【アウディ Q4 e-tron 新型試乗】小気味よいスタイルと、スッキリ自然体な走り…島崎七生人
◆小気味よいスタイルがいい
そこ?と言われそうだが、小気味よいスタイルがいい。EV専用の新しいMEB(モジュラーエレクトリックドライブマトリックス)がベースの、キャビンが大きくノーズが短く、大径タイヤを組み合わせたクーペSUVフォルムのスポーツバックは実に利発的に見える。
スタイルの話をもう少し続けると、サイドウインドゥのキレイなアーチラインも本家本元といった感じ。あくまで個人的見解だが、これでフロント回りのディテールが、シングルフレーム以前の頃のシンプルなデザインに戻ればいいのに(筆者はB3の“アウディ80”が現役の頃、スタイルに一目惚れして自分で乗っていた)と思う。テールエンドはなかなかスマートだ。
いずれにしても、コンパクトSUVセグメントではアウディ初となる電気自動車『Q4 e-tron』は、同じ“e-tron”の先行2モデルに対して、既存モデルでいえば『Q3』と『Q5』の中間という手頃なボディサイズで、日常使いでも乗りやすそうだ。
◆あって欲しい場所にあるべきものがある
インテリアは適度に新時代感のあるトーンでまとめられた。フローティングセンターコンソールにはスイッチ式のシフトセレクターが備わり、空調関係も物理スイッチで残されているなど、あって欲しい場所にあるべきものがあるので、自分に分からないことがあるとブツブツ独り言を言い出す昭和な頑固オジサン(=筆者)でも戸惑う心配はない。
始動のロジックは現代的に合理的で、ドライバーが運転席に座り(シートが体重を検出しているのだそう)ブレーキペダルを踏めば、あとはシフトスイッチで“D”を選ぶことで発進の準備が整う。
走らせた印象は、当然ながらスムース。EVらしく回生の度合いがパドルで選べ(0から3の4段階)、ほかにシフトスイッチの“B”レンジも使え、切り替えると加減速の強さが体感上変わる。カタログ数値で車重は2100kgあり重量級であるのは確かだが、そこはモーターが発揮してくれる最大310Nmのトルク(パワーは150kW)で、当然ながら何の苦もなくクルマを前に出す。
◆EVというより自然体のICE車のよう
物理的なメカ音を発するICE車とはそこは別世界であり、試しに我が家の飼い犬、柴犬のシュン(月齢10か月・オス)を後席に乗せてみたが、やはり耳障りなノイズがないせいか、フフンと澄まし顔で快適そうに外の景色を眺めながら乗車していた。
天と地がフラットではないステアリングホイールならなおいいが、アウディでは希少な後輪駆動車ということもあり、クルマの振るまいはスパッと適度にスポーティだ。試乗車は19インチタイヤだったが、クルマの挙動に無駄は感じない。パワーフィールも含めて、EVというより自然体のICE(内燃機関)車のように感じるのは、(国産EVに対して)欧州系のEVに共通する。
なおVWの『ID.4』とは基本のプラットフォームは共通ながら、アクセル、ブレーキ、乗り味など、モノではなく主としてチューニングの部分が専用だそう。乗り較べると『ID.4』はVWらしくオットリとした味わいで、対してコチラは、言葉で表現すると、スッキリかつよりシャンとした感じ……とお伝えすればよいか。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
そこ?と言われそうだが、小気味よいスタイルがいい。EV専用の新しいMEB(モジュラーエレクトリックドライブマトリックス)がベースの、キャビンが大きくノーズが短く、大径タイヤを組み合わせたクーペSUVフォルムのスポーツバックは実に利発的に見える。
スタイルの話をもう少し続けると、サイドウインドゥのキレイなアーチラインも本家本元といった感じ。あくまで個人的見解だが、これでフロント回りのディテールが、シングルフレーム以前の頃のシンプルなデザインに戻ればいいのに(筆者はB3の“アウディ80”が現役の頃、スタイルに一目惚れして自分で乗っていた)と思う。テールエンドはなかなかスマートだ。
いずれにしても、コンパクトSUVセグメントではアウディ初となる電気自動車『Q4 e-tron』は、同じ“e-tron”の先行2モデルに対して、既存モデルでいえば『Q3』と『Q5』の中間という手頃なボディサイズで、日常使いでも乗りやすそうだ。
◆あって欲しい場所にあるべきものがある
インテリアは適度に新時代感のあるトーンでまとめられた。フローティングセンターコンソールにはスイッチ式のシフトセレクターが備わり、空調関係も物理スイッチで残されているなど、あって欲しい場所にあるべきものがあるので、自分に分からないことがあるとブツブツ独り言を言い出す昭和な頑固オジサン(=筆者)でも戸惑う心配はない。
始動のロジックは現代的に合理的で、ドライバーが運転席に座り(シートが体重を検出しているのだそう)ブレーキペダルを踏めば、あとはシフトスイッチで“D”を選ぶことで発進の準備が整う。
走らせた印象は、当然ながらスムース。EVらしく回生の度合いがパドルで選べ(0から3の4段階)、ほかにシフトスイッチの“B”レンジも使え、切り替えると加減速の強さが体感上変わる。カタログ数値で車重は2100kgあり重量級であるのは確かだが、そこはモーターが発揮してくれる最大310Nmのトルク(パワーは150kW)で、当然ながら何の苦もなくクルマを前に出す。
◆EVというより自然体のICE車のよう
物理的なメカ音を発するICE車とはそこは別世界であり、試しに我が家の飼い犬、柴犬のシュン(月齢10か月・オス)を後席に乗せてみたが、やはり耳障りなノイズがないせいか、フフンと澄まし顔で快適そうに外の景色を眺めながら乗車していた。
天と地がフラットではないステアリングホイールならなおいいが、アウディでは希少な後輪駆動車ということもあり、クルマの振るまいはスパッと適度にスポーティだ。試乗車は19インチタイヤだったが、クルマの挙動に無駄は感じない。パワーフィールも含めて、EVというより自然体のICE(内燃機関)車のように感じるのは、(国産EVに対して)欧州系のEVに共通する。
なおVWの『ID.4』とは基本のプラットフォームは共通ながら、アクセル、ブレーキ、乗り味など、モノではなく主としてチューニングの部分が専用だそう。乗り較べると『ID.4』はVWらしくオットリとした味わいで、対してコチラは、言葉で表現すると、スッキリかつよりシャンとした感じ……とお伝えすればよいか。
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