【VW Tロック 新型試乗】最大の弱点は『ゴルフ8』をも喰ってしまうソツの無さ!?…南陽一浩
シロッコの亡霊はどこへ?久々のVW的優等生
もうマイナーチェンジ !? することに面食らいもしたが、本国デビューは2017年、本邦上陸は2020年なので、確かに前期型の販売期間は短かった。売れ筋のSUVとして生命線たるディーゼルユニット、もっといえば「TDI」をクリーンディーゼルとして導入する準備に時間がかかったためでもある。
とはいえグローバル販売台数はすでに100万台を超え、日本市場でも累計7000台を超えるヒット作となった今や、フォルクスワーゲン(以下VW)『Tロック(T-Roc)』の、当初からディーゼルを前面に押し出してガソリンTSIを後から追加するという戦略は、報われたといえる。
クーペSUVライクながら実用性を予感させるシルエットと、スマホ世代に好まれそうなクリーンかつ賢明なデザイン、そこにディーゼルゆえの走行距離に対する経済性が加わって、コンパクトSUVの優等生的ポジションに収まったのだ。
この基本キャラクターと、ほどよく都会的でほどよく元気よさそうなアピアランスは、マイチェンした後期モデルにも共通する。バンパー形状の変更により全長は4250mmと+10mmだけ伸びたが、全幅1825mmと全高1590mmは変わらず。ちなみに今回のマイチェンでは「R」、つまりハイパフォーマンス・モデルも初導入され、こちらだけ1570mmと-20mmほど低いプロファイルをもつ。400Nm・300psのガソリンユニットで4モーションを備えての走りについては、後述する。
とまぁ、端的にまずいってしまうが、Tロックはマイチェンを通じて、車型は違うがラインナップ・セグメントや顧客販売ロジック、そしてネーミング上の祖型にあたる『シロッコ』の亡霊から、ついに解き放たれた。アスリート・マッチョたらんというアジリティ重視の動的質感ではなく、クーペ風のパーソナリティは巧みに保持しつつ、SUVクロスオーバーとして無理のない自己肯定ぶりで、『ゴルフ8』よりキャラ立ちしてしまったといえる。TロックRにパフォーマンス担当を任せることで、久々に全方位的なVW的優等生が誕生した感すらある。
よりインパクトある顔つきになった
顔つきの雰囲気はずいぶんと変わった。LEDクロスバーが左右ヘッドライトを繋いで、左右エアレットを囲うホームベース型のLEDも少し大型化、さらにクローム・マットのバンパーガード風アクセントやアングルカバーが採用され、端正な印象の強かった前期型よりインパクトを残すマスクになった。なのに煩雑に見えないのは、フォグランプを省いてオールウェザーライト化し、エントリーグレード以外では運転状況に応じて配光パターンを最適化するLEDマトリックスライトを備えたがゆえ。
またTロックRでは、グリルからの上半分はほぼノーマルモデルとRバッジ以外は共通だが、左右インレットは大きく穴が穿たれ、艶アリブラックのバーとグリルが際立つバンパーの意匠はまるで別モノ。ハイパフォーマンス・モデルとして静かに主張する。
無論、昨今のマイチェンの定石として、ADAS(先進運転システム)のアップデートは大きな眼目のひとつだ。全車速範囲で有効なアダプティブクルーズや運転支援システム「トラベルアシスト」が、すべてのグレードに標準装備されている。予防安全装備面でエントリーグレードから省かれたものは、コーナリングライトやダイナミックライトアシストぐらいのものだ。他にライト・シグネイチャー関連で目ぼしい進化としては、テールランプ側にいわゆる流れるウインカー、ダイナミックターンインジケーターが備わった。
「SUVルック」のコンフォート実用車である
もうひとつマイチェンの必須メニューは、内装の静的質感の向上にあった。近年はスウェーデンのボルボやフランスのDSあるいはプジョーらが、プレミアム・メーカーを脅かすほどインテリアで好評を得ていただけに、急務だったといえる。確かにダッシュボードのような目に触れやすいところ、あるいはドア内張りの肘が触れやすい辺りに、柔らか素材とステッチラインが入った。試乗車の「TDIスタイル」にはレザーシート・パッケージが奢られ、前期型より殺伐とした雰囲気はかなり抑えられたが、のぺっとしたグレートーンの素材感が画一的であることは否めない。
せめてダッシュ内枠やシフトコンソール左右といった加飾パネルが、汎用シルバーではなくツートンのボディ(試乗車の場合はラヴェンナブルー)と同色であったら、かなり華やぐはずだが。そう思っていたら、次に試乗したR(外装はラピスブルー)の内装には、ボディ同色でマットなパネルが用いられていたので、内外装の統一感によるインテリアの一層の素敵化は、ハイエンド・ディティールにとどまるということだ。
とはいえグレー基調のインテリアは、9.2インチに拡大され、タブレットのように突き出たタッチスクリーンモニターを際立たせる。前期型の、ダッシュとツライチに嵌め込まれたような意匠よりも、ずっと見やすく手を伸ばしやすくなった。オプションとなる純正インフォテイメントシステム「ディスカバープロ」の使い勝手に深入りはしないが、さらにその下、ピアノブラック基調で、指先のタッチ&スライドによるエアコンのコントロールパネルが、明らかにゴルフ8らより敏感になって操作性が向上した。例えば設定温度を変えようと、指先でなぞっていたら静電気によるコンタクト感知が途切れて設定が変えられず…といったことが起きにくくなった。エアコンのような生理的レベルの操作がスムーズに行えるようになったことは、素直に歓迎したい。
全長4.2m強でありながら、じつは荷室容量では『Tクロス』にわずかに譲るTロックだが、エントリーグレード以外はパワーテールゲート仕様である点で、荷物を出し入れする際の快適性は申し分ない。むしろワゴンやハッチバック以上に、開けた時にテールゲートが上方にハネてしまう分、ボタンひとつで操作できるたやすさは、このクラスでは貴重なのだ。逆に、ヒルディセントアシスト機能がR以外のFFモデルなら潔く省かれている辺りに、オフロード性能ではなく「SUVルック」のコンフォート実用車であることに重きがある、そんなTロックのキャラクターが透けて見える。
大らかな一方でしっとり感もあるディーゼルの「TDI」
パワートレインは3種類。ディーゼルTDIとガソリンTSIという2本柱は先代と変わらず、その上位をRが占める三角フォーメーションとなった。今回試乗したTDIこと2リットルディーゼルターボは、トルクが340Nm/1750~3000rpmで出力が150ps/3500~4000rpm。ゴルフ8が積む2リットルTDIと出力こそ横並びだがトルクは20Nmほど控えめだ。車重は1460kgのTロックの方がわずかに軽い。でも果たしてゼロ発進からの加速感では、軽快だとかトルクフルという実感はなく、かといってもっさりともしていない。
だが50km/hから上の速度域、現実の路上では合流や追い越しといった場面で俄然、TロックのTDIは力強く頼もしい中間加速フィールを見せる。微低速域ではなるべくCO2を吐かせないことに身体を張っているような7速DSGの制御が、この辺りから少しクロースして謳い出すような。いかにもアウトバーンやドイツの郊外路(大体100km/h制限)で求められる領域の、使い勝手よさといえる。
この伸びのいい加速&パワーフィールに加えて、ステアリングや乗り心地の面でも、新しいTロックは随分とこなれていた。前期型にあった、サスのストロークはあってもフラット感が足りなくて、やや上下に揺すられる印象は、かなり抑えられた。ステアリングを切った時の操舵角や手応えに対する反応も、かなりニュートラルで忠実だ。無論、ピッチングの少なさやコースティングに入ってからの滑らかさといった点では、ゴルフ8に一歩譲るものの、速度域や路面を問わず、乗り心地の快適さが持続する。
TDIより200万円高!な「TロックR」ならではの世界観
TロックRについては、TDIスタイルと車両価格にして200万円近い開きがあり、ボディ同色の加飾パネルによるインテリアの世界観や完成度、AWDである以前にチョイ乗り程度でも伝わってくる動的質感において、頭ひとつ以上抜きんでていた。そもそももっとも長く触れるであろう、ステアリングホイール上のR専用マルチフォンクションコントロールは、まるでポルシェのような短いストロークのクリック操作感で、ステアリングの握りにはディンプルがある。さらにシートにもカーボン目地の型押しが施され、素材加工の凝らし方でノーマル仕様とは大きな差がある。
これら素材や質感の造り込みほどに、走りについてTDIスタイルが物足りない訳ではない。だがその美点が、鷹揚ながら調律の効いたドライバビリティにあるとすれば、Rの方はエンジンフィールやシフトマナー、足まわりの懐深さやステアリングのしっとり感まで、ヴェルヴェット・フィールの滑らかさをくまなく感じさせてくれる。
アクセル踏み込みに対して加速は軽快だが力強く、キックダウンから駆動力の伝わり方、さらに加速に移る姿勢まで、唐突なところが一切ない。アダプティブシャシーコントロール上で、「コンフォート」や「レース」といったモードも試してみたが、これ見よがしにソフトやハードにステアリングフィールが変化するでなく、あくまでドライバーの感覚に沿ってくれる程度の「味変」に留まる辺りも、シャシー・セッティングの骨太さといえ、逆に好感がもてた。ブレーキのしっとりした感触も、切り込んでから少ないロールで踏ん張って舵が効きだすまでの過程にも、柔らかだがドイツ車らしい精密感がある。
最大の弱点は『ゴルフ8』をも喰ってしまうソツの無さ!?
同じセグメントの競合モデルといえるのはプジョー『3008』辺りだろうが、ドイツ車とラテン車で最初から顧客の系統が異なるのであれば、マイチェンで新しくなったTロック最大の弱点は、ゴルフ8をも喰ってしまいそうなことだろう。ハッチバックと比べた時に積極的に選んでみたくなるSUVクロスオーバーとして、前期型はアピール力に長けていたが、後期型はソツの無さまで身に着けているのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。
もうマイナーチェンジ !? することに面食らいもしたが、本国デビューは2017年、本邦上陸は2020年なので、確かに前期型の販売期間は短かった。売れ筋のSUVとして生命線たるディーゼルユニット、もっといえば「TDI」をクリーンディーゼルとして導入する準備に時間がかかったためでもある。
とはいえグローバル販売台数はすでに100万台を超え、日本市場でも累計7000台を超えるヒット作となった今や、フォルクスワーゲン(以下VW)『Tロック(T-Roc)』の、当初からディーゼルを前面に押し出してガソリンTSIを後から追加するという戦略は、報われたといえる。
クーペSUVライクながら実用性を予感させるシルエットと、スマホ世代に好まれそうなクリーンかつ賢明なデザイン、そこにディーゼルゆえの走行距離に対する経済性が加わって、コンパクトSUVの優等生的ポジションに収まったのだ。
この基本キャラクターと、ほどよく都会的でほどよく元気よさそうなアピアランスは、マイチェンした後期モデルにも共通する。バンパー形状の変更により全長は4250mmと+10mmだけ伸びたが、全幅1825mmと全高1590mmは変わらず。ちなみに今回のマイチェンでは「R」、つまりハイパフォーマンス・モデルも初導入され、こちらだけ1570mmと-20mmほど低いプロファイルをもつ。400Nm・300psのガソリンユニットで4モーションを備えての走りについては、後述する。
とまぁ、端的にまずいってしまうが、Tロックはマイチェンを通じて、車型は違うがラインナップ・セグメントや顧客販売ロジック、そしてネーミング上の祖型にあたる『シロッコ』の亡霊から、ついに解き放たれた。アスリート・マッチョたらんというアジリティ重視の動的質感ではなく、クーペ風のパーソナリティは巧みに保持しつつ、SUVクロスオーバーとして無理のない自己肯定ぶりで、『ゴルフ8』よりキャラ立ちしてしまったといえる。TロックRにパフォーマンス担当を任せることで、久々に全方位的なVW的優等生が誕生した感すらある。
よりインパクトある顔つきになった
顔つきの雰囲気はずいぶんと変わった。LEDクロスバーが左右ヘッドライトを繋いで、左右エアレットを囲うホームベース型のLEDも少し大型化、さらにクローム・マットのバンパーガード風アクセントやアングルカバーが採用され、端正な印象の強かった前期型よりインパクトを残すマスクになった。なのに煩雑に見えないのは、フォグランプを省いてオールウェザーライト化し、エントリーグレード以外では運転状況に応じて配光パターンを最適化するLEDマトリックスライトを備えたがゆえ。
またTロックRでは、グリルからの上半分はほぼノーマルモデルとRバッジ以外は共通だが、左右インレットは大きく穴が穿たれ、艶アリブラックのバーとグリルが際立つバンパーの意匠はまるで別モノ。ハイパフォーマンス・モデルとして静かに主張する。
無論、昨今のマイチェンの定石として、ADAS(先進運転システム)のアップデートは大きな眼目のひとつだ。全車速範囲で有効なアダプティブクルーズや運転支援システム「トラベルアシスト」が、すべてのグレードに標準装備されている。予防安全装備面でエントリーグレードから省かれたものは、コーナリングライトやダイナミックライトアシストぐらいのものだ。他にライト・シグネイチャー関連で目ぼしい進化としては、テールランプ側にいわゆる流れるウインカー、ダイナミックターンインジケーターが備わった。
「SUVルック」のコンフォート実用車である
もうひとつマイチェンの必須メニューは、内装の静的質感の向上にあった。近年はスウェーデンのボルボやフランスのDSあるいはプジョーらが、プレミアム・メーカーを脅かすほどインテリアで好評を得ていただけに、急務だったといえる。確かにダッシュボードのような目に触れやすいところ、あるいはドア内張りの肘が触れやすい辺りに、柔らか素材とステッチラインが入った。試乗車の「TDIスタイル」にはレザーシート・パッケージが奢られ、前期型より殺伐とした雰囲気はかなり抑えられたが、のぺっとしたグレートーンの素材感が画一的であることは否めない。
せめてダッシュ内枠やシフトコンソール左右といった加飾パネルが、汎用シルバーではなくツートンのボディ(試乗車の場合はラヴェンナブルー)と同色であったら、かなり華やぐはずだが。そう思っていたら、次に試乗したR(外装はラピスブルー)の内装には、ボディ同色でマットなパネルが用いられていたので、内外装の統一感によるインテリアの一層の素敵化は、ハイエンド・ディティールにとどまるということだ。
とはいえグレー基調のインテリアは、9.2インチに拡大され、タブレットのように突き出たタッチスクリーンモニターを際立たせる。前期型の、ダッシュとツライチに嵌め込まれたような意匠よりも、ずっと見やすく手を伸ばしやすくなった。オプションとなる純正インフォテイメントシステム「ディスカバープロ」の使い勝手に深入りはしないが、さらにその下、ピアノブラック基調で、指先のタッチ&スライドによるエアコンのコントロールパネルが、明らかにゴルフ8らより敏感になって操作性が向上した。例えば設定温度を変えようと、指先でなぞっていたら静電気によるコンタクト感知が途切れて設定が変えられず…といったことが起きにくくなった。エアコンのような生理的レベルの操作がスムーズに行えるようになったことは、素直に歓迎したい。
全長4.2m強でありながら、じつは荷室容量では『Tクロス』にわずかに譲るTロックだが、エントリーグレード以外はパワーテールゲート仕様である点で、荷物を出し入れする際の快適性は申し分ない。むしろワゴンやハッチバック以上に、開けた時にテールゲートが上方にハネてしまう分、ボタンひとつで操作できるたやすさは、このクラスでは貴重なのだ。逆に、ヒルディセントアシスト機能がR以外のFFモデルなら潔く省かれている辺りに、オフロード性能ではなく「SUVルック」のコンフォート実用車であることに重きがある、そんなTロックのキャラクターが透けて見える。
大らかな一方でしっとり感もあるディーゼルの「TDI」
パワートレインは3種類。ディーゼルTDIとガソリンTSIという2本柱は先代と変わらず、その上位をRが占める三角フォーメーションとなった。今回試乗したTDIこと2リットルディーゼルターボは、トルクが340Nm/1750~3000rpmで出力が150ps/3500~4000rpm。ゴルフ8が積む2リットルTDIと出力こそ横並びだがトルクは20Nmほど控えめだ。車重は1460kgのTロックの方がわずかに軽い。でも果たしてゼロ発進からの加速感では、軽快だとかトルクフルという実感はなく、かといってもっさりともしていない。
だが50km/hから上の速度域、現実の路上では合流や追い越しといった場面で俄然、TロックのTDIは力強く頼もしい中間加速フィールを見せる。微低速域ではなるべくCO2を吐かせないことに身体を張っているような7速DSGの制御が、この辺りから少しクロースして謳い出すような。いかにもアウトバーンやドイツの郊外路(大体100km/h制限)で求められる領域の、使い勝手よさといえる。
この伸びのいい加速&パワーフィールに加えて、ステアリングや乗り心地の面でも、新しいTロックは随分とこなれていた。前期型にあった、サスのストロークはあってもフラット感が足りなくて、やや上下に揺すられる印象は、かなり抑えられた。ステアリングを切った時の操舵角や手応えに対する反応も、かなりニュートラルで忠実だ。無論、ピッチングの少なさやコースティングに入ってからの滑らかさといった点では、ゴルフ8に一歩譲るものの、速度域や路面を問わず、乗り心地の快適さが持続する。
TDIより200万円高!な「TロックR」ならではの世界観
TロックRについては、TDIスタイルと車両価格にして200万円近い開きがあり、ボディ同色の加飾パネルによるインテリアの世界観や完成度、AWDである以前にチョイ乗り程度でも伝わってくる動的質感において、頭ひとつ以上抜きんでていた。そもそももっとも長く触れるであろう、ステアリングホイール上のR専用マルチフォンクションコントロールは、まるでポルシェのような短いストロークのクリック操作感で、ステアリングの握りにはディンプルがある。さらにシートにもカーボン目地の型押しが施され、素材加工の凝らし方でノーマル仕様とは大きな差がある。
これら素材や質感の造り込みほどに、走りについてTDIスタイルが物足りない訳ではない。だがその美点が、鷹揚ながら調律の効いたドライバビリティにあるとすれば、Rの方はエンジンフィールやシフトマナー、足まわりの懐深さやステアリングのしっとり感まで、ヴェルヴェット・フィールの滑らかさをくまなく感じさせてくれる。
アクセル踏み込みに対して加速は軽快だが力強く、キックダウンから駆動力の伝わり方、さらに加速に移る姿勢まで、唐突なところが一切ない。アダプティブシャシーコントロール上で、「コンフォート」や「レース」といったモードも試してみたが、これ見よがしにソフトやハードにステアリングフィールが変化するでなく、あくまでドライバーの感覚に沿ってくれる程度の「味変」に留まる辺りも、シャシー・セッティングの骨太さといえ、逆に好感がもてた。ブレーキのしっとりした感触も、切り込んでから少ないロールで踏ん張って舵が効きだすまでの過程にも、柔らかだがドイツ車らしい精密感がある。
最大の弱点は『ゴルフ8』をも喰ってしまうソツの無さ!?
同じセグメントの競合モデルといえるのはプジョー『3008』辺りだろうが、ドイツ車とラテン車で最初から顧客の系統が異なるのであれば、マイチェンで新しくなったTロック最大の弱点は、ゴルフ8をも喰ってしまいそうなことだろう。ハッチバックと比べた時に積極的に選んでみたくなるSUVクロスオーバーとして、前期型はアピール力に長けていたが、後期型はソツの無さまで身に着けているのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
南陽一浩|モータージャーナリスト
1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。
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