【メルセデスベンツ EQB 新型試乗】「EQは路線変更!?」とも思えるBEV感の強さ…九島辰也
メルセデスベンツが送りだすBEVの第三弾となる『EQB』のステアリングを握った。『GLB』をベースにし、床下にリチウムイオン電池を敷き詰めたモデルである。なので、比較的コンパクトなサイズながら3列シートで7名乗車が可能になる。その意味ではBEVの中でも使い勝手の良さが光る一台かもしれない。
EQシリーズ初となる「交流同期電動機」の採用
そんなEQBには2つのグレードがある。「EQB250」と「EQB350 4MATIC」だ。ユニークなのは異なるモーターによる駆動方式を持つこと。前者がFWD、後者が文字通りのAWDとなる。
そして、そこには2種類のモーターが用意される。非同期モーターと呼ばれる交流誘導電動機と永久磁石同期モーターの交流同期電動機だ。EQB250は交流同期電動機をフロントアクスルに一つ、EQB350 4MATICはフロントに交流誘導電動機、リアアクスルに交流同期電動機をそれぞれ搭載する。
EQシリーズにとって初となる交流同期電動機は今後主流になると思われる。というのも、出力密度、効率、出力定常性がいずれもこれまでより高いからだ。要するに高効率。機構は交流モーターのローターに複数の永久磁石を取り付けることで、ステーター巻線内の交流の回転電場に追従するというもの。ローターが同期するように回転する。
では、実際に走らせるとどうか。結論から言うと、2つのモデルとも速さが際立っていた。
これまでのEQとは違う、BEV感の強いセッティング
EQB250はアクセルをグイッと踏み込むとフロントタイヤがトルクステアを発生させながらボディをグイグイ引っ張るといった感じ。多少ステアリングを修正しながら、その瞬発力を楽しむことができる。これに対しEQB350 4MATICは安定感を担保しながら絶対的なスピードを味合わせてくれる。キャビンは静かなまま窓の外の景色だけが極端に早く流れるのだ。
クルマの挙動はともかく、この加速感覚はまさにBEVである。ライバルたちがそこを強調するように、EQBもそれを素早く感じ取れた。だが思い起こすと、これまでのEQシリーズはここまで極端ではなかった気がする。特に『EQC』はそういった電動的な動きをさせてはいなかった。メルセデスが主張したのは内燃機関からの違和感のない乗り換えで、それがうまく仕上がっていたのがEQCであった。その意味ではEQBの味付けは路線変更したのかもしれない。こいつはマーケットニーズを組み入れたBEV感の強いセッティングと言える。
速さが前面に出たEQBは個性的な回生モードを持ち合わせている。D Autoと記されたポジションがそれで、路上に前走車がいるとか、道路が上っているとか下っているとかをセンサーが読み取り、それに見合った回生ブレーキをかけてくれるのだ。なので、アクセルオンで走行していても前走車がいればまるでACCで走っているように回生ブレーキがかかり車間をキープする。また、高速道路での巡航では環境が整えばコースティングも自動で行う。つまり、道路環境において電動効率の高い状態を勝手に作り出すのである。
EQシリーズはうまい具合に進化している
と言うように、ラインアップを拡張しながらうまい具合にメルセデスはEQシリーズを進化させている。きっとその背景にはフォーミュラEで活躍するメルセデスEQチームの存在があるのだろう。そこでのデータが市販車の開発に一役買っているに違いない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
EQシリーズ初となる「交流同期電動機」の採用
そんなEQBには2つのグレードがある。「EQB250」と「EQB350 4MATIC」だ。ユニークなのは異なるモーターによる駆動方式を持つこと。前者がFWD、後者が文字通りのAWDとなる。
そして、そこには2種類のモーターが用意される。非同期モーターと呼ばれる交流誘導電動機と永久磁石同期モーターの交流同期電動機だ。EQB250は交流同期電動機をフロントアクスルに一つ、EQB350 4MATICはフロントに交流誘導電動機、リアアクスルに交流同期電動機をそれぞれ搭載する。
EQシリーズにとって初となる交流同期電動機は今後主流になると思われる。というのも、出力密度、効率、出力定常性がいずれもこれまでより高いからだ。要するに高効率。機構は交流モーターのローターに複数の永久磁石を取り付けることで、ステーター巻線内の交流の回転電場に追従するというもの。ローターが同期するように回転する。
では、実際に走らせるとどうか。結論から言うと、2つのモデルとも速さが際立っていた。
これまでのEQとは違う、BEV感の強いセッティング
EQB250はアクセルをグイッと踏み込むとフロントタイヤがトルクステアを発生させながらボディをグイグイ引っ張るといった感じ。多少ステアリングを修正しながら、その瞬発力を楽しむことができる。これに対しEQB350 4MATICは安定感を担保しながら絶対的なスピードを味合わせてくれる。キャビンは静かなまま窓の外の景色だけが極端に早く流れるのだ。
クルマの挙動はともかく、この加速感覚はまさにBEVである。ライバルたちがそこを強調するように、EQBもそれを素早く感じ取れた。だが思い起こすと、これまでのEQシリーズはここまで極端ではなかった気がする。特に『EQC』はそういった電動的な動きをさせてはいなかった。メルセデスが主張したのは内燃機関からの違和感のない乗り換えで、それがうまく仕上がっていたのがEQCであった。その意味ではEQBの味付けは路線変更したのかもしれない。こいつはマーケットニーズを組み入れたBEV感の強いセッティングと言える。
速さが前面に出たEQBは個性的な回生モードを持ち合わせている。D Autoと記されたポジションがそれで、路上に前走車がいるとか、道路が上っているとか下っているとかをセンサーが読み取り、それに見合った回生ブレーキをかけてくれるのだ。なので、アクセルオンで走行していても前走車がいればまるでACCで走っているように回生ブレーキがかかり車間をキープする。また、高速道路での巡航では環境が整えばコースティングも自動で行う。つまり、道路環境において電動効率の高い状態を勝手に作り出すのである。
EQシリーズはうまい具合に進化している
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