【スバル WRX S4 新型試乗】パワーダウンでも余りある、プラス400ccの恩恵…片岡英明
2.4リットルボクサーを搭載する新型 WRX
第5世代となる最新のスバル『WRX S4』は、心臓を2.4リットルのFA24型水平対向4気筒DOHC直噴ターボとしている。また、先代までコンプリートモデルの『WRX STI』にはマニュアル車が存在したが、最新モデルは(現在のところ)2ペダルのCVT(リニアトロニック改めスバルパフォーマンストランスミッション)だけの設定だ。
エクステリアは先代を正常進化させたデザインだが、リアピラーは傾斜を強め、空力パーツも随所に用いている。全長は75mm延び、全幅は30mm広がって1825mmとなった。インテリアは基本的に『レヴォーグ』と共通デザインだ。ドライバーの前には12.3インチのフル液晶モニターや11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイを配している。
グレードは2つだ。アイサイトを標準装備する「GT-H」とZF社製の電子制御可変ダンパーやレザーシート採用の「STI スポーツR」が用意され、その両方に高度運転支援システムのアイサイトXとアイサイトセーフティプラスを加えた「EX」を設定した。
400ccの排気量差は予想以上に大きい
2代目レヴォーグと同じ最新のスバルグローバルプラットフォームを採用し、FA24型水平対向4気筒DOHC直噴ターボは、最高出力202kW(275ps)/5600rpm、最大トルク375Nm(38.2kg-m)/2000~4800rpmを発生する。そのパワースペックは、名機と言われたEJ20型ターボはもちろん、先代のS4が搭載したFA20型ターボにも及ばない。が、走り出すとターボの過給レスポンスは大きく向上し、力強い加速を見せつけた。「ノーマルモード」でさえトルクの盛り上がりは豪快だ。
真価を発揮するのは「スポーツモード」からである。このモードを選ぶと6000回転オーバーまで軽々と回り、3000回転を超えたあたりからエンジン音が変わるとともにモリモリと分厚いトルクが湧き上がった。CVTは8段ステップ変速制御になり、変速レスポンスは鋭いし、変速スピードも一気に速くなる。ステアリングにはパドルが付き、シフトダウンするときは上手に回転を合わせて自動でブリッピングを行う。
真打ちは「スポーツ+」モードだ。もう少し高回転まで回ってくれ、と願ってしまうほど、瞬時にレッドゾーンに飛び込んでしまう。
400ccの排気量差は予想以上に大きく、実用域から厚みのあるトルクを発生する。フル加速では強烈なGに体が押し付けられるほど鋭いダッシュを見せ、パワーとトルクが弾ける。標準のスポーツシートも優れたホールド性を披露したが、サーキット走行ではオプション設定のレカロシートはその一歩上を行っていた。
このS4は流すような走りではジェントルだ。実用域のトルクが豊かだからフレキシブルで扱いやすい。また、クルージングでは静粛性も高いレベルにある。
ハンドリングとフットワークに感銘を受けた
パワーユニット以上に感銘を受けたのはハンドリングとフットワークだ。サスペンションは、フロントがストラット、リアはダブルウイッシュボーンで、STI スポーツRはZF社の電子制御可変ダンパーにドライブモードセレクトを組み合わせた。「コンフォート」から「スポーツ+」まで5つのモードがあり、減衰力を走りに合わせて最適制御する。駆動方式はVTD-AWDで、LSDの差動制限と3モードのVDCのコントロールも絶妙にチューニングした。
操舵して最初に感動したのはデュアルピニオンの電動パワーステアリングの仕上がりだ。不快なフリクションを上手に封じ込み、少ない舵角で狙ったラインに無理なく乗せることができる。シャシーが強靭だから足の動きもよくなった。GT-Hでもハンドリングは素直だし、身のこなしは軽やかだ。STI スポーツRは「コンフォート」や「ノーマル」モードでも優れた回頭性を見せ、意のままの走りを楽しむことができる。
「スポーツ」モードからは異次元の走りだ。操っている感じが強くなり、クルマはFR車のように気持ちよく向きを変える。リアが滑り出しても狙ったラインを巧みにトレースしようとするし、アクセルを踏みながらのダイナミックな走りも苦にしない。横滑りの制御とブレーキのタッチがいいこともあり、コーナリングスピードは驚くほど高かった。コーナーの入り口から軽やかにクルマが向きを変え、リアの巻き込みも上手に抑え込む。
アクセル操作によってコントロールできる範囲が広く、路面からのインフォメーションも正確だ。優れた路面追従性を身につけているから運転がうまくなったように感じられる。気になる乗り心地も「ノーマル」モードまでなら悪くない。
6速MTの設定がないのは残念だが、走りにこだわるクルマ好きが欲しくなる魅力あふれる高性能スポーツセダンだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
第5世代となる最新のスバル『WRX S4』は、心臓を2.4リットルのFA24型水平対向4気筒DOHC直噴ターボとしている。また、先代までコンプリートモデルの『WRX STI』にはマニュアル車が存在したが、最新モデルは(現在のところ)2ペダルのCVT(リニアトロニック改めスバルパフォーマンストランスミッション)だけの設定だ。
エクステリアは先代を正常進化させたデザインだが、リアピラーは傾斜を強め、空力パーツも随所に用いている。全長は75mm延び、全幅は30mm広がって1825mmとなった。インテリアは基本的に『レヴォーグ』と共通デザインだ。ドライバーの前には12.3インチのフル液晶モニターや11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイを配している。
グレードは2つだ。アイサイトを標準装備する「GT-H」とZF社製の電子制御可変ダンパーやレザーシート採用の「STI スポーツR」が用意され、その両方に高度運転支援システムのアイサイトXとアイサイトセーフティプラスを加えた「EX」を設定した。
400ccの排気量差は予想以上に大きい
2代目レヴォーグと同じ最新のスバルグローバルプラットフォームを採用し、FA24型水平対向4気筒DOHC直噴ターボは、最高出力202kW(275ps)/5600rpm、最大トルク375Nm(38.2kg-m)/2000~4800rpmを発生する。そのパワースペックは、名機と言われたEJ20型ターボはもちろん、先代のS4が搭載したFA20型ターボにも及ばない。が、走り出すとターボの過給レスポンスは大きく向上し、力強い加速を見せつけた。「ノーマルモード」でさえトルクの盛り上がりは豪快だ。
真価を発揮するのは「スポーツモード」からである。このモードを選ぶと6000回転オーバーまで軽々と回り、3000回転を超えたあたりからエンジン音が変わるとともにモリモリと分厚いトルクが湧き上がった。CVTは8段ステップ変速制御になり、変速レスポンスは鋭いし、変速スピードも一気に速くなる。ステアリングにはパドルが付き、シフトダウンするときは上手に回転を合わせて自動でブリッピングを行う。
真打ちは「スポーツ+」モードだ。もう少し高回転まで回ってくれ、と願ってしまうほど、瞬時にレッドゾーンに飛び込んでしまう。
400ccの排気量差は予想以上に大きく、実用域から厚みのあるトルクを発生する。フル加速では強烈なGに体が押し付けられるほど鋭いダッシュを見せ、パワーとトルクが弾ける。標準のスポーツシートも優れたホールド性を披露したが、サーキット走行ではオプション設定のレカロシートはその一歩上を行っていた。
このS4は流すような走りではジェントルだ。実用域のトルクが豊かだからフレキシブルで扱いやすい。また、クルージングでは静粛性も高いレベルにある。
ハンドリングとフットワークに感銘を受けた
パワーユニット以上に感銘を受けたのはハンドリングとフットワークだ。サスペンションは、フロントがストラット、リアはダブルウイッシュボーンで、STI スポーツRはZF社の電子制御可変ダンパーにドライブモードセレクトを組み合わせた。「コンフォート」から「スポーツ+」まで5つのモードがあり、減衰力を走りに合わせて最適制御する。駆動方式はVTD-AWDで、LSDの差動制限と3モードのVDCのコントロールも絶妙にチューニングした。
操舵して最初に感動したのはデュアルピニオンの電動パワーステアリングの仕上がりだ。不快なフリクションを上手に封じ込み、少ない舵角で狙ったラインに無理なく乗せることができる。シャシーが強靭だから足の動きもよくなった。GT-Hでもハンドリングは素直だし、身のこなしは軽やかだ。STI スポーツRは「コンフォート」や「ノーマル」モードでも優れた回頭性を見せ、意のままの走りを楽しむことができる。
「スポーツ」モードからは異次元の走りだ。操っている感じが強くなり、クルマはFR車のように気持ちよく向きを変える。リアが滑り出しても狙ったラインを巧みにトレースしようとするし、アクセルを踏みながらのダイナミックな走りも苦にしない。横滑りの制御とブレーキのタッチがいいこともあり、コーナリングスピードは驚くほど高かった。コーナーの入り口から軽やかにクルマが向きを変え、リアの巻き込みも上手に抑え込む。
アクセル操作によってコントロールできる範囲が広く、路面からのインフォメーションも正確だ。優れた路面追従性を身につけているから運転がうまくなったように感じられる。気になる乗り心地も「ノーマル」モードまでなら悪くない。
6速MTの設定がないのは残念だが、走りにこだわるクルマ好きが欲しくなる魅力あふれる高性能スポーツセダンだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
最新ニュース
-
-
「クルマファンを増やす」ため茨城のトヨタディーラーが結集! その核となる「茨城ワクドキクラブ」が目指す先
2024.11.19
-
-
-
レクサスの3列シート大型SUV『TX』に「Fスポーツハンドリング」追加
2024.11.19
-
-
-
NISMOフェスティバル、ブランド40周年で富士スピードウェイに歴代レーシングカー集結 12月1日開催
2024.11.19
-
-
-
トムス、キッズEVカート無料体験イベント開催、全日本カート選手権EV部門最終戦で
2024.11.18
-
-
-
アキュラ、新型コンパクトSUV『ADX』発表…1.5リットルVTECターボ搭載
2024.11.18
-
-
-
イチオシ機能の“実効空力”は本物なのか? ホンダアクセス「モデューロ」が30周年!
2024.11.18
-
-
-
ロータリー搭載計画もあった、2代目『シルビア』の“クリスタルな輝き”【懐かしのカーカタログ】
2024.11.18
-
最新ニュース
-
-
「クルマファンを増やす」ため茨城のトヨタディーラーが結集! その核となる「茨城ワクドキクラブ」が目指す先
2024.11.19
-
-
-
レクサスの3列シート大型SUV『TX』に「Fスポーツハンドリング」追加
2024.11.19
-
-
-
NISMOフェスティバル、ブランド40周年で富士スピードウェイに歴代レーシングカー集結 12月1日開催
2024.11.19
-
-
-
トムス、キッズEVカート無料体験イベント開催、全日本カート選手権EV部門最終戦で
2024.11.18
-
-
-
アキュラ、新型コンパクトSUV『ADX』発表…1.5リットルVTECターボ搭載
2024.11.18
-
-
-
イチオシ機能の“実効空力”は本物なのか? ホンダアクセス「モデューロ」が30周年!
2024.11.18
-
MORIZO on the Road