【DS 4 新型試乗】イタフラ系のクルマを誰もが選べるようになった…中村孝仁
シトロエンブランドから枝分かれして今では旧PSAの最上級ブランドに君臨する「DS」。その第4弾モデルとして導入されたのが『DS 4』である。
最上級=高級なだけに価格的にもCセグメントのモデルとしては高い(398万円から)。その分内容は凝っていて至れり尽くせりと言えるのだが、正直言うとまだ使い勝手の良い有効なアイテムにまでは昇華していない印象がある。
「アイリスシステム」や「スマートタッチ」のポテンシャル
例えば新しい「アイリスシステム」や「スマートタッチ」。アイリスはボイスコントロールが使えるコマンドシステムだが、どこのボイスコマンドも一長一短。日本語に対応しているので、あとはAIに勉強させればよいのだろうか。
もう一つのスマートタッチはセンターコンソールに装備される小さなディスプレイにショートカットキーを設定すれば、本来の画面にタッチせず快適に使えるとあるが、試乗中に敢えてそこにショートカットを移動しなくても痛痒無く使えてしまうし、そもそもここにディスプレイがあるとカップホルダーが使いづらいという欠点もある。ナビ画面のピンチイン、ピンチアウト機能もあるが、作動があまりスムーズでないので、これは要改良。
等々、潜在的なポテンシャルとしては高いものを持っていると思うので、今後使い勝手の部分で改良が進めば機能が活かされていくという印象を受けた。
パリを強く意識させる拘りのデザイン
DSを見るにつけ、何がいいかというと、そのセンスの良さと拘りのあるデザインである。パリ、ルーブル美術館ではないが三角をモチーフにしたデザインエレメントがとても印象的である。DSの母体となったシトロエンは第1次世界大戦前にセーヌ川の畔、ジャベルに巨大な生産工場を建設した。言ってみれば東京の隅田川河畔に自動車工場があったというわけだ。この工場からシトロエンが出荷され、後にその出荷元のジャベル河岸はシトロエン河岸と名前を変え、工場跡地は今アンドレシトロエン公園となっている。これだけシトロエンはパリとの結びつきが強く、そこからスピンオフしたDSがパリを強く意識させるデザインを採用してもそれはごく当たり前ということである。
強い拘りの三角モチーフはパワーウィンドースイッチにも反映され、『DS 7』や『DS 9』ではそのスイッチがシフトレバーを挟んだ両側に装備されているのだが、これはいかにも使いづらく辟易していたら、DS 4 は一般的なドアにその機能が移されていた。と言ってもさすがはDSだけにデザインの拘りが強く、その位置はドアトリムの一番上。ベンチレーターの吹き出し口から切れ目なくデザインされている。デザイン的には優れモノだが、クローム加飾となっているので場合によってはサイドミラーに写り込んで視界を邪魔したり、あるいは長時間夏の炎天下に止めておくとその部分が熱くなったり、機能面では??があるのも事実である。
ブッシュコンプライアンスの大きさを感じるDS
DS 9にも装備されるアクティブスキャンサスペンションも採用されている。もっともこれ、DS 9でも言及したが基本的にサスペンションの減衰力を変えるだけで、メルセデスのように車体制御まではやっていない。どうもそのあたりが中途半端になった気がしないでもない。
DS系のクルマに乗ると、ブッシュコンプライアンスの大きさを感じる乗り味である。DS 9でそれを強く感じたが、実は方向性はDS 4も同じだ。とことんハーシュネスを小さくしようという意図が見える。それはそれで快適さを担保する上では大事かもしれないが、結果としてサスペンションに入力された振動が一発では収束できずに微振動として残る味付けとなっている。ただ、勿論十分に快適であることは言うまでもない。
イタフラ系のクルマを誰もが選べるようになった
上質な内装と、個性的で美しいデザイン(今年の世界で最も美しいクルマに選ばれたとあるが、パリで開催された「第37回国際自動車フェスティバル」でのことなので少々我田引水気味)の内外装は大いに称賛される。日本の輸入車市場は長く、ドイツ車一辺倒で今も力関係としてその状況に変わりはないのだが、イタフラ系のクルマの信頼性が上がり、誰もが普通に乗れる今では、個性豊かなクルマ選びができる状況が整っているようにも感じる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
最上級=高級なだけに価格的にもCセグメントのモデルとしては高い(398万円から)。その分内容は凝っていて至れり尽くせりと言えるのだが、正直言うとまだ使い勝手の良い有効なアイテムにまでは昇華していない印象がある。
「アイリスシステム」や「スマートタッチ」のポテンシャル
例えば新しい「アイリスシステム」や「スマートタッチ」。アイリスはボイスコントロールが使えるコマンドシステムだが、どこのボイスコマンドも一長一短。日本語に対応しているので、あとはAIに勉強させればよいのだろうか。
もう一つのスマートタッチはセンターコンソールに装備される小さなディスプレイにショートカットキーを設定すれば、本来の画面にタッチせず快適に使えるとあるが、試乗中に敢えてそこにショートカットを移動しなくても痛痒無く使えてしまうし、そもそもここにディスプレイがあるとカップホルダーが使いづらいという欠点もある。ナビ画面のピンチイン、ピンチアウト機能もあるが、作動があまりスムーズでないので、これは要改良。
等々、潜在的なポテンシャルとしては高いものを持っていると思うので、今後使い勝手の部分で改良が進めば機能が活かされていくという印象を受けた。
パリを強く意識させる拘りのデザイン
DSを見るにつけ、何がいいかというと、そのセンスの良さと拘りのあるデザインである。パリ、ルーブル美術館ではないが三角をモチーフにしたデザインエレメントがとても印象的である。DSの母体となったシトロエンは第1次世界大戦前にセーヌ川の畔、ジャベルに巨大な生産工場を建設した。言ってみれば東京の隅田川河畔に自動車工場があったというわけだ。この工場からシトロエンが出荷され、後にその出荷元のジャベル河岸はシトロエン河岸と名前を変え、工場跡地は今アンドレシトロエン公園となっている。これだけシトロエンはパリとの結びつきが強く、そこからスピンオフしたDSがパリを強く意識させるデザインを採用してもそれはごく当たり前ということである。
強い拘りの三角モチーフはパワーウィンドースイッチにも反映され、『DS 7』や『DS 9』ではそのスイッチがシフトレバーを挟んだ両側に装備されているのだが、これはいかにも使いづらく辟易していたら、DS 4 は一般的なドアにその機能が移されていた。と言ってもさすがはDSだけにデザインの拘りが強く、その位置はドアトリムの一番上。ベンチレーターの吹き出し口から切れ目なくデザインされている。デザイン的には優れモノだが、クローム加飾となっているので場合によってはサイドミラーに写り込んで視界を邪魔したり、あるいは長時間夏の炎天下に止めておくとその部分が熱くなったり、機能面では??があるのも事実である。
ブッシュコンプライアンスの大きさを感じるDS
DS 9にも装備されるアクティブスキャンサスペンションも採用されている。もっともこれ、DS 9でも言及したが基本的にサスペンションの減衰力を変えるだけで、メルセデスのように車体制御まではやっていない。どうもそのあたりが中途半端になった気がしないでもない。
DS系のクルマに乗ると、ブッシュコンプライアンスの大きさを感じる乗り味である。DS 9でそれを強く感じたが、実は方向性はDS 4も同じだ。とことんハーシュネスを小さくしようという意図が見える。それはそれで快適さを担保する上では大事かもしれないが、結果としてサスペンションに入力された振動が一発では収束できずに微振動として残る味付けとなっている。ただ、勿論十分に快適であることは言うまでもない。
イタフラ系のクルマを誰もが選べるようになった
上質な内装と、個性的で美しいデザイン(今年の世界で最も美しいクルマに選ばれたとあるが、パリで開催された「第37回国際自動車フェスティバル」でのことなので少々我田引水気味)の内外装は大いに称賛される。日本の輸入車市場は長く、ドイツ車一辺倒で今も力関係としてその状況に変わりはないのだが、イタフラ系のクルマの信頼性が上がり、誰もが普通に乗れる今では、個性豊かなクルマ選びができる状況が整っているようにも感じる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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