【レンジローバー 新型試乗】BMW製V8が霞む、直6ディーゼルの出来栄え…九島辰也
これまで『レンジローバー』を筆頭とするランドローバー系モデルにはたくさん試乗してきた。1948年のシリーズ1からシリーズ2、3、そして70年デビューの3ドアレンジローバーと。最新モデルは当然だが、クラシックランドローバーの魅力は尽きない。
ただ、新型を乗るといつもその出来栄えに感動する。高級感は毎回アップされ、期待を上回る。今回もそう。デザイン、乗り心地、静粛性、それとパワーの面で想像を超えた。もはやさらに上のクラスのベントレー『ベンテイガ』に迫る。というか、同等の仕上がりだ。
もはやラグジュアリーサルーンのような乗り味
それを強く感じたのは乗り心地。エアサスペンションのセッティングは秀逸で、路面のアンジュレーションを問わず常にフラットなキャビンを提供する。試乗は軽井沢周辺の一般道と高速道路を使用したのでそれが如実にわかった。少し山の中へ入るとアスファルトの状態は悪く砂利が路面を覆う。が、新型レンジはその状況下で雲の上のような乗り心地と安定したステアリング操作を提供してくれた。このセッティングは一般的な高級SUVとは別物。もはやラグジュアリーサルーンのような乗り味だ。
さらに驚いたのが3リットル直6ディーゼルターボ+48Vマイルドハイブリッドの気持ちよさ。従来型にも採用されていた組み合わせだが、それがさらに進化した。ディーゼルの振動や音はまったく気にならないレベルに抑えられ、長所である太いトルクがどの回転域からでも顔を出し、排気量以上の力強さを発揮してくれる。体感はカタログ数値300ps以上だ。
これができるのはモーターがうまい具合にディーゼルのネガティブポイントを補っているから。アイドリングや低速時などディーゼルユニットが必要でない領域はモーターで車体を動かし、その出力が必要な時にはモーターが黒子になってパワーをサポートする。コンピューターで制御されるこのコンビネーションは絶妙といっていいだろう。
新BMW製V8が霞むほどの直6ディーゼル
しかも、ディーゼルユニット自体を直列6気筒とすることでバランス良く上まで回転し、吹け上がりの気持ちよさをドライバーに伝える。自社製エンジンになって経験を積み、熟成時期に入ったってところだろう。ご存知のように近年ドイツ勢も直列6気筒に着目しているが、この上品な仕上がりはそれらを上まわる気がする。ディーゼルエンジンをここまで手懐けるとは驚きだ。
なので、その後に乗った新採用のBMW製V8ユニットは少し霞んでしまった。もちろんスペック的に魅力的だし、フィーリングも悪くないが、想定内といったところ。なので今のところおすすめはディーゼルエンジン搭載車だが、今回はガソリンエンジンのプラグインハイブリッドを試乗していないので、結論は先送りする。
それに2024年には完全な電気自動車のBEVが追加される予定。果たしてBEVのレンジローバーはどんな走りなのか? 興味は尽きない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
ただ、新型を乗るといつもその出来栄えに感動する。高級感は毎回アップされ、期待を上回る。今回もそう。デザイン、乗り心地、静粛性、それとパワーの面で想像を超えた。もはやさらに上のクラスのベントレー『ベンテイガ』に迫る。というか、同等の仕上がりだ。
もはやラグジュアリーサルーンのような乗り味
それを強く感じたのは乗り心地。エアサスペンションのセッティングは秀逸で、路面のアンジュレーションを問わず常にフラットなキャビンを提供する。試乗は軽井沢周辺の一般道と高速道路を使用したのでそれが如実にわかった。少し山の中へ入るとアスファルトの状態は悪く砂利が路面を覆う。が、新型レンジはその状況下で雲の上のような乗り心地と安定したステアリング操作を提供してくれた。このセッティングは一般的な高級SUVとは別物。もはやラグジュアリーサルーンのような乗り味だ。
さらに驚いたのが3リットル直6ディーゼルターボ+48Vマイルドハイブリッドの気持ちよさ。従来型にも採用されていた組み合わせだが、それがさらに進化した。ディーゼルの振動や音はまったく気にならないレベルに抑えられ、長所である太いトルクがどの回転域からでも顔を出し、排気量以上の力強さを発揮してくれる。体感はカタログ数値300ps以上だ。
これができるのはモーターがうまい具合にディーゼルのネガティブポイントを補っているから。アイドリングや低速時などディーゼルユニットが必要でない領域はモーターで車体を動かし、その出力が必要な時にはモーターが黒子になってパワーをサポートする。コンピューターで制御されるこのコンビネーションは絶妙といっていいだろう。
新BMW製V8が霞むほどの直6ディーゼル
しかも、ディーゼルユニット自体を直列6気筒とすることでバランス良く上まで回転し、吹け上がりの気持ちよさをドライバーに伝える。自社製エンジンになって経験を積み、熟成時期に入ったってところだろう。ご存知のように近年ドイツ勢も直列6気筒に着目しているが、この上品な仕上がりはそれらを上まわる気がする。ディーゼルエンジンをここまで手懐けるとは驚きだ。
なので、その後に乗った新採用のBMW製V8ユニットは少し霞んでしまった。もちろんスペック的に魅力的だし、フィーリングも悪くないが、想定内といったところ。なので今のところおすすめはディーゼルエンジン搭載車だが、今回はガソリンエンジンのプラグインハイブリッドを試乗していないので、結論は先送りする。
それに2024年には完全な電気自動車のBEVが追加される予定。果たしてBEVのレンジローバーはどんな走りなのか? 興味は尽きない。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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