【フェラーリ プロサングエ 海外試乗】フェラーリにマッサージ機能がついた衝撃…九島辰也
「スーパーカーとはナニかと制限されるもの」、という概念がある。制限される主な内容は快適性。走りに重点を置いているのだから当然といえば当然だ。スパルタンな走りと快適性は相容れないという考えが根底にある。
とはいえ、最近のスーパーカーはそうとも言えない。ドライブモードをデフォルトにしておけば乗り心地は悪くないし、エアコンやオーディオ、シートヒーター云々といった快適装備は充実している。ナビの設定も簡単だ。
今回北イタリアでテストドライブしたフェラーリの新型車『プロサングエ』はそんな昨今のスーパーカーの上をいくモデルだ。フェラーリ初の背の高いクルマは走りともども快適性までドライバーを満足させる。まさにスーパーカーの概念を覆すモデルと言っていいだろう。
◆フェラーリにマッサージ機能がつく時代
ポイントは2つある。乗り心地の良さと装備の充実度の高さだ。具体的にはドライブモードを切り替えるマネッティーノの設定が細かくなった。“ICE”、“WET”、“コンフォート”、“スポーツ”そして“ESCオフ”といった項目があるが、それぞれに段階がある。項目によって異なるが、ハード、ミディアム、ソフトが選べるのだ。これで助手席からの乗り心地に関するクレームは発生しないはず。一人の時と他人を乗せている時とで2つの顔を演じられる。
そうそう、プロサングエには大人2名が普通に乗れるリアシートが用意されるのを忘れてはならない。前後で乗り心地が大きく変わるのは言わずもがな。その面でもマネッティーノが活躍しそうだ。
充実した快適装備ではシートにマッサージ機能がついたのを皆さんに伝えたい。運転席と助手席に設置され、マッサージの強弱はもちろん、内蔵されるローラーの動き方も選ぶことができる。まさに象徴的な快適装備である。最近は『レンジローバー』にもマッサージ機能が搭載されるから、このクラスのひとつのトレンドになっているのかもしれない。
◆レーシングカーレベルのコーナリングを味わえる
それじゃプロサングエの走りはどうなのかといえば、そこはフェラーリらしさが満載される。6.5リットルV12エンジンはスタートから終始ドライバーの期待を裏切らない。加速、サウンド、絶対的なパワーに不服を唱える者はいないはずだ。『812シリーズ』の同世代ユニットをこのクルマ向けにチューニングした走りは迫力があり、気持ちがいい。レッドゾーンは8000回転からで、目盛りは1万回転までふってある。
それに前後41:59に配分された前後のバランスがレーシングカーレベルのコーナリングを見せてくれる。ステアリングをスッと切り込んだ瞬間に向きを変えるボディは感動モノだ。リアタイヤをステアさせることで回頭性が上がったのは確かだが、背が高くなったことでのネガティブ要素は一切感じない。このままサーキットへ持ち込んでも楽しい走りが待っているのを期待させる。
ユニークだったのは雪道でのテストドライブだ。走行は“ICE”、“WET”、“コンフォート”を試したが、どのポジションでも操作性はよく、アクセルをしっかりコントロールしてあげればクルマが足元をすくわれることはない。コンピューターがしっかり各部を統合制御し、クルマの姿勢を安定させてくれる。かつてフェラーリ『FF(フォー)』で同じように雪道を走らせたことがあるが、その時よりも俄然安定していた。よってその時よりもアクセルを自然に踏み込めた。
◆SUV感がない“背の高い”フェラーリ
ところでフェラーリはこのクルマをSUVとカテゴライズしていない。個人的にも“背の高いクルマ”と表現するが、だからと言って彼らを忖度しているわけではない。実際に乗るとSUV感がないのが正直なところだ。プレセンテーションで言っていたように、これまでリリースしてきたフェラーリFFや『GTC4 ルッソ』の延長線上にあるといった意味合いを強く感じる。そう考えればV12エンジン搭載も納得できるであろう。
まさに唯我独尊のカーブランドである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
とはいえ、最近のスーパーカーはそうとも言えない。ドライブモードをデフォルトにしておけば乗り心地は悪くないし、エアコンやオーディオ、シートヒーター云々といった快適装備は充実している。ナビの設定も簡単だ。
今回北イタリアでテストドライブしたフェラーリの新型車『プロサングエ』はそんな昨今のスーパーカーの上をいくモデルだ。フェラーリ初の背の高いクルマは走りともども快適性までドライバーを満足させる。まさにスーパーカーの概念を覆すモデルと言っていいだろう。
◆フェラーリにマッサージ機能がつく時代
ポイントは2つある。乗り心地の良さと装備の充実度の高さだ。具体的にはドライブモードを切り替えるマネッティーノの設定が細かくなった。“ICE”、“WET”、“コンフォート”、“スポーツ”そして“ESCオフ”といった項目があるが、それぞれに段階がある。項目によって異なるが、ハード、ミディアム、ソフトが選べるのだ。これで助手席からの乗り心地に関するクレームは発生しないはず。一人の時と他人を乗せている時とで2つの顔を演じられる。
そうそう、プロサングエには大人2名が普通に乗れるリアシートが用意されるのを忘れてはならない。前後で乗り心地が大きく変わるのは言わずもがな。その面でもマネッティーノが活躍しそうだ。
充実した快適装備ではシートにマッサージ機能がついたのを皆さんに伝えたい。運転席と助手席に設置され、マッサージの強弱はもちろん、内蔵されるローラーの動き方も選ぶことができる。まさに象徴的な快適装備である。最近は『レンジローバー』にもマッサージ機能が搭載されるから、このクラスのひとつのトレンドになっているのかもしれない。
◆レーシングカーレベルのコーナリングを味わえる
それじゃプロサングエの走りはどうなのかといえば、そこはフェラーリらしさが満載される。6.5リットルV12エンジンはスタートから終始ドライバーの期待を裏切らない。加速、サウンド、絶対的なパワーに不服を唱える者はいないはずだ。『812シリーズ』の同世代ユニットをこのクルマ向けにチューニングした走りは迫力があり、気持ちがいい。レッドゾーンは8000回転からで、目盛りは1万回転までふってある。
それに前後41:59に配分された前後のバランスがレーシングカーレベルのコーナリングを見せてくれる。ステアリングをスッと切り込んだ瞬間に向きを変えるボディは感動モノだ。リアタイヤをステアさせることで回頭性が上がったのは確かだが、背が高くなったことでのネガティブ要素は一切感じない。このままサーキットへ持ち込んでも楽しい走りが待っているのを期待させる。
ユニークだったのは雪道でのテストドライブだ。走行は“ICE”、“WET”、“コンフォート”を試したが、どのポジションでも操作性はよく、アクセルをしっかりコントロールしてあげればクルマが足元をすくわれることはない。コンピューターがしっかり各部を統合制御し、クルマの姿勢を安定させてくれる。かつてフェラーリ『FF(フォー)』で同じように雪道を走らせたことがあるが、その時よりも俄然安定していた。よってその時よりもアクセルを自然に踏み込めた。
◆SUV感がない“背の高い”フェラーリ
ところでフェラーリはこのクルマをSUVとカテゴライズしていない。個人的にも“背の高いクルマ”と表現するが、だからと言って彼らを忖度しているわけではない。実際に乗るとSUV感がないのが正直なところだ。プレセンテーションで言っていたように、これまでリリースしてきたフェラーリFFや『GTC4 ルッソ』の延長線上にあるといった意味合いを強く感じる。そう考えればV12エンジン搭載も納得できるであろう。
まさに唯我独尊のカーブランドである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの“サーフ&ターフ”。東京・自由が丘出身。
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