マツダ3 SKYACTIV-D 新型試乗 バリューにこだわるツーリング派には最適…片岡英明
20年11月に商品改良を受けた『マツダ3』。SKYACTIV-Xと同じように、直噴システムを採用した直列4気筒DOHCディーゼルターボ(SKYACTIV-D)エンジンも進化した。
マツダ3や『CX-30』に搭載される1756ccのS8-DPTS型エンジンは、より広い回転域で力強いトルクを発生するように制御を変え、アクセルを踏み始めた瞬間の応答性を高めている。従来型は最高出力85kW(116ps)/4000rpm、最大トルク270N・m(27.5kg-m)/1600~2600rpmだった。これに対し最新型は、最高出力を95kW(130ps)/4000rpmに高めている。最大トルクは今までと同じだ。
◆狙っていた通りに加速していく気持ちよさ
試乗したのは、セダンのXDプロアクティブで、駆動方式はAWDである。トランスミッションは電子制御6速AT(6EC-AT)だった。この直噴ターボは高回転まで気持ちよく回る。だが、従来型では低回転域のトルクがヨーロッパ製のディーゼルより細く感じられ、瞬発力も今一歩だった。最新型は、アクセルを踏み込むと、タイムラグを感じることなく、パワーとトルクが湧き出てきてリニアな加速を見せてくれた。
踏み始めの応答レスポンスがよくなり、狙っていた通りに加速していくから気持ちよく感じる。荒々しい加速ではない。ジェントルに、低回転からトルク感が増し、滑らかさにスピードを乗せていく。制御を変更した直噴のディーゼルターボが本領を発揮するのは2500回転からだが、その下の領域でも力強いトルクを感じ取ることができる。そして3000回転を超えたあたりからパワーとトルクが気持ちよく盛り上がり、その気になれば4600回転まで引っ張ることが可能だ。
◆小気味よい加速を披露、エンジン音も気にならない
試乗したのはAWDだったが、1400kg台の重を感じさせない軽やかな加速を披露した。パーシャル域からの加速も小気味よい。6速ATもダイレクト感があり、リズミカルにギアがつながる。遮音材をおごっていることもあり、クルージング時の静粛性はかなり高かった。100km/h巡航は2200回転くらいだが、エンジン音は耳につかない。また、従来型で気になった発進直後のカラカラとしたノイズと振動も上手に抑え込んでいる。
ちなみにWLTCモード燃費は従来型が19.0km/Lであるのに対し、パワーアップされた最新型もまったく同じ19.0km/Lだ。高速道路と空いた郊外の道を40kmほど走ったが、その時オンボードコンピューターに表示された平均燃費は、なんと26.7km/L。軽油はガソリンより安いから、距離を走る人は魅力的と感じるだろう。
◆今までより正確なハンドリングを披露
ハンドリングにも磨きがかけられた印象だ。従来型のディーゼルエンジン搭載車は鼻先が重く、ボディとサスペンションの一体感が今一歩と感じられた。最新型は今までより正確なハンドリングを披露し、ステアリング操作に対し素直にクルマが向きを変える。回頭遅れが気にならなくなっているし、揺り返しも小さく抑えられていた。18インチの45タイヤを上手に履きこなし、意のままの気持ちいい走りを実現している。もちろん、ガソリン車より上質と感じた快適な乗り心地は最新型にも引き継がれていた。
最新型はエンジンパフォーマンスの向上に合わせて、i-ACTIV AWDのセッティングも変えているようだ。今回はチェックする機会がなかったが、雪道やダートなどの滑りやすい路面では、より曲がるAWDへと進化を遂げているはずである。さらに魅力を増したSKYACTIV-DのAWDは、バリューにこだわるツーリング派には最適な選択と言えそうだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
マツダ3や『CX-30』に搭載される1756ccのS8-DPTS型エンジンは、より広い回転域で力強いトルクを発生するように制御を変え、アクセルを踏み始めた瞬間の応答性を高めている。従来型は最高出力85kW(116ps)/4000rpm、最大トルク270N・m(27.5kg-m)/1600~2600rpmだった。これに対し最新型は、最高出力を95kW(130ps)/4000rpmに高めている。最大トルクは今までと同じだ。
◆狙っていた通りに加速していく気持ちよさ
試乗したのは、セダンのXDプロアクティブで、駆動方式はAWDである。トランスミッションは電子制御6速AT(6EC-AT)だった。この直噴ターボは高回転まで気持ちよく回る。だが、従来型では低回転域のトルクがヨーロッパ製のディーゼルより細く感じられ、瞬発力も今一歩だった。最新型は、アクセルを踏み込むと、タイムラグを感じることなく、パワーとトルクが湧き出てきてリニアな加速を見せてくれた。
踏み始めの応答レスポンスがよくなり、狙っていた通りに加速していくから気持ちよく感じる。荒々しい加速ではない。ジェントルに、低回転からトルク感が増し、滑らかさにスピードを乗せていく。制御を変更した直噴のディーゼルターボが本領を発揮するのは2500回転からだが、その下の領域でも力強いトルクを感じ取ることができる。そして3000回転を超えたあたりからパワーとトルクが気持ちよく盛り上がり、その気になれば4600回転まで引っ張ることが可能だ。
◆小気味よい加速を披露、エンジン音も気にならない
試乗したのはAWDだったが、1400kg台の重を感じさせない軽やかな加速を披露した。パーシャル域からの加速も小気味よい。6速ATもダイレクト感があり、リズミカルにギアがつながる。遮音材をおごっていることもあり、クルージング時の静粛性はかなり高かった。100km/h巡航は2200回転くらいだが、エンジン音は耳につかない。また、従来型で気になった発進直後のカラカラとしたノイズと振動も上手に抑え込んでいる。
ちなみにWLTCモード燃費は従来型が19.0km/Lであるのに対し、パワーアップされた最新型もまったく同じ19.0km/Lだ。高速道路と空いた郊外の道を40kmほど走ったが、その時オンボードコンピューターに表示された平均燃費は、なんと26.7km/L。軽油はガソリンより安いから、距離を走る人は魅力的と感じるだろう。
◆今までより正確なハンドリングを披露
ハンドリングにも磨きがかけられた印象だ。従来型のディーゼルエンジン搭載車は鼻先が重く、ボディとサスペンションの一体感が今一歩と感じられた。最新型は今までより正確なハンドリングを披露し、ステアリング操作に対し素直にクルマが向きを変える。回頭遅れが気にならなくなっているし、揺り返しも小さく抑えられていた。18インチの45タイヤを上手に履きこなし、意のままの気持ちいい走りを実現している。もちろん、ガソリン車より上質と感じた快適な乗り心地は最新型にも引き継がれていた。
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