【マツダ CX-5 フィールドジャーニー 新型試乗】400km走ってわかった乗り味、乗り心地の違い…中村孝仁
他のグレート一線を画す「フィールドジャーニー」
このところ矢継ぎ早に商品改良モデルを投入するマツダ。2021年11月に満を持して投入したのが基幹モデルと言っても過言ではない『CX-5』である。この時、特別仕様車として投入されたのが「フィールドジャーニー」の名を持つオフロード志向のモデルだ。
元々SUVとして4WDモデルは存在していたが、より特化したモデルはCX-5にとってはこれが初めて。現行モデルとなる第2世代のCX-5が誕生したのは2017年のことだから、すでに5年目のモデルイヤーに突入したが、いまだにグローバル販売の3分の1を占める売れ筋モデルだというから、如何にヒット作であるかがわかる。
ざっと商品改良の内容をおさらいしてみると、外観、特にフロントフェイスの改良で一段と引き締まった顔つきになったことに加え、マツダ・インテリジェント・ドライブセレクト(Mi-DRIVE)の採用に始まり、ボディ/サスペンションの改良、シートの改良、ロードノイズの低減等々多岐にわたる。
フィールドジャーニーは特別仕様車ということで、外観や内装にもさらに特別仕様感を出しているほか、タイヤはこのクルマのみが17インチのオールシーズンタイヤを装着し、Mi-DRIVEにオフロードモードを追加するなど他のグレードや仕様とは明らかに一線を画す仕上がりとなっている。
400km走ってわかった乗り味、乗り心地
実は昨年中に既に試乗会は済んでいる。しかし、このクルマを僅か1時間の試乗で語り尽くすのはあまりに勿体ないし、少し使い込んでみないとその良さがわからないとの判断から、2か月ほど引っ張って1週間の試乗猶予を頂いた。結論から申し上げれば、この仕様をもっと早く出しておけば、間違いなくCX-5の人気はさらに上昇したと思われた。
時あたかもオフロードに注目が集まり、特にアメリカでは各メーカーがSUVやピックアップにこぞってオフロード仕様を矢継ぎ早に出している真っ最中。そんなわけだからこのCX-5もアメリカで売れ行き絶好調らしい。日本でもコロナの影響なのか大自然のオープンエアが楽しみの場所として注目を浴び、各地のキャンプ場も昨年夏は予約が取りにくい盛況ぶりだった。だからそのタイミングでこのクルマが出ていれば、間違いなく需要があったはずである。
もっと早く出しておけば…の理由は他にもある。このクルマ、他のCX-5と比較しても乗り味が少し異なる。従来のCX-5のタイヤはノーマルの場合トーヨータイヤのサマータイヤが標準装着されてくるのだが、フィールドジャーニーはヨコハマのオールシーズンタイヤ、ジオランダーを標準装着する。この点で明らかに他のCX-5とは異なる乗り味、乗り心地を実現しているのだ。その差が予想したよりも大きかったのでエンジニアに話を聞いたところ、やはりというべきか他のグレードのCX-5とは足回りのセッティングが異なっているそうである。
具体的には路面の当たり感が他のモデルよりもぐっとマイルドで快適である。スプリングやダンパーの見直しが行われているとのことだが、全体として走りがスムーズになった印象を受けるのは、むしろ車体とシートの取り付け剛性を上げたことに起因すると感じられた。1週間で400kmほど走行し、日常的な使い勝手からロングドライブ(片道110km程度)までをこなした結果、足の良さもさることながら、シートがかっちりと固定されていることで無用な揺れを感じなくなったことで疲れが少なくなったとの印象を受けた。
もっと早く出すべき仕様であった
前述したとおりMi-DRIVEにはこのクルマに限り、オフロードモードが設定されている。対角線の車輪が持ち上がるレベルの仮設コースを走ってみると、確かに片車輪が浮いた状態でもそれにブレーキをかけて抜け出せることは確認できた。従来の単なる4WDよりはかなり走破性が上がっていると思われる。そうした点でもちょっとしたキャンプなどに行く際の安心感は高いだろう。
外観ではグリルについた鮮やかなライムグリーンのアクセントが目を引く。そしてこのライムグリーンは室内のシートステッチやエアコンベンチレーターなどにも反復されていて、ある意味では特徴を際立たせている。まあ、好みにもよるが。
いずれにせよ、この仕様は最もタイムリーなものであるのだが、少し遅きに失した感も否めず…である。今更くどくど説明する必要もない、2.2リットルターボディーゼルとの相性も良く(2リットルのガソリン仕様もあるが)、やはり冒頭述べたようにもっと早く出すべき仕様であったと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
このところ矢継ぎ早に商品改良モデルを投入するマツダ。2021年11月に満を持して投入したのが基幹モデルと言っても過言ではない『CX-5』である。この時、特別仕様車として投入されたのが「フィールドジャーニー」の名を持つオフロード志向のモデルだ。
元々SUVとして4WDモデルは存在していたが、より特化したモデルはCX-5にとってはこれが初めて。現行モデルとなる第2世代のCX-5が誕生したのは2017年のことだから、すでに5年目のモデルイヤーに突入したが、いまだにグローバル販売の3分の1を占める売れ筋モデルだというから、如何にヒット作であるかがわかる。
ざっと商品改良の内容をおさらいしてみると、外観、特にフロントフェイスの改良で一段と引き締まった顔つきになったことに加え、マツダ・インテリジェント・ドライブセレクト(Mi-DRIVE)の採用に始まり、ボディ/サスペンションの改良、シートの改良、ロードノイズの低減等々多岐にわたる。
フィールドジャーニーは特別仕様車ということで、外観や内装にもさらに特別仕様感を出しているほか、タイヤはこのクルマのみが17インチのオールシーズンタイヤを装着し、Mi-DRIVEにオフロードモードを追加するなど他のグレードや仕様とは明らかに一線を画す仕上がりとなっている。
400km走ってわかった乗り味、乗り心地
実は昨年中に既に試乗会は済んでいる。しかし、このクルマを僅か1時間の試乗で語り尽くすのはあまりに勿体ないし、少し使い込んでみないとその良さがわからないとの判断から、2か月ほど引っ張って1週間の試乗猶予を頂いた。結論から申し上げれば、この仕様をもっと早く出しておけば、間違いなくCX-5の人気はさらに上昇したと思われた。
時あたかもオフロードに注目が集まり、特にアメリカでは各メーカーがSUVやピックアップにこぞってオフロード仕様を矢継ぎ早に出している真っ最中。そんなわけだからこのCX-5もアメリカで売れ行き絶好調らしい。日本でもコロナの影響なのか大自然のオープンエアが楽しみの場所として注目を浴び、各地のキャンプ場も昨年夏は予約が取りにくい盛況ぶりだった。だからそのタイミングでこのクルマが出ていれば、間違いなく需要があったはずである。
もっと早く出しておけば…の理由は他にもある。このクルマ、他のCX-5と比較しても乗り味が少し異なる。従来のCX-5のタイヤはノーマルの場合トーヨータイヤのサマータイヤが標準装着されてくるのだが、フィールドジャーニーはヨコハマのオールシーズンタイヤ、ジオランダーを標準装着する。この点で明らかに他のCX-5とは異なる乗り味、乗り心地を実現しているのだ。その差が予想したよりも大きかったのでエンジニアに話を聞いたところ、やはりというべきか他のグレードのCX-5とは足回りのセッティングが異なっているそうである。
具体的には路面の当たり感が他のモデルよりもぐっとマイルドで快適である。スプリングやダンパーの見直しが行われているとのことだが、全体として走りがスムーズになった印象を受けるのは、むしろ車体とシートの取り付け剛性を上げたことに起因すると感じられた。1週間で400kmほど走行し、日常的な使い勝手からロングドライブ(片道110km程度)までをこなした結果、足の良さもさることながら、シートがかっちりと固定されていることで無用な揺れを感じなくなったことで疲れが少なくなったとの印象を受けた。
もっと早く出すべき仕様であった
前述したとおりMi-DRIVEにはこのクルマに限り、オフロードモードが設定されている。対角線の車輪が持ち上がるレベルの仮設コースを走ってみると、確かに片車輪が浮いた状態でもそれにブレーキをかけて抜け出せることは確認できた。従来の単なる4WDよりはかなり走破性が上がっていると思われる。そうした点でもちょっとしたキャンプなどに行く際の安心感は高いだろう。
外観ではグリルについた鮮やかなライムグリーンのアクセントが目を引く。そしてこのライムグリーンは室内のシートステッチやエアコンベンチレーターなどにも反復されていて、ある意味では特徴を際立たせている。まあ、好みにもよるが。
いずれにせよ、この仕様は最もタイムリーなものであるのだが、少し遅きに失した感も否めず…である。今更くどくど説明する必要もない、2.2リットルターボディーゼルとの相性も良く(2リットルのガソリン仕様もあるが)、やはり冒頭述べたようにもっと早く出すべき仕様であったと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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