【レクサス LX 新型試乗】極上で、無敵。もう“欧州車派”だとは口が裂けても言えなくなった…野口優
今さら言うまでもないが、少し前まではトータルバランスに優れる輸入車勢のほうが様々面で信頼できることから多くの自動車ファンを虜にしてきた。しかし今、その常識が覆されそうになっている。いや、もはや輸入車と国産車を分けて考えること自体、ナンセンスなのかもしれない。
そう思わせるきっかけとなったのが、ここで取り上げる新型レクサス『LX』に他ならない。個人的なことで恐縮だが、これまで約30年にも渡り輸入車を中心に仕事をしてきた筆者にとって、ある意味で衝撃、また一方では深く感心させられる印象を受けた。
オンロード性能と悪路走破性の完全両立、そのレベルが桁違い
ご存知の方も多いと思うが、レクサスLXは最新のトヨタ『ランドクルーザー』300系と同時に開発された姉妹車だ。デビュー以来、超絶怒涛の人気を博していることでもわかるように世界中から高く評価され、特に中東などでは絶大な指示を得ている。ただ、レクサスLXの場合は、ランドクルーザーとは違い、ラグジュアリー性を求められるし、それこそがウリ。目の肥えた富裕層を相手にするには、些か物足りなさを感じていた先代に対し、新型は大きく前進、胸を張ってラグジュアリーSUVと名乗ることができる完成度を見せている。
その理由は、インテリアの作り込みもさることながら、本質的な部分、つまりオンロード性能と悪路走破性の完全両立を実現したことにある。こう書き記してしまうと、先代と大差ないように思われるだろうが、そのレベルは桁違い。耐久性に優れる伝統のラダーフレームによるタフネスさはそのままに、先代から引き継がれたアクティブハイトコントロールを大幅に進化させたことで、“強固&快適”を両立している。
それが明らかになったのは、富士スピードウェイに設けられた特設オフロードコース。丸太や岩場、泥地や沼地のほか、急勾配のアップ&ダウンが繰り返す中で試乗した際、悪路にも関わらず、難なくクリアしていくどころか、常に快適性を維持。大きな段差を乗り越える時や着地する際でもバタつくことなど一切なく、上品に衝撃を吸収していく。また、同時に接地性の高さも実感、左右で段差が大きなところを走行した際、その足の長さに驚異を覚えたほどだ。
それに加え、さすがだ!と唸らせたのが、ダウンヒルアシストコントロールによる制御。他社でいうところのレンジローバーが得意としていたヒルディセントコントロールだが、1秒単位で5段階調整できるうえ、脱出能力の高さも伺えたから、相当綿密にプログラムを組んでいることは明らか。オフロードのみならず、砂地での使用も想定されているとあって、世界を制するべく開発が行われたことを匂わせた。
オンロード性能はさすがに欧州勢ほどではないだろうと、高をくくったが…
今、SUVの輸入車勢の多くは、リサーチに基づいた結果、ほとんどのオーナーがオフロード性能を求めていないことから、悪路での走破性はそこそこに、逆にオンロード性能を可能な限り高めているというのが実情だが、レクサスLXの場合は、冒頭でも触れたように完全両立が使命。ランドクルーザーと同様、オフロード性能が高いことから、レクサスLXのオンロード性能はさすがに欧州勢ほどではないだろうと、高をくくって試したところ……とんでもなかった。
一般道はもちろん、高速道路での走行性も文句なしの出来。運転支援システムの精度も高く、車両の判断に安心して委ねることもできることも確認済みだが、それよりも筆者がもっともレクサスLXで強調したいのはワインディング性能の高さだ。まさに“目から鱗状態”、電動パワーステアリングの設定も見事でライントレース性も抜群、スポーツ、スポーツ+モードであれば巨漢であることを忘れさせるほど、水を得た魚のように安定した姿勢で次々とコーナーをクリアしていく。
415ps&650Nmを発するV6ツインターボエンジンと10速ATによるフィーリングも悪くないし、NASAが提唱する中立姿勢を取り込んだシートポジション、また世界のVIPが求める4シーター仕様のエグゼクティブのリアシート(リクライニングは最大48度、レッグスペースは最大1000mm、背もたれ&座面マッサージ機能付き!)など、他にも注目すべき点は満載だが、あえて最後にひとつ加えたいのは、70年にも及びランドクルーザーが築き上げてき優れた走破性に、極上の快適性が加わったという事実である。
もう“欧州車派”だとは口が裂けても言えなくなった
以前、ランドローバーの開発陣は「世界中のSUVを買い集めて一通りテストしたところ、もっとも性能が高かったのはトヨタのランドクルーザーだったよ」と漏らしていたし、さらに、あるテレビのニュース番組で中東を取材した際、現地の労働者が灼熱の中「トヨタだけだ、壊れないのは。ベ○ツはさほど丈夫じゃないからねぇ。もし故障してもトヨタなら部品も入手しやすいから遠慮なく使えるんだよ」と、ランドクルーザーを前にしたコメントを聞いたことがある。そう思うと、レクサスLXは、もはや無敵なのでは?と思えてくる。
実際、今回の試乗で筆者は驚きの連続だった。もう“欧州車派”だとは口が裂けても言えなくなっているのは事実である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
野口 優|モータージャーナリスト
1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。
そう思わせるきっかけとなったのが、ここで取り上げる新型レクサス『LX』に他ならない。個人的なことで恐縮だが、これまで約30年にも渡り輸入車を中心に仕事をしてきた筆者にとって、ある意味で衝撃、また一方では深く感心させられる印象を受けた。
オンロード性能と悪路走破性の完全両立、そのレベルが桁違い
ご存知の方も多いと思うが、レクサスLXは最新のトヨタ『ランドクルーザー』300系と同時に開発された姉妹車だ。デビュー以来、超絶怒涛の人気を博していることでもわかるように世界中から高く評価され、特に中東などでは絶大な指示を得ている。ただ、レクサスLXの場合は、ランドクルーザーとは違い、ラグジュアリー性を求められるし、それこそがウリ。目の肥えた富裕層を相手にするには、些か物足りなさを感じていた先代に対し、新型は大きく前進、胸を張ってラグジュアリーSUVと名乗ることができる完成度を見せている。
その理由は、インテリアの作り込みもさることながら、本質的な部分、つまりオンロード性能と悪路走破性の完全両立を実現したことにある。こう書き記してしまうと、先代と大差ないように思われるだろうが、そのレベルは桁違い。耐久性に優れる伝統のラダーフレームによるタフネスさはそのままに、先代から引き継がれたアクティブハイトコントロールを大幅に進化させたことで、“強固&快適”を両立している。
それが明らかになったのは、富士スピードウェイに設けられた特設オフロードコース。丸太や岩場、泥地や沼地のほか、急勾配のアップ&ダウンが繰り返す中で試乗した際、悪路にも関わらず、難なくクリアしていくどころか、常に快適性を維持。大きな段差を乗り越える時や着地する際でもバタつくことなど一切なく、上品に衝撃を吸収していく。また、同時に接地性の高さも実感、左右で段差が大きなところを走行した際、その足の長さに驚異を覚えたほどだ。
それに加え、さすがだ!と唸らせたのが、ダウンヒルアシストコントロールによる制御。他社でいうところのレンジローバーが得意としていたヒルディセントコントロールだが、1秒単位で5段階調整できるうえ、脱出能力の高さも伺えたから、相当綿密にプログラムを組んでいることは明らか。オフロードのみならず、砂地での使用も想定されているとあって、世界を制するべく開発が行われたことを匂わせた。
オンロード性能はさすがに欧州勢ほどではないだろうと、高をくくったが…
今、SUVの輸入車勢の多くは、リサーチに基づいた結果、ほとんどのオーナーがオフロード性能を求めていないことから、悪路での走破性はそこそこに、逆にオンロード性能を可能な限り高めているというのが実情だが、レクサスLXの場合は、冒頭でも触れたように完全両立が使命。ランドクルーザーと同様、オフロード性能が高いことから、レクサスLXのオンロード性能はさすがに欧州勢ほどではないだろうと、高をくくって試したところ……とんでもなかった。
一般道はもちろん、高速道路での走行性も文句なしの出来。運転支援システムの精度も高く、車両の判断に安心して委ねることもできることも確認済みだが、それよりも筆者がもっともレクサスLXで強調したいのはワインディング性能の高さだ。まさに“目から鱗状態”、電動パワーステアリングの設定も見事でライントレース性も抜群、スポーツ、スポーツ+モードであれば巨漢であることを忘れさせるほど、水を得た魚のように安定した姿勢で次々とコーナーをクリアしていく。
415ps&650Nmを発するV6ツインターボエンジンと10速ATによるフィーリングも悪くないし、NASAが提唱する中立姿勢を取り込んだシートポジション、また世界のVIPが求める4シーター仕様のエグゼクティブのリアシート(リクライニングは最大48度、レッグスペースは最大1000mm、背もたれ&座面マッサージ機能付き!)など、他にも注目すべき点は満載だが、あえて最後にひとつ加えたいのは、70年にも及びランドクルーザーが築き上げてき優れた走破性に、極上の快適性が加わったという事実である。
もう“欧州車派”だとは口が裂けても言えなくなった
以前、ランドローバーの開発陣は「世界中のSUVを買い集めて一通りテストしたところ、もっとも性能が高かったのはトヨタのランドクルーザーだったよ」と漏らしていたし、さらに、あるテレビのニュース番組で中東を取材した際、現地の労働者が灼熱の中「トヨタだけだ、壊れないのは。ベ○ツはさほど丈夫じゃないからねぇ。もし故障してもトヨタなら部品も入手しやすいから遠慮なく使えるんだよ」と、ランドクルーザーを前にしたコメントを聞いたことがある。そう思うと、レクサスLXは、もはや無敵なのでは?と思えてくる。
実際、今回の試乗で筆者は驚きの連続だった。もう“欧州車派”だとは口が裂けても言えなくなっているのは事実である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
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1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。
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