【スズキ スペーシアギア 新型試乗】程よくワイルドなデザインが醸す「非日常感覚」…島崎七生人

今年5月の新車販売台数でホンダ『N-BOX』を押しのけ1位となった『スペーシア』。2021年1~12月の販売台数でも、ダイハツ『タント』を抜き2位につけ、スズキ車の中でも『ワゴンR』『ハスラー』を大きく凌ぐボリュームセラーでもある。

ところで“標準車”“カスタム”“ギア”と3タイプが揃ううちの『スペーシアギア』は、実用前提のスーパーハイト系ながら生活感がオブラートに包まれた、いわゆる遊び心に溢れた内・外観デザインが特徴だ。そのことを今回の数日間の試乗でも肌で実感した。妙な言い方かも知れないが、いつものスーパーにいつものように買い物に出かけても、程よくワイルドなデザインが、乗り降りするたびに、ほんのりと非日常感覚を味わわせてくれる。

愛犬も嬉しい後席空間の快適さ
カタログの最初の見開きの、ハスキー犬がスライドドアから外に飛び降りるシーンに張り合って(!?)、我が家にやってきてまだ2か月・月齢5か月の柴犬シュン(先代ハルの後継犬)に躾けの一環で同じシーンを“演技”させてみたが、床面までの高さはおよそ30cmと低く、周囲の安全を確認した上でなら、気兼ねなく自力で乗り降りさせられる。

同様にスーパーハイトワゴン系のメリットである室内空間の広さの恩恵もたっぷりと体感できた。写真のように愛用のクレートの長手方向を横向きにし後席に固定することができ、横に家人が座り、時折クレートから首だけ出させて周囲の様子を見せるなどしながら、リラックスしたドライブも可能だった。天井に備わるサーキュレーターが、蒸し暑さ全開の7月時点でもエアコンの冷風を巧みに後席にも回してくれるのが、こうしたフォーメーションのときにはありがたい。

後席のスライド機構は荷物の量にもフレキシブルに対応でき重宝したり、チャイルドシートなどと同様、スライドドアの開口部の広さは箱状のクレートの乗せ下ろしもラクなのはいうまでもない。

ドライバビリティは、登録車のミニバンに勝るとも劣らない
試乗車は「HYBRID XZターボ」の2WD車。乗車人数にかかわらず余裕のある動力性能を発揮してくれ、運転手も同乗者も安心して乗っていられるクルマに仕上げられている。ドライバビリティは、登録車のミニバンに勝るとも劣らない快適さといったところだ。ADAS関連では車線逸脱抑制機能がプラスされ、走行中により心強い支援を実行してくれるようになった。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

[提供元:レスポンス]レスポンス

MORIZO on the Road