【マツダ2 サンリット・シトラス 新型試乗】7年経ったとは思えない新鮮さがある…中村孝仁
『マツダ2』の前身である『デミオ』が誕生したのは2014年のこと。そして基本はそのままにマツダ2となったのは2019年のことである。車名を変えたからといって一体どこがどう変わったのか…個人的にはかなり当時は懐疑的であった。そして2年が経ち、またまた商品改良が施された。今回はエンジンである。
ガソリンエンジンで圧縮比14.0まで引き上げた
従来の1.5リットルガソリンエンジンの圧縮比を14.0まで引き上げた。ディーゼルエンジンならいざ知らず、ガソリンエンジンの圧縮比は精々いっても13程度と思われていた。ところが今回は14.0である。ここまで持って来ることが出来るのは、やはりSKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)の技術が生きているからであろう。
ではなぜ圧縮比を上げるのか。それは熱効率を有効に使うためである。ただ限界がある。だからマツダでも高圧縮比の1.5リットルは従来ハイオクガソリンを要求していた。ところが今回は確かに他のハイオク仕様よりパワーは低いものの、レギュラーガソリンで行ける。このための技術がダイアゴナル・ボルテックス・コンバッションなる斜め渦を発生させる燃焼なのだそうだ。
そんなわけですぐさまエンジンを覗いてみようとボンネットを開けた。もっとも外から見ても何かがわかるわけではないのだが、モーターショーに行って車を前にすると、とりあえず座ってみるのと一緒だ。で、ボンネットを開けて、あれ?化粧カバーがない。そう、かつてのマツダ2はボンネットを開けるとSKYACTIVE-Gと書かれたプラスチック製のカバーがかかっていたのだが、それがない。エンジンはスッポンポンの裸である。
近年はヨーロッパ製のモデルもコンパクトカーは裸のケースが多い。で、それに倣ったのかと思いきや、話によれば静粛性が向上して蓋をする必要がなくなったのだとか…。ホントかよ?である。ならば蓋をつければもっと静かになるはずじゃん?と突っ込みを入れたくなる。
回していくのが苦にならないエンジン
で、ほんとに静かになったかというと、まあそこそこは静かかもしれない。少なくとも例の蓋をとっても以前とさほど変わらない音量であるから、静かになった効果は出ているということだろう。それよりもエンジンの回転フィールがいい。
昔から4気筒エンジンは大体4000rpm付近から上になると急激にその音量が高まり振動が出るといったことが多かったのだが、このエンジン、6000rpmまでは全く急激な音変化がないし振動もない。回転に比例して音は大きくなるが、実にリニアな上昇カーブである。だから、回していくのが苦にならないエンジンである。因みにパワーは従来と同じ。トルクは僅か1Nmだが、従来よりも向上している。
で、このエンジンを搭載したFWDのオートマチックトランスミッション搭載車は2030年度燃費基準における減税対象となって、重量税が50%低減されるのだそうだ。もっとも今、マツダ2のラインナップにはこの高圧縮比エンジンと従来のエンジンが同居しているから要注意である。
プラスチックでもなかなか上質に見せる
「サンリット・シトラス」というのは特別仕様車である。プラチナクォーツメタリックと呼ばれる外装と、明るいアルカンタラのようなシート素材のグランリュクスと呼ばれる人工皮革にシトラスカラーの挿し色を施したシートが特徴で、インテリアはかなり明るい雰囲気である。
見た目にはなかなか上質に見えるのだが、実はプラスチック部分はすべてハードプラスチックだから、叩けばポコポコと音がするのだが、そんな素材をなかなか上質に見せてしまうのが7年の歳月でマツダが培った一つの見せ方なのだろう。
ハイブリッドの日産ノート並の実燃費
乗り心地は平坦な路面ではそれなりだが、少し荒れたところに行くと突き上げ感が大きくなって、この点は要改良だ。もっともそれは次世代に託すことになるのだと思う。
燃費が良くなって減税対象となっているのだが、高速を走ると燃費は16km/リットルを超えるが、総平均としては200kmほど走って15km/リットルといったところであった。最近はトヨタが特に燃費の面で突き抜けているが、この燃費はシリーズハイブリッドの日産『ノート』とそう大きくは変わらない。アイドリングストップだけのガソリン車としては頑張った方ともいえる。
一点だけ気になったのはトランスミッションが2速から3速にシフト、あるいはその逆で必ずヒューンあるいはピューンと結構切ない音を立てること。まあ個体差も考えられるが、音が大きいだけに気になった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
ガソリンエンジンで圧縮比14.0まで引き上げた
従来の1.5リットルガソリンエンジンの圧縮比を14.0まで引き上げた。ディーゼルエンジンならいざ知らず、ガソリンエンジンの圧縮比は精々いっても13程度と思われていた。ところが今回は14.0である。ここまで持って来ることが出来るのは、やはりSKYACTIV-X(スカイアクティブ・エックス)の技術が生きているからであろう。
ではなぜ圧縮比を上げるのか。それは熱効率を有効に使うためである。ただ限界がある。だからマツダでも高圧縮比の1.5リットルは従来ハイオクガソリンを要求していた。ところが今回は確かに他のハイオク仕様よりパワーは低いものの、レギュラーガソリンで行ける。このための技術がダイアゴナル・ボルテックス・コンバッションなる斜め渦を発生させる燃焼なのだそうだ。
そんなわけですぐさまエンジンを覗いてみようとボンネットを開けた。もっとも外から見ても何かがわかるわけではないのだが、モーターショーに行って車を前にすると、とりあえず座ってみるのと一緒だ。で、ボンネットを開けて、あれ?化粧カバーがない。そう、かつてのマツダ2はボンネットを開けるとSKYACTIVE-Gと書かれたプラスチック製のカバーがかかっていたのだが、それがない。エンジンはスッポンポンの裸である。
近年はヨーロッパ製のモデルもコンパクトカーは裸のケースが多い。で、それに倣ったのかと思いきや、話によれば静粛性が向上して蓋をする必要がなくなったのだとか…。ホントかよ?である。ならば蓋をつければもっと静かになるはずじゃん?と突っ込みを入れたくなる。
回していくのが苦にならないエンジン
で、ほんとに静かになったかというと、まあそこそこは静かかもしれない。少なくとも例の蓋をとっても以前とさほど変わらない音量であるから、静かになった効果は出ているということだろう。それよりもエンジンの回転フィールがいい。
昔から4気筒エンジンは大体4000rpm付近から上になると急激にその音量が高まり振動が出るといったことが多かったのだが、このエンジン、6000rpmまでは全く急激な音変化がないし振動もない。回転に比例して音は大きくなるが、実にリニアな上昇カーブである。だから、回していくのが苦にならないエンジンである。因みにパワーは従来と同じ。トルクは僅か1Nmだが、従来よりも向上している。
で、このエンジンを搭載したFWDのオートマチックトランスミッション搭載車は2030年度燃費基準における減税対象となって、重量税が50%低減されるのだそうだ。もっとも今、マツダ2のラインナップにはこの高圧縮比エンジンと従来のエンジンが同居しているから要注意である。
プラスチックでもなかなか上質に見せる
「サンリット・シトラス」というのは特別仕様車である。プラチナクォーツメタリックと呼ばれる外装と、明るいアルカンタラのようなシート素材のグランリュクスと呼ばれる人工皮革にシトラスカラーの挿し色を施したシートが特徴で、インテリアはかなり明るい雰囲気である。
見た目にはなかなか上質に見えるのだが、実はプラスチック部分はすべてハードプラスチックだから、叩けばポコポコと音がするのだが、そんな素材をなかなか上質に見せてしまうのが7年の歳月でマツダが培った一つの見せ方なのだろう。
ハイブリッドの日産ノート並の実燃費
乗り心地は平坦な路面ではそれなりだが、少し荒れたところに行くと突き上げ感が大きくなって、この点は要改良だ。もっともそれは次世代に託すことになるのだと思う。
燃費が良くなって減税対象となっているのだが、高速を走ると燃費は16km/リットルを超えるが、総平均としては200kmほど走って15km/リットルといったところであった。最近はトヨタが特に燃費の面で突き抜けているが、この燃費はシリーズハイブリッドの日産『ノート』とそう大きくは変わらない。アイドリングストップだけのガソリン車としては頑張った方ともいえる。
一点だけ気になったのはトランスミッションが2速から3速にシフト、あるいはその逆で必ずヒューンあるいはピューンと結構切ない音を立てること。まあ個体差も考えられるが、音が大きいだけに気になった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
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