スズキ ソリオ 新型試乗 「その手があったか!」なデザインと、注目の後席&荷室…島崎七生人

『ソリオ』のCMにパパイヤ鈴木のダンスで壁を後ろに押し出すような振り付けがあったり、カタログの表紙では掌で“5”を表していたり……と、無駄なく商品特徴をアピールしているあたりは流石である。わかりやすいクルマ、という訳だ。

前回のフルモデルチェンジから5年。新型は手堅く一新された……そんな印象だ。

◆「そういう手があったか!」なフロントグリル


外観ではフード先端が高められ(+45mm、ソリオバンディットは+25mm)ノーズまわりの厚みが増したことで押し出し感(=安定感)が強まったほか、『ソリオバンディット』は「そういう手があったか!」と思わせる、高級セダンのようなクロームのフレーム付きのフロントグリルが新鮮。

ウェーブを描くボディサイドのキャラクターライン、一度落として再び後方にハネ上がったリヤクオーターウインドゥ上端のグラフィックも新型の特徴だ。

インテリアでは2段重ね風のインパネのデザインが目を引くが、センターメーターセンターパネル、シフトと機能はオーソドックスに配置され、メカメカしくないムードに仕上げられている。4.2インチカラー液晶マルチインフォメーションディスプレイは全車標準で、グレードによりスズキ小型車初のカラーのヘッドアップディスプレイも装備する。



◆注目のリヤセクション

リヤセクションも注目だ。今回全長が80mm伸ばされたのに対し、ラゲッジスペースの床面が100mm延長され(←パパイヤ鈴木のダンスで表現されている)550~715mmと広げられた。35リットルサイズのスーツケース5個の積載が可能なのが売りで、もちろんラゲッジスペースのゆとりが増したことは実車を一目見てもわかる。

が、もうひとつメリットがあるのは後席の着座状態で、後頭部に感じるリヤウインドまでの距離が増したことで、後席の“居心地”にゆとりが増した。もちろんスペースは足元、頭上ともに余裕は十分で、シート自体も座面前後長が長く、大きめのクッションがゆったりとたわむことで、快適な座り心地を作り出している。


後席は165mmのスライドが可能だ。またスライドドア部の開口部は幅610mm×高さ1220mm、サイドシルまでの高さは370mm(以上、試乗時の筆者実測値)で、乗降性に問題はない。

◆ストレスのない4気筒+モーター


試乗車は『ソリオ』『ソリオバンディット』ともに2WDモデルで、車重はともに1000kgちょうど。新型のパワートレインは、いわゆるマイルドハイブリッドの4気筒1242cc(91ps/12.0kg・m)+モーター(3.1ps/5.1kg・m)というもの。

エンジンが4気筒ということもありパワーフィールはスムースで、走行中の“モーターアシスト感”はほとんど実感されないほどだが、通常の走らせ方でのストレスはなく、Sモードを使えばよりキレ味の鋭いパワー感が味わえる。

乗り心地もストロークをとったサスペンションのおかげで、通常走行時の安定感、快適性に大きな不満は感じない。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

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