ホンダ N-ONE 新型試乗 乗るほどにその良さを実感できる…まるも亜希子
1967年にホンダ初の乗用車として生まれ、人々に愛されただけでなく「自家用車のある暮らし」の夢を与えた『N360』。その思想を現代に引き継ぎ、2012年に新しい軽自動車として誕生したのが初代『N-ONE』だ。
「マンマキシマム・メカミニマム」という、「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」のMM思想を実現しつつ、軽快で安定感のある上質な走行性能を叶えた、ホンダらしいモデルとして支持を得た。
そして今、2代目となった新型N-ONEは、時代を超えた普遍的存在を目指すべく、日本の「車と人との関係」を根本から見つめ直し、すべてを磨き上げて登場した。
◆あえて初代から「変えないこと」を選んだ2代目
まずデザインは、人を中心に考えたクルマのカタチを、線でつないだ無駄のないシルエットだったN360のデザインを継承し、流行に左右されず愛される「タイムレスデザイン」を追求。あえて初代から「変えないこと」を選んだ。
しかし、軽初のデイタイムランニングランプを含む、フルLEDのヘッドライトやリヤコンビネーションランプなどで、アイコンとなったフェイスはモダンに進化。全体としてはバンパー下部を踏ん張りのあるスタンスとし、ワイド感と安定感を表現したのが印象的だ。
また過剰な演出は控えつつ、キャラクターの異なる3タイプを用意。ヘッドライトに丸目を強調するシルバーリングを採用し、N-ONEらしさを磨いた「Original」。水平基調の大開口グリルとフォグライトガーニッシュモールにクロームメッキをあしらい、上質感を高めた「Premium」。ハニカムメッシュグリルをダーククロームメッキで縁取り、ブラック塗装のN-ONEエンブレムなどで精悍な表情をもたせて走りの楽しさを予感させるのが「RS」だ。
そしてインテリアでは、乗り込んだ瞬間の「心地よい開放感」を表現。そのために必要なものだけを残し、それ以外を大胆に削ぎ落とした。自然光の明るさを生かすため、上向きにレイアウトしたインパネは、助手席まで伸びやかに広がり、プレーンな面質で様々な素材に映える加飾に。運転席と助手席をセパレートに配置し、その間にドリンクホルダーなどのセンターコンソールを置くことで、自然と手が届くユーティリティを実現しながら、スッキリとした開放感を持たせる。
助手席の足元も、ゴッソリとパネルをえぐったように大きなスペースが取られ、大柄な人でもくつろいで座れる空間となっている。また、低床で十分な容量を確保したラゲッジは、置き傘や靴などの収納にも便利な床下収納もあり、後席が5:5で倒せて長い荷物や大きな荷物もしっかり積載可能。後席の座面を跳ね上げれば背の高い荷物も積めて、買い物やレジャーもこなせそうだ。
◆見えないところで大きく変わったメカニズム
今回、見た目以上に大きく変わったのはメカニズム。心躍る走りを追求するため、パワートレインにはNシリーズ第2世代の自然吸気、ターボエンジンを搭載。バルブコントロール機構VTEC採用で、58ps/65Nmの優れたパワーとWLTCモードで23.0km/リットルの低燃費を実現した自然吸気エンジンは、CVTとの組み合わせで「Original」と「Premium」に搭載。
62ps/104Nmと軽トップクラスのパワーを誇るターボエンジンは、「Premium Tourer」にCVTを設定し、「RS」にはCVTと6速MTも設定している。6速MTは1~5速をクロスレシオ化した『S660』のギアレシオとの組み合わせが、爽快なシフトフィールを引き出し、クラッチも高トルク対応で、しっかり感がありながら快適なクラッチフィールが見どころの1つだ。
また、CVTでも素早くGが立ち上がり、エンジン回転がリニアに上昇するG-Design Shift制御をN-ONE用にセッティング。構造から見直した軽量・高剛性ボディとあいまって、パフォーマンスを存分に発揮できるメカニズムとなっている。
◆オリジナルとプレミアムツアラー…タイヤサイズで変わる乗り味
まず試乗したのは「Premium Tourer」のCVTモデル。出足からスッと軽やかさがありながら、落ち着きのあるステアリングフィールや、シッカリと地面に4輪が踏ん張る感覚のある乗り味が、軽自動車とは思えない上質感を感じさせる。エンジンノイズだけでなく、風切り音などもよく抑えられた静粛性の高さも、そうした上質感を高めているのかもしれない。
また、足元は15インチアルミホイールで、前席で感じるしなやかさはもちろん、後席でも不快な振動が抑えられ、とても快適。足元や頭上のスペースも十分で、ハイトワゴンほどの広さはないものの、例えばママと子供で乗る日常や、たまに友人を乗せてドライブに行くといったシーンでも満足度が高いのではと感じた。
次に「Original」に乗り換えると、14インチタイヤを履くこともあって、足元からの軽快感がより際立つ印象。コーナリングもスイスイと機敏になったようで、スニーカーに履き替えたような、元気な走りが楽しめる。装備としては、ステアリングやシフトレバーが本革巻ではなくなったり、エアコンアウトレットのクロームメッキがダブルではなくシングルになったりと、少しずつシンプルになっているが、これはこれで素朴で心地いい空間だ。
ただ、そんな「Original」から全車に、Honda SENSINGやパーキングセンサーといった先進の安全運転支援システムが標準装備となっている。「軽自動車だからこそ、高いレベルを求めた」というだけあって、衝突安全ボディーや歩行者保護ボンネット、サイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグの標準装備で全方位に進化。
電子制御パーキングブレーキも発進時にアクセルを踏むだけで自動的に解除ができ、停止時にブレーキペダルから足を離しても停止状態が保てるオートブレーキホールド機能がつくなど、街中でのチョイ乗りから便利さを実感できる内容となっている。
人生の相棒を選ぶように、好みのキャラクターが選べることや、見えない部分で大きな進化を遂げ、乗るほどに良さを実感する高い性能を手にしていること。新型N-ONEはまさに、流行を追わず無理をしない「自分らしさ」を大事にする人に、ぴったりの1台になっていると感じた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌、ウェブサイト、ラジオ、トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
「マンマキシマム・メカミニマム」という、「人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に」のMM思想を実現しつつ、軽快で安定感のある上質な走行性能を叶えた、ホンダらしいモデルとして支持を得た。
そして今、2代目となった新型N-ONEは、時代を超えた普遍的存在を目指すべく、日本の「車と人との関係」を根本から見つめ直し、すべてを磨き上げて登場した。
◆あえて初代から「変えないこと」を選んだ2代目
まずデザインは、人を中心に考えたクルマのカタチを、線でつないだ無駄のないシルエットだったN360のデザインを継承し、流行に左右されず愛される「タイムレスデザイン」を追求。あえて初代から「変えないこと」を選んだ。
しかし、軽初のデイタイムランニングランプを含む、フルLEDのヘッドライトやリヤコンビネーションランプなどで、アイコンとなったフェイスはモダンに進化。全体としてはバンパー下部を踏ん張りのあるスタンスとし、ワイド感と安定感を表現したのが印象的だ。
また過剰な演出は控えつつ、キャラクターの異なる3タイプを用意。ヘッドライトに丸目を強調するシルバーリングを採用し、N-ONEらしさを磨いた「Original」。水平基調の大開口グリルとフォグライトガーニッシュモールにクロームメッキをあしらい、上質感を高めた「Premium」。ハニカムメッシュグリルをダーククロームメッキで縁取り、ブラック塗装のN-ONEエンブレムなどで精悍な表情をもたせて走りの楽しさを予感させるのが「RS」だ。
そしてインテリアでは、乗り込んだ瞬間の「心地よい開放感」を表現。そのために必要なものだけを残し、それ以外を大胆に削ぎ落とした。自然光の明るさを生かすため、上向きにレイアウトしたインパネは、助手席まで伸びやかに広がり、プレーンな面質で様々な素材に映える加飾に。運転席と助手席をセパレートに配置し、その間にドリンクホルダーなどのセンターコンソールを置くことで、自然と手が届くユーティリティを実現しながら、スッキリとした開放感を持たせる。
助手席の足元も、ゴッソリとパネルをえぐったように大きなスペースが取られ、大柄な人でもくつろいで座れる空間となっている。また、低床で十分な容量を確保したラゲッジは、置き傘や靴などの収納にも便利な床下収納もあり、後席が5:5で倒せて長い荷物や大きな荷物もしっかり積載可能。後席の座面を跳ね上げれば背の高い荷物も積めて、買い物やレジャーもこなせそうだ。
◆見えないところで大きく変わったメカニズム
今回、見た目以上に大きく変わったのはメカニズム。心躍る走りを追求するため、パワートレインにはNシリーズ第2世代の自然吸気、ターボエンジンを搭載。バルブコントロール機構VTEC採用で、58ps/65Nmの優れたパワーとWLTCモードで23.0km/リットルの低燃費を実現した自然吸気エンジンは、CVTとの組み合わせで「Original」と「Premium」に搭載。
62ps/104Nmと軽トップクラスのパワーを誇るターボエンジンは、「Premium Tourer」にCVTを設定し、「RS」にはCVTと6速MTも設定している。6速MTは1~5速をクロスレシオ化した『S660』のギアレシオとの組み合わせが、爽快なシフトフィールを引き出し、クラッチも高トルク対応で、しっかり感がありながら快適なクラッチフィールが見どころの1つだ。
また、CVTでも素早くGが立ち上がり、エンジン回転がリニアに上昇するG-Design Shift制御をN-ONE用にセッティング。構造から見直した軽量・高剛性ボディとあいまって、パフォーマンスを存分に発揮できるメカニズムとなっている。
◆オリジナルとプレミアムツアラー…タイヤサイズで変わる乗り味
まず試乗したのは「Premium Tourer」のCVTモデル。出足からスッと軽やかさがありながら、落ち着きのあるステアリングフィールや、シッカリと地面に4輪が踏ん張る感覚のある乗り味が、軽自動車とは思えない上質感を感じさせる。エンジンノイズだけでなく、風切り音などもよく抑えられた静粛性の高さも、そうした上質感を高めているのかもしれない。
また、足元は15インチアルミホイールで、前席で感じるしなやかさはもちろん、後席でも不快な振動が抑えられ、とても快適。足元や頭上のスペースも十分で、ハイトワゴンほどの広さはないものの、例えばママと子供で乗る日常や、たまに友人を乗せてドライブに行くといったシーンでも満足度が高いのではと感じた。
次に「Original」に乗り換えると、14インチタイヤを履くこともあって、足元からの軽快感がより際立つ印象。コーナリングもスイスイと機敏になったようで、スニーカーに履き替えたような、元気な走りが楽しめる。装備としては、ステアリングやシフトレバーが本革巻ではなくなったり、エアコンアウトレットのクロームメッキがダブルではなくシングルになったりと、少しずつシンプルになっているが、これはこれで素朴で心地いい空間だ。
ただ、そんな「Original」から全車に、Honda SENSINGやパーキングセンサーといった先進の安全運転支援システムが標準装備となっている。「軽自動車だからこそ、高いレベルを求めた」というだけあって、衝突安全ボディーや歩行者保護ボンネット、サイドエアバッグやサイドカーテンエアバッグの標準装備で全方位に進化。
電子制御パーキングブレーキも発進時にアクセルを踏むだけで自動的に解除ができ、停止時にブレーキペダルから足を離しても停止状態が保てるオートブレーキホールド機能がつくなど、街中でのチョイ乗りから便利さを実感できる内容となっている。
人生の相棒を選ぶように、好みのキャラクターが選べることや、見えない部分で大きな進化を遂げ、乗るほどに良さを実感する高い性能を手にしていること。新型N-ONEはまさに、流行を追わず無理をしない「自分らしさ」を大事にする人に、ぴったりの1台になっていると感じた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
まるも亜希子/カーライフ・ジャーナリスト
映画声優、自動車雑誌『ティーポ(Tipo)』編集者を経て、カーライフ・ジャーナリストとして独立。 現在は雑誌、ウェブサイト、ラジオ、トークショーなどに出演・寄稿する他、セーフティ&エコドライブのインストラクターも務める。04年・05年にはサハラ砂漠ラリーに参戦、完走。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員、AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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