【マツダ3 e-SKYACTIV X 新型試乗】MT車の加速&シフトフィーリングはシビックが上?…中村孝仁
これまで何度か、SKYACTIV-Xなるエンジンを搭載したマツダ車には試乗したが、今回は初めてMTモデルに試乗した。試乗したのは『マツダ3』の4WDモデルである。
加速時のエンジンサウンドを変えたマツダ3のMT車
小変更が加えられたのは昨年の10月のこと。それ以前1年を見てもマツダ3に加えられた変更はこの時が3度目のことだった。常に小さな変更が加えられて、正直なところ買い時には困ってしまうのだが、日々是進化を地で行くマツダらしいといえばマツダらしい。今回はAT車についてはアクセルペダルを『CX-5』などで行った重めの設定に変えているが、これはMT車には行われていない。MT車では吸気系に手を加えて加速時のエンジンサウンドを変えているということだった。
実はほとんど間を置かずに同じような性能を持つMT車に乗った。マツダの前がホンダ『シビック』で、性能比較をするとシビックは182ps、240Nm。マツダ3は190ps、240Nmと非常に近い。デビュー当初、スカイアクティブX搭載車は価格が高く、性能的にも価格差ほどはないという考えを持っていたのだが、シビックと比べた時に価格は大きな違いがないことを発見した。
シビックの上級モデルEXの価格は353万9800円。対するマツダ3 e-SKYACTIV Xは車両本体価格が348万1500円と拮抗している。因みに今回試乗したモデルの場合オプションが装備されて、合計価格は368万3880円であった。違いと言えば、シビックはFWDであったが、こちらは今回4WDであったこと。そしてそれが理由で車重がマツダ3の方が15kgほど重い1490kgであったことである。(いずれもMT車比)
加速&シフトフィーリングはシビックが上?
恐らくの重さのせいだと思うが、加速フィーリングはやはりシビックのほうが良く、車重で損をしていたマツダ3は少しだけ劣っている印象を受けたが、まあどちらも似たようなもんで、エンジンのレスポンスなどもどちらも甲乙つけがたいレベルに仕上がっていた。加速時のエンジンサウンドを強調したということだったが、例によって新旧乗り比べをしたわけではないので、残念ながら違いを把握するまでには至らなかったのだが、日頃聞いている他のマツダ製ガソリンエンジン車と比べると、ぐっとスポーティーなイメージであった。
シビックと比較した時のマニュアルのシフトフィーリングはだいぶ違う。シビックはかなり強いクリック感があり、手にほんの少しだけ力を加えるとスポッとギアが選択したところに入ってくれるのに対し、マツダの場合はそうした印象がなく、しっかりと自分の手で所定の位置まで持っていく必要がある。はじめのうち、シビックのシフトフィールは馴染めなかったのだが、いざ馴染んでしまうと非常に素早いシフトが可能でドライビングをエンジョイすることができた。
一方のマツダ3の場合はこれまで馴染んできたシフトフィーリングだから、乗ってすぐに意のままの操作が可能だが、新しさはない。個人的にどちらが好きかと聞かれたら、今では新鮮味のあったシビックのシフトフィールが好きだ。もっともこれは個人の嗜好が大いに反映される気がする。それこそ昔のポルシェのシフトフィールのように…。
MTのACCを初体験
性能とは全く関係ないが、今回初めてマニュアル車のACCを堪能した。AT車なら一旦車速を定めてスイッチを入れればあとはクルマ任せだが、マニュアル車のACCはそうはいかない。車速が変わった場合に変速をしてやる必要があるからだ。マニュアル車のACCは、車速のコントロールは車側でやってくれるから、頃合いを見計らってクラッチを踏んで変速をする作業をドライバーが行う必要がある。それをやればあとはクルマ任せのイージードライブができるのだが、マニュアル操作は通常アクセルのオンオフが伴うのに対し、これはその必要がないため、なんとも不思議な感覚だった。
マイルドハイブリッド化されたe-SKYACTIV X
マツダ3のSKYACTIV Xは、ISGを加えたマイルドハイブリッド化されたe-SKYACTIV Xに統一されているが、ATの場合だとこのISGの効果を顕著に味わえるのだが、MTの場合はクラッチの操作をすることで必然的にエンジンがかかってしまうから、ATほど発進のスムーズさなどを体感することはできない。
とはいうものの、やはり成熟度は確実に上がっている印象で、燃費の点でも性能の点でも確実に2リットルのガソリンエンジン搭載車を上回る。マニュアルは高速100km/h時にエンジン回転が2300rpm付近を指し、燃費的には不利なはずだ。それに運転が楽しいからつい高回転に引っ張りがちだし、好んで高回転を使ってしまう傾向にあったのだが、それでも260kmほど走った結果は13.6km/リットルとまずまずの数値を示した。シビックもそうだったが、このクルマもガソリンはプレミアムを要求する。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
加速時のエンジンサウンドを変えたマツダ3のMT車
小変更が加えられたのは昨年の10月のこと。それ以前1年を見てもマツダ3に加えられた変更はこの時が3度目のことだった。常に小さな変更が加えられて、正直なところ買い時には困ってしまうのだが、日々是進化を地で行くマツダらしいといえばマツダらしい。今回はAT車についてはアクセルペダルを『CX-5』などで行った重めの設定に変えているが、これはMT車には行われていない。MT車では吸気系に手を加えて加速時のエンジンサウンドを変えているということだった。
実はほとんど間を置かずに同じような性能を持つMT車に乗った。マツダの前がホンダ『シビック』で、性能比較をするとシビックは182ps、240Nm。マツダ3は190ps、240Nmと非常に近い。デビュー当初、スカイアクティブX搭載車は価格が高く、性能的にも価格差ほどはないという考えを持っていたのだが、シビックと比べた時に価格は大きな違いがないことを発見した。
シビックの上級モデルEXの価格は353万9800円。対するマツダ3 e-SKYACTIV Xは車両本体価格が348万1500円と拮抗している。因みに今回試乗したモデルの場合オプションが装備されて、合計価格は368万3880円であった。違いと言えば、シビックはFWDであったが、こちらは今回4WDであったこと。そしてそれが理由で車重がマツダ3の方が15kgほど重い1490kgであったことである。(いずれもMT車比)
加速&シフトフィーリングはシビックが上?
恐らくの重さのせいだと思うが、加速フィーリングはやはりシビックのほうが良く、車重で損をしていたマツダ3は少しだけ劣っている印象を受けたが、まあどちらも似たようなもんで、エンジンのレスポンスなどもどちらも甲乙つけがたいレベルに仕上がっていた。加速時のエンジンサウンドを強調したということだったが、例によって新旧乗り比べをしたわけではないので、残念ながら違いを把握するまでには至らなかったのだが、日頃聞いている他のマツダ製ガソリンエンジン車と比べると、ぐっとスポーティーなイメージであった。
シビックと比較した時のマニュアルのシフトフィーリングはだいぶ違う。シビックはかなり強いクリック感があり、手にほんの少しだけ力を加えるとスポッとギアが選択したところに入ってくれるのに対し、マツダの場合はそうした印象がなく、しっかりと自分の手で所定の位置まで持っていく必要がある。はじめのうち、シビックのシフトフィールは馴染めなかったのだが、いざ馴染んでしまうと非常に素早いシフトが可能でドライビングをエンジョイすることができた。
一方のマツダ3の場合はこれまで馴染んできたシフトフィーリングだから、乗ってすぐに意のままの操作が可能だが、新しさはない。個人的にどちらが好きかと聞かれたら、今では新鮮味のあったシビックのシフトフィールが好きだ。もっともこれは個人の嗜好が大いに反映される気がする。それこそ昔のポルシェのシフトフィールのように…。
MTのACCを初体験
性能とは全く関係ないが、今回初めてマニュアル車のACCを堪能した。AT車なら一旦車速を定めてスイッチを入れればあとはクルマ任せだが、マニュアル車のACCはそうはいかない。車速が変わった場合に変速をしてやる必要があるからだ。マニュアル車のACCは、車速のコントロールは車側でやってくれるから、頃合いを見計らってクラッチを踏んで変速をする作業をドライバーが行う必要がある。それをやればあとはクルマ任せのイージードライブができるのだが、マニュアル操作は通常アクセルのオンオフが伴うのに対し、これはその必要がないため、なんとも不思議な感覚だった。
マイルドハイブリッド化されたe-SKYACTIV X
マツダ3のSKYACTIV Xは、ISGを加えたマイルドハイブリッド化されたe-SKYACTIV Xに統一されているが、ATの場合だとこのISGの効果を顕著に味わえるのだが、MTの場合はクラッチの操作をすることで必然的にエンジンがかかってしまうから、ATほど発進のスムーズさなどを体感することはできない。
とはいうものの、やはり成熟度は確実に上がっている印象で、燃費の点でも性能の点でも確実に2リットルのガソリンエンジン搭載車を上回る。マニュアルは高速100km/h時にエンジン回転が2300rpm付近を指し、燃費的には不利なはずだ。それに運転が楽しいからつい高回転に引っ張りがちだし、好んで高回転を使ってしまう傾向にあったのだが、それでも260kmほど走った結果は13.6km/リットルとまずまずの数値を示した。シビックもそうだったが、このクルマもガソリンはプレミアムを要求する。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
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1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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