【ルノー アルカナ 新型試乗】初のハイブリッドでこの走り、この価格とは…野口優
やはり今、もっとも現実的なのはハイブリッドしかない――。昨今、脱炭素社会に向けて本格的に動き出している中、EV車の話題が何かと注目されているものの、住環境や現在のインフラ面を考えると、まだ手は出せない、と感じている方は多いはず。ましてや、プレミアム性や優れたドライバビリティを求める輸入車派にとっては、EV車はまだまだ受け入れるには時間が必要というのが本音だろう。
そんな最中、ルノーは独自に開発したハイブリッドシステム「E-TECH HYBRID」を搭載した『アルカナ』をラインナップに加えた。これは、国産車を除けば、輸入車唯一のフルハイブリッドモデルだ。
F1由来のドグクラッチと、スタイリッシュなデザインに見るルノーらしさ
1.6リットル直列4気筒エンジン(自然吸気式!)に、駆動用のメインモーターとHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)の2基のモーター、そして電子制御ドッグクラッチマルチモードATで構成される革新的なシステムを搭載する。特に肝となるドグクラッチは、ルノーがF1で培った技術を応用し、従来のクラッチやシンクロナイザーを省くことで軽量化と小型化まで実現している。
出力は、1.6リットル直列4気筒エンジンが94ps&148Nm、メインモーターは36kW&205Nm、HSGは15kW&50Nmを発し、ギアはモーター側の2つとエンジン側の4つが担うことで、これまでにない全速度域でスムーズかつレスポンスの良いシームレスな変速を行う、とルノーは自信満々だ。無論、燃費性能も優れ、WLTCモードで22.8km/リットルと記されているから期待大。日常使いはもちろん、ちょっとしたスポーツ走行まで楽しめそうなセリフが並べられているのも、それに拍車をかける。
スタイリングも素直に良いと思う。クーペSUVという都会的かつスタイリッシュに仕上げたエクステリアは、実用性とファッション性を兼ね備えるほど、うまくまとめられ、ルノーらしさと相まって、いきすぎない現実的な存在感がかえって好感がもてる。ただ、クーペゆえに後部座席のヘッドクリアランスが気にはなっていたが、180cm弱の筆者が座っても一拳程度は余裕があったから実用性は高い。それよりも思っていた以上に足元のスペースに余裕があったのが意外。スペース効率は極めて優秀と言えるだろう。
シームレスなのにダイレクト感がある
そして、実際の走行性はというと、これがまた文句なしに良い! 発進時から約60km/hまでは電気モーターのみだからその特性を活かした素早さが際立ち、ストレスなく加速していく。その後もシフトアップしていくものの、クラッチを持たないこともあって変速ショックとは無縁の、まさにシームレスな加速が続く。言葉にするとCVTと似ていると誤解されそうだが、シームレスなのにダイレクト感があるというドグクラッチ特有の感触だ。初体験にも関わらず、違和感をまったく感じない仕上がりであった。
しかもエンジンが始動しても、よほど意識していないと気づかないくらい静かなのも好印象の理由。高速道路での加速も国産のハイブリッド車とは比較にならないほどの出来で、エンジンの出力にモーターによるアシストが加わるため、頼もしさすら感じさせる。一般道では極力モーターを使用し、巡航時にはモーターとエンジン、さらにエネルギー回生を頻繁に繰り返して、綿密に効率化を図っているのも実に知的で素晴らしい。
シャシーが良い!この走りでこの価格とは…
それに加え、シャシーが良い! 何しろ『キャプチャー』や『ルーテシア』で高評価を得たCMF-Bプラットフォームを採用しているとあって、その走りはまさにスポーティ。となれば、ワインディングでも!? と期待が膨らむのは当然のこと。
そう思い、いざ攻めはじめると、さすがはルノー! 軽量かつ高剛性、完全にシャシー性能が上回り、思い通りに楽しませてくれた。ハンドリングも正確、サスペンションの設定も見事なまでに秀逸である。ただ、ワインディングでの上りは、エンジンが唸りっぱなしになるし、峠では好印象の足まわりも一般道では不快ではない程度の硬さを伴う(標準装着されるのはクムホタイヤ。ドイツの有名自動車雑誌のテストで1位を獲得したというが、硬さの理由はこれにもあるような気もするが……)。
もっとも、この硬さの理由は、レーンキープアシストの精度を高めるためというのが実情だから当然のこと。ましてやアルカナは、リアルなスポーツカーでもない。しかし、このように走りを好む層に対して、確実に受け入れたくなるだけの魅力があるのは確かだ。
それでいて、この価格(429万円)とは……。正直、筆者にはかなり魅力的なプライスに映ったのは事実である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
野口 優|モータージャーナリスト
1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。
そんな最中、ルノーは独自に開発したハイブリッドシステム「E-TECH HYBRID」を搭載した『アルカナ』をラインナップに加えた。これは、国産車を除けば、輸入車唯一のフルハイブリッドモデルだ。
F1由来のドグクラッチと、スタイリッシュなデザインに見るルノーらしさ
1.6リットル直列4気筒エンジン(自然吸気式!)に、駆動用のメインモーターとHSG(ハイボルテージスターター&ジェネレーター)の2基のモーター、そして電子制御ドッグクラッチマルチモードATで構成される革新的なシステムを搭載する。特に肝となるドグクラッチは、ルノーがF1で培った技術を応用し、従来のクラッチやシンクロナイザーを省くことで軽量化と小型化まで実現している。
出力は、1.6リットル直列4気筒エンジンが94ps&148Nm、メインモーターは36kW&205Nm、HSGは15kW&50Nmを発し、ギアはモーター側の2つとエンジン側の4つが担うことで、これまでにない全速度域でスムーズかつレスポンスの良いシームレスな変速を行う、とルノーは自信満々だ。無論、燃費性能も優れ、WLTCモードで22.8km/リットルと記されているから期待大。日常使いはもちろん、ちょっとしたスポーツ走行まで楽しめそうなセリフが並べられているのも、それに拍車をかける。
スタイリングも素直に良いと思う。クーペSUVという都会的かつスタイリッシュに仕上げたエクステリアは、実用性とファッション性を兼ね備えるほど、うまくまとめられ、ルノーらしさと相まって、いきすぎない現実的な存在感がかえって好感がもてる。ただ、クーペゆえに後部座席のヘッドクリアランスが気にはなっていたが、180cm弱の筆者が座っても一拳程度は余裕があったから実用性は高い。それよりも思っていた以上に足元のスペースに余裕があったのが意外。スペース効率は極めて優秀と言えるだろう。
シームレスなのにダイレクト感がある
そして、実際の走行性はというと、これがまた文句なしに良い! 発進時から約60km/hまでは電気モーターのみだからその特性を活かした素早さが際立ち、ストレスなく加速していく。その後もシフトアップしていくものの、クラッチを持たないこともあって変速ショックとは無縁の、まさにシームレスな加速が続く。言葉にするとCVTと似ていると誤解されそうだが、シームレスなのにダイレクト感があるというドグクラッチ特有の感触だ。初体験にも関わらず、違和感をまったく感じない仕上がりであった。
しかもエンジンが始動しても、よほど意識していないと気づかないくらい静かなのも好印象の理由。高速道路での加速も国産のハイブリッド車とは比較にならないほどの出来で、エンジンの出力にモーターによるアシストが加わるため、頼もしさすら感じさせる。一般道では極力モーターを使用し、巡航時にはモーターとエンジン、さらにエネルギー回生を頻繁に繰り返して、綿密に効率化を図っているのも実に知的で素晴らしい。
シャシーが良い!この走りでこの価格とは…
それに加え、シャシーが良い! 何しろ『キャプチャー』や『ルーテシア』で高評価を得たCMF-Bプラットフォームを採用しているとあって、その走りはまさにスポーティ。となれば、ワインディングでも!? と期待が膨らむのは当然のこと。
そう思い、いざ攻めはじめると、さすがはルノー! 軽量かつ高剛性、完全にシャシー性能が上回り、思い通りに楽しませてくれた。ハンドリングも正確、サスペンションの設定も見事なまでに秀逸である。ただ、ワインディングでの上りは、エンジンが唸りっぱなしになるし、峠では好印象の足まわりも一般道では不快ではない程度の硬さを伴う(標準装着されるのはクムホタイヤ。ドイツの有名自動車雑誌のテストで1位を獲得したというが、硬さの理由はこれにもあるような気もするが……)。
もっとも、この硬さの理由は、レーンキープアシストの精度を高めるためというのが実情だから当然のこと。ましてやアルカナは、リアルなスポーツカーでもない。しかし、このように走りを好む層に対して、確実に受け入れたくなるだけの魅力があるのは確かだ。
それでいて、この価格(429万円)とは……。正直、筆者にはかなり魅力的なプライスに映ったのは事実である。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
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1967年 東京都生まれ。1993年に某輸入車専門誌の編集者としてキャリアをスタート。後に三栄書房に転職、GENROQ編集部に勤務し、2008年から同誌の編集長に就任。2018年にはGENROQ Webを立ち上げた。その後、2020年に独立。25年以上にも渡る経験を活かしてモータージャーナリスト及びプロデューサーとして活動中。
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