【メルセデスベンツ EQB 新型試乗】コンサバ一家も違和感なく乗り換えOK!BEV初の7人乗りSUV…南陽一浩
ポッと出ではない、本邦初の7人乗りEV
3列シート7名乗車可能なピープル・ムーバーSUVにしてピュアEV、という存在感は本邦初。ふりかえれば、本国ではサルーンである『EQE』や『EQS』も登場済みなので、EQシリーズ全体ですでに5車種、『EQC』と『EQA』に続くピュアEVのSUVとしては第3弾になる。この夏より日本市場でローンチされたメルセデス『EQB』のことだ。ハイエンドBEVで存在感を高めるメルセデスEQのラインナップ構築戦略とスピード感は、並々ならぬものがある。
日本市場を見渡すと、『ランドクルーザープラド』にマツダ『CX-8』にレクサス『LX』や『RX』、日産『エクストレイル』やホンダ『CR-V』を手始めに、輸入車でもBMW『X7』、『X5』やボルボ『XC90』、プジョー『5008』やランドローバー『ディスカバリースポーツ』など、いわゆる7シーターのSUVには各社の売れ筋が居並び、ディーゼル&ハイブリッド天国であることは間違いない。
だがメルセデスベンツは、アメリカ市場向けの大柄ハイエンドSUVに強いことを差し引いても、ことさら7シーターに熱心なメーカーであり続けてきた。W124時代のTEステーションワゴンや旧『Gクラス』のロング、商業的にはビミョーだった『Rクラス』の他に、現役世代だけでも『Vクラス』に『GLS』に『GLE』、『GLB』などなど。ピュアEVの7シーターである点に、EQBの最たるUSP(ユニーク・セリング・ポイント)があることは間違いない。ようはポッと出とはほど遠い、7人乗りとして初の電気版たるEQBだからこそ、その出来栄えは重要な関心事として受け止める必要がある。
ラインアップは2種類。前輪駆動モデルの「EQB 250」は788万円~で、AWDモデルの「EQB 350 4MATIC」は870万円。国や各自治体による補助金や優遇税制、加えてメルセデスからのサポートまで合わせれば、購入時のボーナス額は100万円近くから最大170万円強にも上るとか。車検登録の住所次第とはいえ、実質的にGLBと変わらない価格帯であり、EQBは従前のICEか?それともEVか?という踏み絵にも似た選択を、ユーザーに迫るモデルといえる。
一卵性双生児の『GLB』との違いは
実車を前にしてみるとエクステリアのデザインは、とくにルーフ後端からハッチゲートにかけてのラインが、同じ66.5kWh容量のバッテリーを積むEQAよりボクシーで、実用性重視のSUVルック。それでいて空力抵抗はCd値0.28に収めており、最長航続距離はWLTCモードでFFモデルが520km、AWDモデルも468kmに達しているとか。
メルセデスベンツのFF用プラットフォームであるMFA2(モジュラー・フロントドライブ・アーキテクチャ)をGLBと共有するだけに、全体のシルエットはGLBと一卵性双生児的で、ウィンドウ枠やウエストラインにはかなり共通するが、フラッシュサーフェス化され積極的にツルンとされたフロントマスクの印象はガラリと違う。ワイドさを強調したリアビューも独自だ。
続いてインテリアに視線を移すと、やや過剰なバックライト照明のイルミネーションがダッシュボードからドアパネルまで配され、スキなく迎えてくれる。非AMGラインパッケージ仕様のEQB 250には、ローズゴールド&チタニウムグレーパールのアクセントが、シート中央からエアコン吹出口に奢られている。
従来的な硬質感ガチのスポーティパッケージとは真逆で、ユル・フワ目の温感を意識した仕上がりは、湾岸沿いのモールやタワマン辺りで好まれそうというか、ファミリーカーの内装としてよりコンプリートな布陣でもある。
ユーティリティ面については、乗員スペースと荷室のトレードオフを、巧みにまとめた印象だ。トランク容量は3列目シートを立てた状態では最大130リットルに限られる。だが当の3列目がフラットに段差なく気持ちよく畳めるのはメルセデスにおいては伝統芸のようなもので、5名乗車なら最大670リットル、最前列のみの2名乗車なら1620リットルまで拡大できる。さらに2列目シートバックは4:2:4分割可倒式で、2列目の座面側は6:4分割ながら最大140mm幅で前後スライド可能と、乗員の足元優先のパラメーター変更にも余裕で対応。
ちなみに3列目シートは、安全上の理由から対応身長165cm以下とメルセデスは公言しており、大人が快適に座れる席ではなく、限られた条件で運用する2座なのだ。とはいえチャイルドシートは最大4席まで対応できる点は大きいし、いわゆる利便品質に加え、騒音や振動、ハーシュネス対策も徹底的に磨いたという。
超ロングホイールベースでも小気味よいドライバビリティ
まずはFFモデル、250の方から試乗してみたが、ゼロ発進時にいかにも電気モーターでござい、というツンツンした無駄に鋭いトルク感ではなく、しかしモタつかず街中でもとり回し易い仕上がりは、さすがの洗練ぶりだ。ようはストップ&ゴーで、アクセル操作の敏感度と回生の入り方において、乗員の頭を前後に揺すってくる粗野さはない。
回生レベルは3段階でデフォルトはDレベル。ステアリング裏のパドルの左側を引くと回生レベルが強められるD+、右側はコースティング重視となるD―で、さらにDオートという回生&コースティングのレベルを車の側で自動的に選択変更するモードもある。レーダーセーフティパッケージのセンサーが車の周囲を判断しつつ、上り下りの車体の傾きを感知して電池効率を最大化制御するのだ。選択中の回生モードはインジケーターパネル中央で確認できる。
2830mmもの超ロングホイールベースながら、385Nmもの大トルクを利した小気味よいドライバビリティと、手の内に収めやすいハンドリングゆえ、街中でもスムーズに走らせやすい、そんなフレンドリーなタッチに満ちた動的質感ではある。よくBEVは静粛性が高いようで、ヒュイーンとかキュイーンといった耳障りな高周波音も少なくないが、そうした類は見事にシャットアウト。FFモデルの駆動モーターはAWDモデルが搭載するリアモーターと出力スペックこそ異なるが、同じく新設計の永久磁石同期モーターで、出力密度や効率、定常性が高められているという。
継ぎ目や凹凸を越えるとトトン、という短く小刻みなリズムで収束する足まわりも、固すぎず柔らかすぎずの塩梅で、低中速域での上質でフラットな乗り心地は得意分野ですらある。車両重量は2.1トンと、BEVの常で、積載済みの小型バンかトラック並に重いものの、重量物が超ロングのホイールベース内に低重心で配されて乗員の快適性に資するよう用いられた、気遣いと効果は多々感じられる。
気になるのは「上下方向」
ただ、超ロングホイールベースを活かしたパッケージングは水平方向には優秀だが、上下方向でふたつほど気にかかることがあった。ひとつ目は、3列目シートの座り心地と居住性は仕方ないとして、フロア下に収まるバッテリーの高さが嵩んで、2列目シートのフロア足元が座面高に対して高過ぎる。身長175cmの大人でもいわゆる体育座り気味の姿勢を強いられるのだ。低重心化のためなるべく着座ポイントは低めたいが、頭上スペースがある分、居住性で惜しまれる点ではある。
もうひとつは横Gの出るコーナリング時、逆バンク気味のコーナーでのことだが、一定ロールを保ちたいのに多少なりともギャップを拾うと、足元のゆらゆらとした揺動がタウンスピードの時に比べて収まりづらい。上屋根の高さゆえに仕方ないところでもあるが、この点ではFFモデルより+60kgの車両重量2160kgのEQB 350の方が、増量マスや前後重量配分が吉と出たか、抑えが効く。いずれICEのFFモデルと共有のプラットフォームゆえ、パッケージでもヴィークルダイナミクス面でもEQBが大胆にふり切れない辺りだが、ICEモデルからBEVへ移行する過渡期のオーナーが大多数である以上、この方向性は正しいのだろう。
ちなみに「ハイ、メルセデス」で作動するMBUXインターフェイスも、EQ専用メニューとしてエネルギーフロー画面や、プリエントリークライメートコントロールなどがGLBとの違いで、急速充電ステーション検索や「充電設定、読み上げて」といったコマンドにも音声で対応する。新機軸としてはワッツ3ワードという、ランダムな3語で地図上の1点を3m四方まで絞り込めるアプリがバインドされ、検索&指定に用いることができる。
麦わら一家だけでなくサザエさん世代にもリアルな7人乗りBEV
システム総計でパワー&トルクとも、ざっと1.5倍増しの350がモリモリのパワー感なのかと思えば、さにあらず。デフォルトではリア駆動がメインの350では、リアサスが軽く沈み込みながら押し出される加速が味わえる。とはいえ350のリアモーターは98ps・150Nmと控えめで、モーター単体の強力さでは190ps・385NmというFFモデルが上回る。だからトップエンドではない日常域では、トルク&パワーより引くか押されるかの駆動フィール、量より質感の違いが大きい。
むしろAWDモデルの効能は、リアモーターのキャパを越える必要が生じれば194ps・370Nmというフロントモーターも介入してくるAWDだが、それがあらかたなのはトルク&パワーのトップアップといより、毎秒100回の頻度でもって前後車軸のパワーバランスを制御されるという、スタビリティの話だ。
充電方式は100kWhまでのCHAdeMOと200V対応で、とにかく航続距離重視なら、WLTCモードで520kmという250に軍配が上がるが、FRめいた柔らかな加速フィールや、雨の日でも高速道路を走ることが多いとか雪の路面を必ず走るという使い方なら、350に軍配が上がるだろう。
それにしても試乗して読み解くほどに、GLBがICEとして備えていた安定感から、パワートレインやインフォテイメントの一部を換骨奪胎して、EQBはEVへの移行を促しているように見える。映画『ワンピース フィルム レッド』とコラボしているEQBだが、むしろ『サザエさん』ライクなコンサバ一家も違和感なく乗り換えられる7人乗りEVではないのか? 3列目はタラちゃんとワカメで決まりとして、カツオがどの席に乗り込むか少し気になるが、そう思わされた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。
3列シート7名乗車可能なピープル・ムーバーSUVにしてピュアEV、という存在感は本邦初。ふりかえれば、本国ではサルーンである『EQE』や『EQS』も登場済みなので、EQシリーズ全体ですでに5車種、『EQC』と『EQA』に続くピュアEVのSUVとしては第3弾になる。この夏より日本市場でローンチされたメルセデス『EQB』のことだ。ハイエンドBEVで存在感を高めるメルセデスEQのラインナップ構築戦略とスピード感は、並々ならぬものがある。
日本市場を見渡すと、『ランドクルーザープラド』にマツダ『CX-8』にレクサス『LX』や『RX』、日産『エクストレイル』やホンダ『CR-V』を手始めに、輸入車でもBMW『X7』、『X5』やボルボ『XC90』、プジョー『5008』やランドローバー『ディスカバリースポーツ』など、いわゆる7シーターのSUVには各社の売れ筋が居並び、ディーゼル&ハイブリッド天国であることは間違いない。
だがメルセデスベンツは、アメリカ市場向けの大柄ハイエンドSUVに強いことを差し引いても、ことさら7シーターに熱心なメーカーであり続けてきた。W124時代のTEステーションワゴンや旧『Gクラス』のロング、商業的にはビミョーだった『Rクラス』の他に、現役世代だけでも『Vクラス』に『GLS』に『GLE』、『GLB』などなど。ピュアEVの7シーターである点に、EQBの最たるUSP(ユニーク・セリング・ポイント)があることは間違いない。ようはポッと出とはほど遠い、7人乗りとして初の電気版たるEQBだからこそ、その出来栄えは重要な関心事として受け止める必要がある。
ラインアップは2種類。前輪駆動モデルの「EQB 250」は788万円~で、AWDモデルの「EQB 350 4MATIC」は870万円。国や各自治体による補助金や優遇税制、加えてメルセデスからのサポートまで合わせれば、購入時のボーナス額は100万円近くから最大170万円強にも上るとか。車検登録の住所次第とはいえ、実質的にGLBと変わらない価格帯であり、EQBは従前のICEか?それともEVか?という踏み絵にも似た選択を、ユーザーに迫るモデルといえる。
一卵性双生児の『GLB』との違いは
実車を前にしてみるとエクステリアのデザインは、とくにルーフ後端からハッチゲートにかけてのラインが、同じ66.5kWh容量のバッテリーを積むEQAよりボクシーで、実用性重視のSUVルック。それでいて空力抵抗はCd値0.28に収めており、最長航続距離はWLTCモードでFFモデルが520km、AWDモデルも468kmに達しているとか。
メルセデスベンツのFF用プラットフォームであるMFA2(モジュラー・フロントドライブ・アーキテクチャ)をGLBと共有するだけに、全体のシルエットはGLBと一卵性双生児的で、ウィンドウ枠やウエストラインにはかなり共通するが、フラッシュサーフェス化され積極的にツルンとされたフロントマスクの印象はガラリと違う。ワイドさを強調したリアビューも独自だ。
続いてインテリアに視線を移すと、やや過剰なバックライト照明のイルミネーションがダッシュボードからドアパネルまで配され、スキなく迎えてくれる。非AMGラインパッケージ仕様のEQB 250には、ローズゴールド&チタニウムグレーパールのアクセントが、シート中央からエアコン吹出口に奢られている。
従来的な硬質感ガチのスポーティパッケージとは真逆で、ユル・フワ目の温感を意識した仕上がりは、湾岸沿いのモールやタワマン辺りで好まれそうというか、ファミリーカーの内装としてよりコンプリートな布陣でもある。
ユーティリティ面については、乗員スペースと荷室のトレードオフを、巧みにまとめた印象だ。トランク容量は3列目シートを立てた状態では最大130リットルに限られる。だが当の3列目がフラットに段差なく気持ちよく畳めるのはメルセデスにおいては伝統芸のようなもので、5名乗車なら最大670リットル、最前列のみの2名乗車なら1620リットルまで拡大できる。さらに2列目シートバックは4:2:4分割可倒式で、2列目の座面側は6:4分割ながら最大140mm幅で前後スライド可能と、乗員の足元優先のパラメーター変更にも余裕で対応。
ちなみに3列目シートは、安全上の理由から対応身長165cm以下とメルセデスは公言しており、大人が快適に座れる席ではなく、限られた条件で運用する2座なのだ。とはいえチャイルドシートは最大4席まで対応できる点は大きいし、いわゆる利便品質に加え、騒音や振動、ハーシュネス対策も徹底的に磨いたという。
超ロングホイールベースでも小気味よいドライバビリティ
まずはFFモデル、250の方から試乗してみたが、ゼロ発進時にいかにも電気モーターでござい、というツンツンした無駄に鋭いトルク感ではなく、しかしモタつかず街中でもとり回し易い仕上がりは、さすがの洗練ぶりだ。ようはストップ&ゴーで、アクセル操作の敏感度と回生の入り方において、乗員の頭を前後に揺すってくる粗野さはない。
回生レベルは3段階でデフォルトはDレベル。ステアリング裏のパドルの左側を引くと回生レベルが強められるD+、右側はコースティング重視となるD―で、さらにDオートという回生&コースティングのレベルを車の側で自動的に選択変更するモードもある。レーダーセーフティパッケージのセンサーが車の周囲を判断しつつ、上り下りの車体の傾きを感知して電池効率を最大化制御するのだ。選択中の回生モードはインジケーターパネル中央で確認できる。
2830mmもの超ロングホイールベースながら、385Nmもの大トルクを利した小気味よいドライバビリティと、手の内に収めやすいハンドリングゆえ、街中でもスムーズに走らせやすい、そんなフレンドリーなタッチに満ちた動的質感ではある。よくBEVは静粛性が高いようで、ヒュイーンとかキュイーンといった耳障りな高周波音も少なくないが、そうした類は見事にシャットアウト。FFモデルの駆動モーターはAWDモデルが搭載するリアモーターと出力スペックこそ異なるが、同じく新設計の永久磁石同期モーターで、出力密度や効率、定常性が高められているという。
継ぎ目や凹凸を越えるとトトン、という短く小刻みなリズムで収束する足まわりも、固すぎず柔らかすぎずの塩梅で、低中速域での上質でフラットな乗り心地は得意分野ですらある。車両重量は2.1トンと、BEVの常で、積載済みの小型バンかトラック並に重いものの、重量物が超ロングのホイールベース内に低重心で配されて乗員の快適性に資するよう用いられた、気遣いと効果は多々感じられる。
気になるのは「上下方向」
ただ、超ロングホイールベースを活かしたパッケージングは水平方向には優秀だが、上下方向でふたつほど気にかかることがあった。ひとつ目は、3列目シートの座り心地と居住性は仕方ないとして、フロア下に収まるバッテリーの高さが嵩んで、2列目シートのフロア足元が座面高に対して高過ぎる。身長175cmの大人でもいわゆる体育座り気味の姿勢を強いられるのだ。低重心化のためなるべく着座ポイントは低めたいが、頭上スペースがある分、居住性で惜しまれる点ではある。
もうひとつは横Gの出るコーナリング時、逆バンク気味のコーナーでのことだが、一定ロールを保ちたいのに多少なりともギャップを拾うと、足元のゆらゆらとした揺動がタウンスピードの時に比べて収まりづらい。上屋根の高さゆえに仕方ないところでもあるが、この点ではFFモデルより+60kgの車両重量2160kgのEQB 350の方が、増量マスや前後重量配分が吉と出たか、抑えが効く。いずれICEのFFモデルと共有のプラットフォームゆえ、パッケージでもヴィークルダイナミクス面でもEQBが大胆にふり切れない辺りだが、ICEモデルからBEVへ移行する過渡期のオーナーが大多数である以上、この方向性は正しいのだろう。
ちなみに「ハイ、メルセデス」で作動するMBUXインターフェイスも、EQ専用メニューとしてエネルギーフロー画面や、プリエントリークライメートコントロールなどがGLBとの違いで、急速充電ステーション検索や「充電設定、読み上げて」といったコマンドにも音声で対応する。新機軸としてはワッツ3ワードという、ランダムな3語で地図上の1点を3m四方まで絞り込めるアプリがバインドされ、検索&指定に用いることができる。
麦わら一家だけでなくサザエさん世代にもリアルな7人乗りBEV
システム総計でパワー&トルクとも、ざっと1.5倍増しの350がモリモリのパワー感なのかと思えば、さにあらず。デフォルトではリア駆動がメインの350では、リアサスが軽く沈み込みながら押し出される加速が味わえる。とはいえ350のリアモーターは98ps・150Nmと控えめで、モーター単体の強力さでは190ps・385NmというFFモデルが上回る。だからトップエンドではない日常域では、トルク&パワーより引くか押されるかの駆動フィール、量より質感の違いが大きい。
むしろAWDモデルの効能は、リアモーターのキャパを越える必要が生じれば194ps・370Nmというフロントモーターも介入してくるAWDだが、それがあらかたなのはトルク&パワーのトップアップといより、毎秒100回の頻度でもって前後車軸のパワーバランスを制御されるという、スタビリティの話だ。
充電方式は100kWhまでのCHAdeMOと200V対応で、とにかく航続距離重視なら、WLTCモードで520kmという250に軍配が上がるが、FRめいた柔らかな加速フィールや、雨の日でも高速道路を走ることが多いとか雪の路面を必ず走るという使い方なら、350に軍配が上がるだろう。
それにしても試乗して読み解くほどに、GLBがICEとして備えていた安定感から、パワートレインやインフォテイメントの一部を換骨奪胎して、EQBはEVへの移行を促しているように見える。映画『ワンピース フィルム レッド』とコラボしているEQBだが、むしろ『サザエさん』ライクなコンサバ一家も違和感なく乗り換えられる7人乗りEVではないのか? 3列目はタラちゃんとワカメで決まりとして、カツオがどの席に乗り込むか少し気になるが、そう思わされた。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
南陽一浩|モータージャーナリスト
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