【トヨタ アクア 新型試乗】「ヤリス」では物足りないという人に魅力的なHV…片岡英明
トヨタの好調を陰で支えている名車の1台が、ハイブリッド専用モデルの『アクア』だ。初代アクアは2011年12月に登場し、10年近くに渡って第一線で活躍を続けた。2013年からは3年連続してベストセラーの座に就くなど、大成功を収めている。このアクアが第2世代にバトンタッチした。
リアシートの快適性が大きく向上したのがうれしい
エクステリアは、誰が見てもアクアと分かる明快なデザインだ。だが、ワンモーションフォルムが際立ったし、リアビューも個性を強めている。
全長と全幅は変わっていないが、ホイールベースは50mm延び、背も30mm高くなった。インテリアはシンプルだが、操作系スイッチは使いやすくなっているし、10.5インチのディスプレイも見やすい位置にある。運転席からの開放感はそれなりだが、居心地のいい空間だ。フロントシートは大ぶりで、サポート性も悪くない。ただし、デザイン優先のためか、斜め後方の視界は今一歩にとどまる。
うれしいのは、リアシートの快適性が大きく向上したことだ。ホンダ『フィット』ほどではないが、頭上、膝もとともに十分な空間がある。「G」と「Z」はセンターアームレストも標準装備だ。
ちょっとアクセルワークに気を遣ったら35km/リットル
1.5リットルの直列3気筒エンジンにモーターのハイブリッドシステムは、基本的に『ヤリス』と同じである。だが、新開発のバイポーラ型ニッケル水素バッテリーを採用したからコンパクト化が可能になった。より多くのセルを積めるようになったためモーターアシストの領域も増えている。
アクセルを踏み込むとモーターならではの鋭いレスポンスが得られ、EV走行できる領域も40km/hあたりまで広がった。アクセルを強く踏み込むとエンジンがかかり、ボリュームが高まる。だが、流すような走りや巡航での静粛性は悪くない。
ドライブモードを「POWER+」にするとアクセルペダルだけで加速と減速をコントロールできる「快適ペダル」をトヨタ車で初めて採用した。スポーティな走りを狙ったモードだから応答レスポンスは鋭いし、加速も冴えている。そしてアクセルペダルを緩めれば減速度を高め、回生を行う。エンジンブレーキのような感じだが、『ノートe-POWER』や『ホンダe』ほど強力ではない。完全停止までは持っていけないが、慣れると便利だ。うまく使えば燃費がよくなるし、ブレーキの負担も減る。ちなみに流れに乗った走りで、ちょっとアクセルワークに気を遣ったら35km/リットルに迫る燃費をマークした。
E-Fourは懐が深く、スッキリとしたハンドリング
サスペンションは、フロントがストラット、リアはFF車がトーションビーム、4WDのE-Fourは独立懸架のダブルウイッシュボーンだ。トップグレードの「Z」FF車はフロントにスウィングバルブ付きのショックアブソーバーを装着する。新世代プラットフォームと延びたホイールベースによって安心感のある走りを実現し、乗り心地も大きく向上した。とくにZは路面の凹凸を上手にいなし、フラット感のある上質な乗り心地を実現している。あたりはソフトで、直進安定性も優れていた。Zは遮音対策も徹底しているからクラス上と感じる。
ただし、オプション設定の16インチタイヤより15インチの標準タイヤの方がバランス感覚はいいようだ。ヤリスと比べるとハンドリングはダルな味付けだが、素直なクルマに仕上がっている。取り回し性に優れ、ビギナーからベテランまで、運転しやすい。E-Fourは懐が深く、スッキリとしたハンドリングが好印象だった。
アクアは使い勝手のいい電動パーキングブレーキや非常時に重宝する給電システムを標準で装備している。ヤリスでは物足りないと感じている人には魅力的なハイブリッド車で、買い得感も高い。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
片岡英明|モータージャーナリスト
自動車専門誌の編集者を経てフリーのモータージャーナリストに。新車からクラシックカーまで、年代、ジャンルを問わず幅広く執筆を手掛け、EVや燃料電池自動車など、次世代の乗り物に関する造詣も深い。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。
リアシートの快適性が大きく向上したのがうれしい
エクステリアは、誰が見てもアクアと分かる明快なデザインだ。だが、ワンモーションフォルムが際立ったし、リアビューも個性を強めている。
全長と全幅は変わっていないが、ホイールベースは50mm延び、背も30mm高くなった。インテリアはシンプルだが、操作系スイッチは使いやすくなっているし、10.5インチのディスプレイも見やすい位置にある。運転席からの開放感はそれなりだが、居心地のいい空間だ。フロントシートは大ぶりで、サポート性も悪くない。ただし、デザイン優先のためか、斜め後方の視界は今一歩にとどまる。
うれしいのは、リアシートの快適性が大きく向上したことだ。ホンダ『フィット』ほどではないが、頭上、膝もとともに十分な空間がある。「G」と「Z」はセンターアームレストも標準装備だ。
ちょっとアクセルワークに気を遣ったら35km/リットル
1.5リットルの直列3気筒エンジンにモーターのハイブリッドシステムは、基本的に『ヤリス』と同じである。だが、新開発のバイポーラ型ニッケル水素バッテリーを採用したからコンパクト化が可能になった。より多くのセルを積めるようになったためモーターアシストの領域も増えている。
アクセルを踏み込むとモーターならではの鋭いレスポンスが得られ、EV走行できる領域も40km/hあたりまで広がった。アクセルを強く踏み込むとエンジンがかかり、ボリュームが高まる。だが、流すような走りや巡航での静粛性は悪くない。
ドライブモードを「POWER+」にするとアクセルペダルだけで加速と減速をコントロールできる「快適ペダル」をトヨタ車で初めて採用した。スポーティな走りを狙ったモードだから応答レスポンスは鋭いし、加速も冴えている。そしてアクセルペダルを緩めれば減速度を高め、回生を行う。エンジンブレーキのような感じだが、『ノートe-POWER』や『ホンダe』ほど強力ではない。完全停止までは持っていけないが、慣れると便利だ。うまく使えば燃費がよくなるし、ブレーキの負担も減る。ちなみに流れに乗った走りで、ちょっとアクセルワークに気を遣ったら35km/リットルに迫る燃費をマークした。
E-Fourは懐が深く、スッキリとしたハンドリング
サスペンションは、フロントがストラット、リアはFF車がトーションビーム、4WDのE-Fourは独立懸架のダブルウイッシュボーンだ。トップグレードの「Z」FF車はフロントにスウィングバルブ付きのショックアブソーバーを装着する。新世代プラットフォームと延びたホイールベースによって安心感のある走りを実現し、乗り心地も大きく向上した。とくにZは路面の凹凸を上手にいなし、フラット感のある上質な乗り心地を実現している。あたりはソフトで、直進安定性も優れていた。Zは遮音対策も徹底しているからクラス上と感じる。
ただし、オプション設定の16インチタイヤより15インチの標準タイヤの方がバランス感覚はいいようだ。ヤリスと比べるとハンドリングはダルな味付けだが、素直なクルマに仕上がっている。取り回し性に優れ、ビギナーからベテランまで、運転しやすい。E-Fourは懐が深く、スッキリとしたハンドリングが好印象だった。
アクアは使い勝手のいい電動パーキングブレーキや非常時に重宝する給電システムを標準で装備している。ヤリスでは物足りないと感じている人には魅力的なハイブリッド車で、買い得感も高い。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
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フットワーク:★★★★
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