【三菱 ekクロスEV 新型試乗】ふつうに走れてふつうに乗れるEV、という価値…岩貞るみこ
今回のワンポイント確認は、「ふつうの軽自動車を電気自動車(以下EV)にしちゃって、違和感はないの?」である。
『ek』シリーズのなかでも顔面強めのSUVテイストに仕立てられた『ekクロス』。2019年に登場した時点ですでに、ゆくゆくはEVを想定して骨格を作っていたというだけに、今回のEV化で無理やり床下にシステムを積み込まれたわけではない。ゆえに、後席の足元に不自然な凹凸があるわけでもなく、サイドシル(ドアを開けたところの敷居部分)も床とフラットで乗り降りしやすい。荷室もリアゲートを開けたところに敷居もなく、重い荷物の積み下ろしもしやすい。
つまり『eKクロスEV』は、ぱっと見、ふつうの軽自動車感が漂っていて、EVのプレッシャーを感じなくてすむ。この「ふつう」なところが、EVの方が便利な人たちにとって、大切な部分である。
これぞ「EVの方が便利な人たちのためのEV」
EVの方が便利な人たち。それは、地方に住み日々の移動手段がクルマしかないという人たちだ。どこに行くにもクルマで動く。でも、ガソリンスタンドは近くにない。そんな彼らの多くは一軒家で敷地内に車庫があり、充電設備を作る場所もある。ついでに、一家に数台のクルマを保有しているので、遠出のときはそちらを活用できるという人たちである。
つまり、自宅で充電できるEVが便利なのである。ついでに、2022年7月14日に公開した「岩貞るみこの人道車医」のコラムでも、セルフのガソリンスタンドで、給油設備などに突っ込む事故が増えていることを書いたが、それも考えると、スタンドに行かず自宅で完結できるポイントは高そうだ。
とはいえ、そういう地方に住む人にとって日本に参入してきた輸入車EVはハードルが高い。近所にディーラーがなければ実車を見に行くこともままならない。その点、国産車、特に軽自動車の場合は近くに販売店(農機具とともに売っていたりする)があることは便利だし、車検や点検も近くで顔見知りがやっていることは大切なのである。
ekクロスEVの、使い勝手も放つオーラも、しみじみふつうで乗り手にマウントをとってこない馴染みやすさ。これぞ「EVの方が便利な人たちのためのEV」と言える。
とにかく静かでストレスがない走り
スタートスイッチを押すとエンジン音はしなくて静か。発進すると、加速はいたって慎み深く自然で、平和に速度を上げていく。走行モードは、エコ/ノーマル/スポーツと切り替えられ、その時の状況に応じて切り替えられるのだが、ただ残念なのは、このスイッチがハンドル付け根から見て右下にあり、運転中の視界に入らない。しかもスイッチを押そうとすると状態が若干、前かがみになるので使いにくいことだ。これ、位置を変えてほしいなあ。
アクセルペダルから足を離したときにぐーっと速度が下がる強めの回生ブレーキは、ありがちなエコモードとのセットではなく、どの走行モードを選んでも個別に選択できるようになっている。私は、強めの回生ブレーキの減速感が苦手なのだが、下り坂だけ、エンジンブレーキ代わりに強めの回生ブレーキを使いたいときがあるので、このやり方はありがたい。
2時間ほど試乗をしていると、とにかく静かでストレスがない。ついでに、ちょっと停車しているあいだも、エンジンがかかっていない=アイドリング状態ではないので条令違反にならないし、周囲の家々への迷惑もかからない。なにかといいことだらけである。
ふつうに走れてふつうに乗れる
結論。ekクロスEVは、EVだからといって構えることなく、ふつうに走れてふつうに乗れる、地方生活の足として使いやすいクルマだった。今なら国の補助金のほか、自治体により支援制度があり、東京都の場合、トータルで100万円の補助を受けられるケースもある。税金が投入されることに納税者としては納得できかねる部分もあるけれど、選ぶ人にとってはチャンスなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
『ek』シリーズのなかでも顔面強めのSUVテイストに仕立てられた『ekクロス』。2019年に登場した時点ですでに、ゆくゆくはEVを想定して骨格を作っていたというだけに、今回のEV化で無理やり床下にシステムを積み込まれたわけではない。ゆえに、後席の足元に不自然な凹凸があるわけでもなく、サイドシル(ドアを開けたところの敷居部分)も床とフラットで乗り降りしやすい。荷室もリアゲートを開けたところに敷居もなく、重い荷物の積み下ろしもしやすい。
つまり『eKクロスEV』は、ぱっと見、ふつうの軽自動車感が漂っていて、EVのプレッシャーを感じなくてすむ。この「ふつう」なところが、EVの方が便利な人たちにとって、大切な部分である。
これぞ「EVの方が便利な人たちのためのEV」
EVの方が便利な人たち。それは、地方に住み日々の移動手段がクルマしかないという人たちだ。どこに行くにもクルマで動く。でも、ガソリンスタンドは近くにない。そんな彼らの多くは一軒家で敷地内に車庫があり、充電設備を作る場所もある。ついでに、一家に数台のクルマを保有しているので、遠出のときはそちらを活用できるという人たちである。
つまり、自宅で充電できるEVが便利なのである。ついでに、2022年7月14日に公開した「岩貞るみこの人道車医」のコラムでも、セルフのガソリンスタンドで、給油設備などに突っ込む事故が増えていることを書いたが、それも考えると、スタンドに行かず自宅で完結できるポイントは高そうだ。
とはいえ、そういう地方に住む人にとって日本に参入してきた輸入車EVはハードルが高い。近所にディーラーがなければ実車を見に行くこともままならない。その点、国産車、特に軽自動車の場合は近くに販売店(農機具とともに売っていたりする)があることは便利だし、車検や点検も近くで顔見知りがやっていることは大切なのである。
ekクロスEVの、使い勝手も放つオーラも、しみじみふつうで乗り手にマウントをとってこない馴染みやすさ。これぞ「EVの方が便利な人たちのためのEV」と言える。
とにかく静かでストレスがない走り
スタートスイッチを押すとエンジン音はしなくて静か。発進すると、加速はいたって慎み深く自然で、平和に速度を上げていく。走行モードは、エコ/ノーマル/スポーツと切り替えられ、その時の状況に応じて切り替えられるのだが、ただ残念なのは、このスイッチがハンドル付け根から見て右下にあり、運転中の視界に入らない。しかもスイッチを押そうとすると状態が若干、前かがみになるので使いにくいことだ。これ、位置を変えてほしいなあ。
アクセルペダルから足を離したときにぐーっと速度が下がる強めの回生ブレーキは、ありがちなエコモードとのセットではなく、どの走行モードを選んでも個別に選択できるようになっている。私は、強めの回生ブレーキの減速感が苦手なのだが、下り坂だけ、エンジンブレーキ代わりに強めの回生ブレーキを使いたいときがあるので、このやり方はありがたい。
2時間ほど試乗をしていると、とにかく静かでストレスがない。ついでに、ちょっと停車しているあいだも、エンジンがかかっていない=アイドリング状態ではないので条令違反にならないし、周囲の家々への迷惑もかからない。なにかといいことだらけである。
ふつうに走れてふつうに乗れる
結論。ekクロスEVは、EVだからといって構えることなく、ふつうに走れてふつうに乗れる、地方生活の足として使いやすいクルマだった。今なら国の補助金のほか、自治体により支援制度があり、東京都の場合、トータルで100万円の補助を受けられるケースもある。税金が投入されることに納税者としては納得できかねる部分もあるけれど、選ぶ人にとってはチャンスなのである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
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フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「ハチ公物語」「しっぽをなくしたイルカ」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
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