レクサス IS 新型試乗 影武者のように働くセッティングは「見事」…九島辰也
レクサス『IS』がマイナーチェンジした。言うなればビッグマイナー。キープコンセプトではあるが、ひとつひとつ丁寧に見ていくとかなり手が入っているのがわかる。フルモデルチェンジと言わないのは基本骨格となるプラットフォームは継続されるからだ。
TNGAのレクサス版「GA-L」は採用されない。その背景にはいろいろ事情があるだろうが、それに負けず劣らない進化を見せている。既存のプラットフォームを徹底的に煮詰めたのだ。きっとその辺はスーパーGTをはじめレースで培ってきたノウハウの証だろう。実際に走らせてもこれまでとは違うのがよくわかる。
◆影武者のように働くセッティングの仕上がり
ということで、走らせた印象に話を移すが、選んだのは2リットル直4ターボエンジンを搭載したエントリーモデル、「IS300」である。主力になるのは2.5リットル直4+モーターの「IS300h」かもしれないが、事前の評判ではその運動性能が取り沙汰されていた。となれば、それが如実にわかる最も車両重量が軽いモデルを試したくなるというものだ。そこで、その「Fスポーツ」で富士スピードウェイ周辺の峠道を駆ってみた。
走り出してすぐに感じるのはステアリングのレスポンスの良さと鋭いキレ。コーナー手前でスッと切った時の反応がよく気持ちがいい。そしてコーナーの深いところに入っていくタイミングでスルスルとそのまま切り続ける時の感触もグッド。まさにステアリング操作が楽しくなるクルマだ。感覚的には従来よりも切れ角は増したような気になる。
もちろん、これには堅牢なボディ剛性とスタビリティの高いリアサスペンションのセッティングが必要なのだが、それが見事に成し遂げられている。それもこれ見よがしではなく自然なフィーリングでの仕上がりだ。ステアリング操作に対し、影武者のように働くそれらの仕上がりは見事と言いたい。
◆太すぎないグリップは「大賛成」
山中湖畔に抜けるワインディングをそんな感じで走っていて、あることに気がついた。それはステアリンググリップの太さ。BMWに象徴されるように最近のロードカーのステアリングは太い傾向にあるが、このクルマはそれほど太くない。そのため路面からのフィードバックなどステアフィールがいい感じに伝わってくる。
個人的にも太すぎないグリップは大賛成で、ロードカーであればこそ太いグリップは必要ないと思っている。日々の足に997型のポルシェ『911』を使っているが、そのステアリングの太さがまさに絶妙で、車庫から出すだけで「やっぱりコレ」と思わせるほどだ。IS300のグリップはそれに近いことを付け加えたい。
FRスポーツセダンと銘打つISは走りだけでなくデザインもそのイメージを強くする。早く沈む西陽でリアフェンダーの膨らみが強調され、その迫力がよくわかった。というか、「ここまでやったんだ」と感心させられる。
マイナーチェンジではあるが語るところがたくさんある新型IS。次の機会にはハイブリッドでロングドライブに出かけてみたくなった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
TNGAのレクサス版「GA-L」は採用されない。その背景にはいろいろ事情があるだろうが、それに負けず劣らない進化を見せている。既存のプラットフォームを徹底的に煮詰めたのだ。きっとその辺はスーパーGTをはじめレースで培ってきたノウハウの証だろう。実際に走らせてもこれまでとは違うのがよくわかる。
◆影武者のように働くセッティングの仕上がり
ということで、走らせた印象に話を移すが、選んだのは2リットル直4ターボエンジンを搭載したエントリーモデル、「IS300」である。主力になるのは2.5リットル直4+モーターの「IS300h」かもしれないが、事前の評判ではその運動性能が取り沙汰されていた。となれば、それが如実にわかる最も車両重量が軽いモデルを試したくなるというものだ。そこで、その「Fスポーツ」で富士スピードウェイ周辺の峠道を駆ってみた。
走り出してすぐに感じるのはステアリングのレスポンスの良さと鋭いキレ。コーナー手前でスッと切った時の反応がよく気持ちがいい。そしてコーナーの深いところに入っていくタイミングでスルスルとそのまま切り続ける時の感触もグッド。まさにステアリング操作が楽しくなるクルマだ。感覚的には従来よりも切れ角は増したような気になる。
もちろん、これには堅牢なボディ剛性とスタビリティの高いリアサスペンションのセッティングが必要なのだが、それが見事に成し遂げられている。それもこれ見よがしではなく自然なフィーリングでの仕上がりだ。ステアリング操作に対し、影武者のように働くそれらの仕上がりは見事と言いたい。
◆太すぎないグリップは「大賛成」
山中湖畔に抜けるワインディングをそんな感じで走っていて、あることに気がついた。それはステアリンググリップの太さ。BMWに象徴されるように最近のロードカーのステアリングは太い傾向にあるが、このクルマはそれほど太くない。そのため路面からのフィードバックなどステアフィールがいい感じに伝わってくる。
個人的にも太すぎないグリップは大賛成で、ロードカーであればこそ太いグリップは必要ないと思っている。日々の足に997型のポルシェ『911』を使っているが、そのステアリングの太さがまさに絶妙で、車庫から出すだけで「やっぱりコレ」と思わせるほどだ。IS300のグリップはそれに近いことを付け加えたい。
FRスポーツセダンと銘打つISは走りだけでなくデザインもそのイメージを強くする。早く沈む西陽でリアフェンダーの膨らみが強調され、その迫力がよくわかった。というか、「ここまでやったんだ」と感心させられる。
マイナーチェンジではあるが語るところがたくさんある新型IS。次の機会にはハイブリッドでロングドライブに出かけてみたくなった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。『Car EX』(世界文化社 刊)副編集長、『アメリカンSUV』(エイ出版社 刊)編集長などを経験しフリーランスに。その後メンズ誌『LEON』(主婦と生活社 刊)副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
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