BMW 5シリーズ 新型試乗 まさにBMWの良心中の良心のような存在…島崎七生人
◆ライバル『Eクラス』と同時発表だった大幅改良版
今年5月の本国での最新型発表が、何と最大のライバル車メルセデスベンツ『Eクラス』と日付ごと重なった。相乗効果を狙ってのことだったかどうか定かではないが、そういう奇遇も時にはあるものかもしれない。
アチラ同様に、今回の新しい『5シリーズ』は大幅改良版だ。とはいえ今のBMWの中にあって何はともあれホッとさせられるのは、飛びすぎのデザインにはならなかった点。
資料には“BMW伝統のキドニー・グリルをよりワイドに一体化するとともに立体的な造形に”したことや、ヘッドライトも“L字型のLEDライトを採用することでBMW伝統の4灯ヘッドライトを表現しながらモダンかつスポーティなイメージを強調”などと記されている。
確かにヘッドランプはユニットごと新規で、それはバンパー形状を新しくさせるなど影響を及ぼしている。L字のLEDランプも今どきのデザインだ。が、新しいキドニーグリルのサイズ、縦横比、マスクに占める割合、バランスは、それとなく手が入ってはいるがきわめて妥当で、眺めていて安心感がある点に物凄く好感がもてる。
『5シリーズ』は初代の“E12”以来(途中の“E60”を除いて)、ゆとりがあるがアピアランスは控えめで上品なアッパーミドルセダンの位置づけできたが、その路線は依然、保たれている。均整のとれたプロポーションももちろん健在で、まさにBMWの良心中の良心のような存在に見える。キチンとした“ホフマイスターキンク”も健在だし……。
◆ゆったりとした室内に最新12.3インチメーターディスプレイ
インテリアも基本デザインはこれまでどおり。ただしメーターは12.3インチの最新のものに取って代わるなどしている。試乗車はオプション設定のナッパ・レザーシートを装着し、ダイヤゴナル・ステッチの入ったややゴージャス志向のシートに置き換えられるなどしていた。
が、室内空間はこれまで通りゆったりとしたもので、後席は、ややオシリを落とし込んだシートに心地よく身体が受け止められる姿勢で、頭上空間もセダンらしく天井までの余裕が十分にある。
トランクスペースは両サイドのトリム部が段付きになった形状のため、この狭いほう(床面の幅)は810mmほどで、広いほうが940mmほど、奥行きは1130mm、高さは530mmといったところ(いずれもレポーター実測値、おおよそのもの)。モジュールを積み込んでみてはいないが、実際の使用時は、奥から詰めて物を積む使い方がよさそうだ。
◆基本的な資質として上質なセダン
そして走り。試乗車は「530i Luxury」で、搭載エンジンは2リットル・ターボ(252ps/35.7kgm)というもの。さらにウェブカタログでみると、アダプティブサスペンション、インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)などを標準装備する。タイヤはランフラットのピレリP-ZEROだった。
が、そうした特別なスペックをまったく意識させない(事実、スペックはいずれも試乗後に調べて知った)自然でスムースで、乗り心地の懐も深く、とにかくアッパーミドルサルーンに相応しい心地のいい走りっぷりは、嬉しいことにこれまでどおりのイメージだった。
動力性能の不満はいささかもないし、4気筒とは思えない走行中の静粛性の高さは「さすが5シリーズ」と思わせられるものだ。とにかく神経を逆撫でされない優しく上質なドライバビリティがいい。
3眼式ステレオカメラによるハンズオフ機能や最新の運転・安全支援システムの搭載など、機能面のアップデートも当然盛り込まれる。そうした機能ももちろん嬉しいに違いない。が、それ以前に、基本的な資質として上質なセダンであることが、このクルマの最大の魅力だろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
今年5月の本国での最新型発表が、何と最大のライバル車メルセデスベンツ『Eクラス』と日付ごと重なった。相乗効果を狙ってのことだったかどうか定かではないが、そういう奇遇も時にはあるものかもしれない。
アチラ同様に、今回の新しい『5シリーズ』は大幅改良版だ。とはいえ今のBMWの中にあって何はともあれホッとさせられるのは、飛びすぎのデザインにはならなかった点。
資料には“BMW伝統のキドニー・グリルをよりワイドに一体化するとともに立体的な造形に”したことや、ヘッドライトも“L字型のLEDライトを採用することでBMW伝統の4灯ヘッドライトを表現しながらモダンかつスポーティなイメージを強調”などと記されている。
確かにヘッドランプはユニットごと新規で、それはバンパー形状を新しくさせるなど影響を及ぼしている。L字のLEDランプも今どきのデザインだ。が、新しいキドニーグリルのサイズ、縦横比、マスクに占める割合、バランスは、それとなく手が入ってはいるがきわめて妥当で、眺めていて安心感がある点に物凄く好感がもてる。
『5シリーズ』は初代の“E12”以来(途中の“E60”を除いて)、ゆとりがあるがアピアランスは控えめで上品なアッパーミドルセダンの位置づけできたが、その路線は依然、保たれている。均整のとれたプロポーションももちろん健在で、まさにBMWの良心中の良心のような存在に見える。キチンとした“ホフマイスターキンク”も健在だし……。
◆ゆったりとした室内に最新12.3インチメーターディスプレイ
インテリアも基本デザインはこれまでどおり。ただしメーターは12.3インチの最新のものに取って代わるなどしている。試乗車はオプション設定のナッパ・レザーシートを装着し、ダイヤゴナル・ステッチの入ったややゴージャス志向のシートに置き換えられるなどしていた。
が、室内空間はこれまで通りゆったりとしたもので、後席は、ややオシリを落とし込んだシートに心地よく身体が受け止められる姿勢で、頭上空間もセダンらしく天井までの余裕が十分にある。
トランクスペースは両サイドのトリム部が段付きになった形状のため、この狭いほう(床面の幅)は810mmほどで、広いほうが940mmほど、奥行きは1130mm、高さは530mmといったところ(いずれもレポーター実測値、おおよそのもの)。モジュールを積み込んでみてはいないが、実際の使用時は、奥から詰めて物を積む使い方がよさそうだ。
◆基本的な資質として上質なセダン
そして走り。試乗車は「530i Luxury」で、搭載エンジンは2リットル・ターボ(252ps/35.7kgm)というもの。さらにウェブカタログでみると、アダプティブサスペンション、インテグレイテッド・アクティブ・ステアリング(前後輪統合制御ステアリング・システム)などを標準装備する。タイヤはランフラットのピレリP-ZEROだった。
が、そうした特別なスペックをまったく意識させない(事実、スペックはいずれも試乗後に調べて知った)自然でスムースで、乗り心地の懐も深く、とにかくアッパーミドルサルーンに相応しい心地のいい走りっぷりは、嬉しいことにこれまでどおりのイメージだった。
動力性能の不満はいささかもないし、4気筒とは思えない走行中の静粛性の高さは「さすが5シリーズ」と思わせられるものだ。とにかく神経を逆撫でされない優しく上質なドライバビリティがいい。
3眼式ステレオカメラによるハンズオフ機能や最新の運転・安全支援システムの搭載など、機能面のアップデートも当然盛り込まれる。そうした機能ももちろん嬉しいに違いない。が、それ以前に、基本的な資質として上質なセダンであることが、このクルマの最大の魅力だろう。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
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島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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