、1年半おきに乗っている計算で、結構乗っている方。
毎回辛口に評価させていただいて、きっと販売されている方は苦々しく思っているに違いない。特に最初に乗った初期モデルでは、ブレーキやトランスミッションに問題があってかなり辛辣に書いた。
その後、エンジンがマルチエアからファイアフライに変わったマイナーチェンジではこれらの部分は改善されていたのだが、のっけから恐縮だが、今回乗った3回目のモデルはトランスミッションが再び元に戻ってしまっている印象だった。
◆ツッコミどころが満載なんだけど…
ファイアフライユニットは従来と変わらないはずだが、エンジンルームを覗き込んだら遮音性を高めるカバーの形もサイズも変わっていて、ぐっと小さくなっていた。このエンジン、とてもスムーズで結構力強い。特に始動時、エンジンがかかってファーストアイドルを始めた時の滑らかさは特筆もの。ただ一方で、性格というかチューニングは日本市場には合っていない気がする。
と言いうのも、結構なドッカンターボ傾向を示すからだ。ドッカンと言っても大したものではないのだが、おおよそ2500rpm以下ではやや緩慢の加速であるのに対し、2500rpmを超えたあたりからやおらその加速力が高まるのだ。(ATモードの場合)そんなわけで、このクルマを愉しむには、十分に性格を知り尽くしたうえでドライバーがそれを使いこなす必要がある。まあ、お勧めとしては比較的高回転を保ち、パドルを使ったマニュアルシフトとすることだ。
DCTは再び発進時のもたつき感が気になるものになってしまった。もっともこれもATモード限定の症状で、パドルを使えばどうということはない。また、一旦走り出した後の繋がり感は非常にスムーズである。
そして乗り心地。初代に乗った時にゴムまりがサスペンションの代わりをしている…などと評したが、そこまでは行かなくても昨年乗ったモデルと比べたら恐らくイメージとしては初代のものに近いものに変わってしまった印象が強い。特に低速域では比較的突き上げ感が大きく、ボディの揺れの収束もピシッと一発で…というわけにはいかないのだ。もしかすると18インチにサイズアップしたタイヤの影響かもしれない。
◆ツボにはまると本当に痛快なのである
とまあ、ツッコミどころが満載の500Xなのだが、こちらが運転方法をアジャストして、このクルマの良さを引き出すようなドライブをすると、これが一気に痛快なモデルへと様変わりする。
まずはエンジンを比較的高回転に保つためにマニュアルモードを使うこと。そして常に適度に飛ばして走ることである。まあ、制限を気にしながらということで。こうすると、500Xのネガな要素はおおよそ消えてこれぞイタリア車!という走りを見せてくれるから面白い。元々ハンドリングは良いクルマだったから、ツボにはまると本当に痛快なのである。
今回の試乗車「500Xインディゴ」は、150台限定のモデルで18インチのホイールにグッドイヤー・イーグルF1タイヤを装着し、内外装をマットジーンズブルーで仕上げたモデルである。インディゴブルーと言えば、フォードの専売特許のごとく、コブラの使われていた定番カラーだが、それよりもだいぶ淡く、しかもマットであるからだいぶ趣が違う。第一後ろにブルーが付かない。インテリアでもダッシュボードにこのカラーが反映されていて、なかなかお洒落である。
残念ながら4WDの設定はなくすべてFWDだ。日本国内に関していえば、同じプラットフォームを用いたジープ『レネゲード』があるので四駆はそちらで…ということかもしれない。
正直言って、決して優秀なモデルではないし、出来の良いクルマでもないのだが、適切な使い方というか、楽しく乗るように仕向ければ痛快で、気になる部分についても目をつぶることが出来る。だいたい、作りもかなりプリミティブで、久しぶりにフルサイズのスペアタイヤを拝んだ。メーターもアナログだし…。でも本当に憎めないやつだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
毎回辛口に評価させていただいて、きっと販売されている方は苦々しく思っているに違いない。特に最初に乗った初期モデルでは、ブレーキやトランスミッションに問題があってかなり辛辣に書いた。
その後、エンジンがマルチエアからファイアフライに変わったマイナーチェンジではこれらの部分は改善されていたのだが、のっけから恐縮だが、今回乗った3回目のモデルはトランスミッションが再び元に戻ってしまっている印象だった。
◆ツッコミどころが満載なんだけど…
ファイアフライユニットは従来と変わらないはずだが、エンジンルームを覗き込んだら遮音性を高めるカバーの形もサイズも変わっていて、ぐっと小さくなっていた。このエンジン、とてもスムーズで結構力強い。特に始動時、エンジンがかかってファーストアイドルを始めた時の滑らかさは特筆もの。ただ一方で、性格というかチューニングは日本市場には合っていない気がする。
と言いうのも、結構なドッカンターボ傾向を示すからだ。ドッカンと言っても大したものではないのだが、おおよそ2500rpm以下ではやや緩慢の加速であるのに対し、2500rpmを超えたあたりからやおらその加速力が高まるのだ。(ATモードの場合)そんなわけで、このクルマを愉しむには、十分に性格を知り尽くしたうえでドライバーがそれを使いこなす必要がある。まあ、お勧めとしては比較的高回転を保ち、パドルを使ったマニュアルシフトとすることだ。
DCTは再び発進時のもたつき感が気になるものになってしまった。もっともこれもATモード限定の症状で、パドルを使えばどうということはない。また、一旦走り出した後の繋がり感は非常にスムーズである。
そして乗り心地。初代に乗った時にゴムまりがサスペンションの代わりをしている…などと評したが、そこまでは行かなくても昨年乗ったモデルと比べたら恐らくイメージとしては初代のものに近いものに変わってしまった印象が強い。特に低速域では比較的突き上げ感が大きく、ボディの揺れの収束もピシッと一発で…というわけにはいかないのだ。もしかすると18インチにサイズアップしたタイヤの影響かもしれない。
◆ツボにはまると本当に痛快なのである
とまあ、ツッコミどころが満載の500Xなのだが、こちらが運転方法をアジャストして、このクルマの良さを引き出すようなドライブをすると、これが一気に痛快なモデルへと様変わりする。
まずはエンジンを比較的高回転に保つためにマニュアルモードを使うこと。そして常に適度に飛ばして走ることである。まあ、制限を気にしながらということで。こうすると、500Xのネガな要素はおおよそ消えてこれぞイタリア車!という走りを見せてくれるから面白い。元々ハンドリングは良いクルマだったから、ツボにはまると本当に痛快なのである。
今回の試乗車「500Xインディゴ」は、150台限定のモデルで18インチのホイールにグッドイヤー・イーグルF1タイヤを装着し、内外装をマットジーンズブルーで仕上げたモデルである。インディゴブルーと言えば、フォードの専売特許のごとく、コブラの使われていた定番カラーだが、それよりもだいぶ淡く、しかもマットであるからだいぶ趣が違う。第一後ろにブルーが付かない。インテリアでもダッシュボードにこのカラーが反映されていて、なかなかお洒落である。
残念ながら4WDの設定はなくすべてFWDだ。日本国内に関していえば、同じプラットフォームを用いたジープ『レネゲード』があるので四駆はそちらで…ということかもしれない。
正直言って、決して優秀なモデルではないし、出来の良いクルマでもないのだが、適切な使い方というか、楽しく乗るように仕向ければ痛快で、気になる部分についても目をつぶることが出来る。だいたい、作りもかなりプリミティブで、久しぶりにフルサイズのスペアタイヤを拝んだ。メーターもアナログだし…。でも本当に憎めないやつだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来43年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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