【BMW 2シリーズアクティブツアラー 新型試乗】ファミリー向けBMW、でも走りはその名の通り…中村孝仁
◆前輪駆動BMWの新世代
かつて、日本でBMW『3シリーズ』が大流行した当時、このクルマは六本木カローラという仇名が付けられていた。それほど人気を博したということである。
その大ヒットしたBMW 3シリーズは、E30というコードネームを持ったモデルで多くの日本人がこの時、スムーズな6気筒を積むBMWに大いなる憧れを持ったと思う。そしてBMW人気を日本で定着させたのがこのクルマだったと言って間違いないだろう。
以来時は流れ、今ではすっかり高級車としてのブランドを確立したBMWだが、同時に販売を量を増やすという大命題に対して3シリーズよりも安くて手の届きやすいBMWを作り始めた。それが『1シリーズ』であり『2シリーズ』と称するモデル群で、これらが登場するのは2000年代以降のことだ。
当初こそ最初に出た1シリーズでFR(後輪駆動)の駆動方式に拘りを見せていたが、2014年に誕生した『2シリーズアクティブツアラー』からBMWを名乗る初のFWD(前輪駆動)モデルが誕生し、その後1シリーズもFWD化され、俗にいう廉価版(決して安くはないのだが)のBMWは皆FWDになった。
そして初代のアクティブツアラーからバトンを引き継いだ2代目は、U06のコードネームを持つモデル。もちろんFWDであるわけで、プラットフォーム自体も初代と同じUKL2と呼ばれるプラットフォームが採用されている。というわけで本質的な走りについては大きな変容を見出せなかったのだが、インテリアは大変わりした。
◆曲面ディスプレイを新採用し、iDriveダイヤルが消えた
先代と違って、全く新しいナビなどを映し出すディスプレイとメーターを映し出すディスプレイが一体化された横長かつ弧を描いたカーブドディスプレイが採用されている。さらにBMWが使い始めて他メーカーが追従したダイヤル式のコントローラー、iDriveも今回姿を消した。
シート間に横たわるコンソールはシンプルなもので、スタータースイッチとその後ろにレバーというかトグルスイッチ風のシフトレバー。その後ろにはパーキングブレーキのボタンを装備。レバーの隣にはオーディオのボリューム調整と先端にハザードスイッチを備える程度で驚くことにシフトレバーからパーキングの“P”が消えた。シフトレバー後端のパーキングブレーキボタンを押すことで、自動的にギアのポジションもPに入るのだそうだ。
そして以前はiDriveが司っていたオーディオ、エアコン、それにナビのコントロールはすべて画面のタッチで行うようになっている。直感的に操作が行えるという点ではダイヤル式のiDriveよりも素早く行えるが、まあ慣れは必要だ。
ただ、すべてのBMWからダイヤル式のiDriveが消えたわけではなく、最新の電気自動車『i7』などではまだしっかりとダイヤル式iDriveが残っているから、この辺りのレイアウトなどはまだ過渡期の状況だと言ってよいと思う。
◆名前にも納得の「アクティブ」なハンドリングと走り
218dの2リットルディーゼルターボも先代から引き継がれた。B47D20というコードネームを持つエンジンである。広報車をプールする地下の駐車場でエンジンをかけた時はやはりうるさいなぁ…という印象が残った。ところがいざドライバーズシートに座り、地上に出る頃には最初のイメージとは大きく異なり、実に静粛性が高いという印象に変わった。後で気が付いたが、やはり外で聞くとそのサウンドはかなりノイジーだが中は至って静かなのである。
だいぶインシュレーターを盛ったのか、あるいはエンジンマウントなどを旨い事作ったのか定かではないが、とにかく室内騒音の小さいことと言ったら、ディーゼルとしては相当に静粛性という点で上位に来る。
一方でハンドリングもファミリーユースのモデルとしてはやはりかなりアクティブに走れるモデル。そこから名前が付いたのだと妙に納得してしまうレベルの運動性能を持つ。だから、ファミリーのためのBMWだという立ち位置は変わらないはずだが、一人で乗るときのオトーサンも大いに運転を楽しめるクルマの仕上がっていると思うわけである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
かつて、日本でBMW『3シリーズ』が大流行した当時、このクルマは六本木カローラという仇名が付けられていた。それほど人気を博したということである。
その大ヒットしたBMW 3シリーズは、E30というコードネームを持ったモデルで多くの日本人がこの時、スムーズな6気筒を積むBMWに大いなる憧れを持ったと思う。そしてBMW人気を日本で定着させたのがこのクルマだったと言って間違いないだろう。
以来時は流れ、今ではすっかり高級車としてのブランドを確立したBMWだが、同時に販売を量を増やすという大命題に対して3シリーズよりも安くて手の届きやすいBMWを作り始めた。それが『1シリーズ』であり『2シリーズ』と称するモデル群で、これらが登場するのは2000年代以降のことだ。
当初こそ最初に出た1シリーズでFR(後輪駆動)の駆動方式に拘りを見せていたが、2014年に誕生した『2シリーズアクティブツアラー』からBMWを名乗る初のFWD(前輪駆動)モデルが誕生し、その後1シリーズもFWD化され、俗にいう廉価版(決して安くはないのだが)のBMWは皆FWDになった。
そして初代のアクティブツアラーからバトンを引き継いだ2代目は、U06のコードネームを持つモデル。もちろんFWDであるわけで、プラットフォーム自体も初代と同じUKL2と呼ばれるプラットフォームが採用されている。というわけで本質的な走りについては大きな変容を見出せなかったのだが、インテリアは大変わりした。
◆曲面ディスプレイを新採用し、iDriveダイヤルが消えた
先代と違って、全く新しいナビなどを映し出すディスプレイとメーターを映し出すディスプレイが一体化された横長かつ弧を描いたカーブドディスプレイが採用されている。さらにBMWが使い始めて他メーカーが追従したダイヤル式のコントローラー、iDriveも今回姿を消した。
シート間に横たわるコンソールはシンプルなもので、スタータースイッチとその後ろにレバーというかトグルスイッチ風のシフトレバー。その後ろにはパーキングブレーキのボタンを装備。レバーの隣にはオーディオのボリューム調整と先端にハザードスイッチを備える程度で驚くことにシフトレバーからパーキングの“P”が消えた。シフトレバー後端のパーキングブレーキボタンを押すことで、自動的にギアのポジションもPに入るのだそうだ。
そして以前はiDriveが司っていたオーディオ、エアコン、それにナビのコントロールはすべて画面のタッチで行うようになっている。直感的に操作が行えるという点ではダイヤル式のiDriveよりも素早く行えるが、まあ慣れは必要だ。
ただ、すべてのBMWからダイヤル式のiDriveが消えたわけではなく、最新の電気自動車『i7』などではまだしっかりとダイヤル式iDriveが残っているから、この辺りのレイアウトなどはまだ過渡期の状況だと言ってよいと思う。
◆名前にも納得の「アクティブ」なハンドリングと走り
218dの2リットルディーゼルターボも先代から引き継がれた。B47D20というコードネームを持つエンジンである。広報車をプールする地下の駐車場でエンジンをかけた時はやはりうるさいなぁ…という印象が残った。ところがいざドライバーズシートに座り、地上に出る頃には最初のイメージとは大きく異なり、実に静粛性が高いという印象に変わった。後で気が付いたが、やはり外で聞くとそのサウンドはかなりノイジーだが中は至って静かなのである。
だいぶインシュレーターを盛ったのか、あるいはエンジンマウントなどを旨い事作ったのか定かではないが、とにかく室内騒音の小さいことと言ったら、ディーゼルとしては相当に静粛性という点で上位に来る。
一方でハンドリングもファミリーユースのモデルとしてはやはりかなりアクティブに走れるモデル。そこから名前が付いたのだと妙に納得してしまうレベルの運動性能を持つ。だから、ファミリーのためのBMWだという立ち位置は変わらないはずだが、一人で乗るときのオトーサンも大いに運転を楽しめるクルマの仕上がっていると思うわけである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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