【トヨタ ノア/ヴォクシー 新型試乗】走りは「ハイブリッド4WD」がバツグン!お得感でも正解?…諸星陽一
日本のファミリーカーとして、見逃すことができないのがミニバンだ。そのミニバンで大きなシェアを誇るトヨタの新型『ノア&ヴォクシー』の試乗記をお届けする。
初の3ナンバーボディの影響は
古くは1960年代に登場したキャブオーバー1ボックスバンにルーツを持つモデルで、乗用モデルとなって以来、いつの時代もファミリードライブを支えてきた1台だ。『ライトエース』が、『ライトエースノア』になり、ノア&ヴォクシーとなり、『エスクァイア』が追加され…と複雑なので、どこを規準にするかは難しいが、ライトエースやタウンエースの名前が取れノア&ヴォクシーというFFミニバンとなってからは4世代となる。
現行モデル最大の特徴は従来までは5ナンバーボディを基本としていたのに対し、新型では全幅が1730mmの3ナンバーボディとなったことだ。試乗会場は都内のホテルがベースで、首都高や湾岸地区を中心の試乗だったのでとくに大きさで困ることはなかったが、道幅が狭い地域で5ナンバーモデルでないと扱いにくい地域はある。ライバルも大きくなるなか、そうした地域はおいていかれるのかと不安にも思う。
ミニバンではシートアレンジの容易さなどはかなり重要だが、この新型ノア&ヴォクシーはサードシートの収納がひと工夫された。サードシートは5対5分割で、シートバックを前に折りたたんで左右に跳ね上げるという方式は従来通りだが、今までのようにベルトで固定するなどの必要はなく、サイドに押し込めばそのまま固定されるので、荷室のスペースアップも簡単だ。
走りの質は「ハイブリッド4WD」がバツグン
ハイブリッドFF、ハイブリッド4WD、ガソリンエンジンFFの3種に乗った。ハイブリッドはエンジンが1.8リットルの98馬力/142Nm。フロントモーターが95馬力/185Nm、4WDのリヤモーターは41馬力/84Nmとなる。一方のガソリンエンジン車は2リットルの170馬力/202Nm仕様を搭載、今回は試乗していないがガソリンエンジン車の4WDモデルはプロペラシャフトでリヤに駆動を配分する機械式4WDとなる。
動力性能はさほど求めない、普段使い&長期休暇でキャンプなどに出かけるときに多人数とたくさんの荷物が積めればそれでよしとするなら、ガソリンエンジンのFFでも十分に走る。しかし、走りの質はハイブリッド4WDがバツグンにいい。最近のトヨタ車はリヤモーターの使い方が絶妙に上手で、単なる駆動配分ではなく、コーナリングの安定性や、コーナリング中からの加速などでの安定感とともに、スポーティさまでを生み出している。もし少し余裕があるなら、ハイブリッド4WDがなんといってもおすすめだ。
ガソリン車との価格差はあるけれど
価格的には、最上級モデルとなる「S-Zグレード」でガソリンFFとハイブリッド4WDだと価格差は57万円にもなる。ただしハイブリッドは税金面での優遇もあるので、セルフ見積もりをしてみた結果、乗り出し価格での差は35万円になった。税制はけっこうコロコロ変わるので、今後所有後の税金面での違いを予想するのは難しいが、税金面と燃費面で35万円を吸収しきるのはおそらく不可能。とはいえ得られるフィールや、下取り時の価格を考えるとハイブリッド4WDは、じつは正解な選択かもしれない。
ひとつ懸念材料となるのは納車時期。例の半導体不足もあって、ガソリンエンジン車で納車5か月待ち、ハイブリッドだと6か月以上だという。システムが複雑に、装備が充実すればするほど、納車時期は遅れるのが常だ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★(★★★★)
フットワーク:★★★★★(★★★★)
オススメ度:★★★★
※★はハイブリッド4WDのもの。( )内はガソリンFF
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
初の3ナンバーボディの影響は
古くは1960年代に登場したキャブオーバー1ボックスバンにルーツを持つモデルで、乗用モデルとなって以来、いつの時代もファミリードライブを支えてきた1台だ。『ライトエース』が、『ライトエースノア』になり、ノア&ヴォクシーとなり、『エスクァイア』が追加され…と複雑なので、どこを規準にするかは難しいが、ライトエースやタウンエースの名前が取れノア&ヴォクシーというFFミニバンとなってからは4世代となる。
現行モデル最大の特徴は従来までは5ナンバーボディを基本としていたのに対し、新型では全幅が1730mmの3ナンバーボディとなったことだ。試乗会場は都内のホテルがベースで、首都高や湾岸地区を中心の試乗だったのでとくに大きさで困ることはなかったが、道幅が狭い地域で5ナンバーモデルでないと扱いにくい地域はある。ライバルも大きくなるなか、そうした地域はおいていかれるのかと不安にも思う。
ミニバンではシートアレンジの容易さなどはかなり重要だが、この新型ノア&ヴォクシーはサードシートの収納がひと工夫された。サードシートは5対5分割で、シートバックを前に折りたたんで左右に跳ね上げるという方式は従来通りだが、今までのようにベルトで固定するなどの必要はなく、サイドに押し込めばそのまま固定されるので、荷室のスペースアップも簡単だ。
走りの質は「ハイブリッド4WD」がバツグン
ハイブリッドFF、ハイブリッド4WD、ガソリンエンジンFFの3種に乗った。ハイブリッドはエンジンが1.8リットルの98馬力/142Nm。フロントモーターが95馬力/185Nm、4WDのリヤモーターは41馬力/84Nmとなる。一方のガソリンエンジン車は2リットルの170馬力/202Nm仕様を搭載、今回は試乗していないがガソリンエンジン車の4WDモデルはプロペラシャフトでリヤに駆動を配分する機械式4WDとなる。
動力性能はさほど求めない、普段使い&長期休暇でキャンプなどに出かけるときに多人数とたくさんの荷物が積めればそれでよしとするなら、ガソリンエンジンのFFでも十分に走る。しかし、走りの質はハイブリッド4WDがバツグンにいい。最近のトヨタ車はリヤモーターの使い方が絶妙に上手で、単なる駆動配分ではなく、コーナリングの安定性や、コーナリング中からの加速などでの安定感とともに、スポーティさまでを生み出している。もし少し余裕があるなら、ハイブリッド4WDがなんといってもおすすめだ。
ガソリン車との価格差はあるけれど
価格的には、最上級モデルとなる「S-Zグレード」でガソリンFFとハイブリッド4WDだと価格差は57万円にもなる。ただしハイブリッドは税金面での優遇もあるので、セルフ見積もりをしてみた結果、乗り出し価格での差は35万円になった。税制はけっこうコロコロ変わるので、今後所有後の税金面での違いを予想するのは難しいが、税金面と燃費面で35万円を吸収しきるのはおそらく不可能。とはいえ得られるフィールや、下取り時の価格を考えるとハイブリッド4WDは、じつは正解な選択かもしれない。
ひとつ懸念材料となるのは納車時期。例の半導体不足もあって、ガソリンエンジン車で納車5か月待ち、ハイブリッドだと6か月以上だという。システムが複雑に、装備が充実すればするほど、納車時期は遅れるのが常だ。
■5つ星評価
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