レクサス LS 新型試乗 乗り心地はもう少し上質にする余地がある…渡辺陽一郎
◆改良された「LS500h F SPORT」に試乗
一般ユーザーが購入する国産セダンで、実質的に最上級車種となるのがレクサス『LS』だ。エンジンはV型6気筒3.5リットルのツインターボとハイブリッドを用意する。改良を実施したので、販売比率が60%のハイブリッドを試乗した。グレードは「LS500h F SPORT」であった。
走りの変更点では、ショックアブソーバーの減衰力を変化させる機能が注目される。改良を受けて減衰力の可変幅が広がり、なおかつ前後輪ともに減衰力を全般的に低く抑えた。
タイヤの縦バネ(タイヤの側面部分における縦方向の伸縮性)も最適化した。硬過ぎると路上の細かなデコボコを伝えやすく、柔らか過ぎるとブヨブヨと捕らえ所のない不快な乗り心地になる。試乗したFスポーツの20インチタイヤは、2019年10月の一部改良で改善を受けていた。
◆先代型ユーザーの不満は解消されたのか
現行LSの発売当初は、柔軟なのに芯のある妙な硬さを伴い、さまざまな電子制御が入るためにスッキリしない違和感が伴った。後席に座ると、クルマ酔いが生じやすく感じる場面もあった。
改良を経てこの違和感は解消され、乗り心地も快適になったが、LSは3.5リットルツインターボの価格が最も安いグレードでも1114万円だ。試乗したハイブリッドの「LS500h F SPORT」は1351万円に達する。メルセデスベンツ『S500 4MATIC』の1375万円と同等だから、ライバル車との関係も考慮すると、乗り心地はもう少し上質にする余地があるだろう。
また全長5235mm、全幅1900mmのボディサイズは、やはり日本で運転すると大きく感じる。先代型のユーザーからは「新型LSは自宅の車庫に入らず、乗り替えができない」という不満も生じている。そのために2020年のLSの登録台数は約1800台で、『ES』の37%程度に留まった。LSはレクサスの代表車種だから、乗り心地や価格も含めて、もう少し選びやすいクルマであって欲しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★
渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。
一般ユーザーが購入する国産セダンで、実質的に最上級車種となるのがレクサス『LS』だ。エンジンはV型6気筒3.5リットルのツインターボとハイブリッドを用意する。改良を実施したので、販売比率が60%のハイブリッドを試乗した。グレードは「LS500h F SPORT」であった。
走りの変更点では、ショックアブソーバーの減衰力を変化させる機能が注目される。改良を受けて減衰力の可変幅が広がり、なおかつ前後輪ともに減衰力を全般的に低く抑えた。
タイヤの縦バネ(タイヤの側面部分における縦方向の伸縮性)も最適化した。硬過ぎると路上の細かなデコボコを伝えやすく、柔らか過ぎるとブヨブヨと捕らえ所のない不快な乗り心地になる。試乗したFスポーツの20インチタイヤは、2019年10月の一部改良で改善を受けていた。
◆先代型ユーザーの不満は解消されたのか
現行LSの発売当初は、柔軟なのに芯のある妙な硬さを伴い、さまざまな電子制御が入るためにスッキリしない違和感が伴った。後席に座ると、クルマ酔いが生じやすく感じる場面もあった。
改良を経てこの違和感は解消され、乗り心地も快適になったが、LSは3.5リットルツインターボの価格が最も安いグレードでも1114万円だ。試乗したハイブリッドの「LS500h F SPORT」は1351万円に達する。メルセデスベンツ『S500 4MATIC』の1375万円と同等だから、ライバル車との関係も考慮すると、乗り心地はもう少し上質にする余地があるだろう。
また全長5235mm、全幅1900mmのボディサイズは、やはり日本で運転すると大きく感じる。先代型のユーザーからは「新型LSは自宅の車庫に入らず、乗り替えができない」という不満も生じている。そのために2020年のLSの登録台数は約1800台で、『ES』の37%程度に留まった。LSはレクサスの代表車種だから、乗り心地や価格も含めて、もう少し選びやすいクルマであって欲しい。
■5つ星評価
パッケージング:★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★
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1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。
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