【プジョー 408 新型試乗】407の後継車ではない!コンセプトも走りもニッチ、だけど新しい…諸星陽一
プジョーの『408』が登場。1.2リットルターボのピュアエンジンモデルと1.6リットルターボ+モーターのPHEV、2種のパワーユニットが与えられた。
◆まったく新しいクロスオーバーモデル
408は数字の組み合わせを見れば『407』の後継車ということになるが、プレゼンテーションではこの法則を否定。408はまったく新しいモデルとしているとのことだ。その理由のひとつは従来の400番台シリーズはセダンを基本として、モデルを派生しているのに対し、この408は5ドアのハッチバックボディしか存在しないということ。
つまりセダン需要が減ってきているということなのだろう。需要の中心はセダンでもなければ、ステーションワゴンでもなく、SUVへと移ってきているのは明白で、世界中のあらゆるメーカーがSUVを製造する状況。そうしたなかで最近の動きとしては、クロスオーバーSUVというSUVでありながらセダンより、またはハッチバックより、というようなクルマも増えてきている。とくに欧州にはアウトバーンに代表されるようなペースの速い高速道路があるため、そうした高速道路を安全で快適に走るための性能も求められるのだ。
408はまさにそうしたクロスオーバーモデル。ステランティスのプレゼンでは、SUVとセダンのクロスオーバーではなく、ファストバックとクロスオーバーSUVとの融合というのだから、さらに細分化された分野でニッチな市場となるが、だからといってそれが小さな市場かといえばそんなことはなく、いつビッグバンを起こすかわからない市場だというのが今の世界状況なのもまた事実である。
前述のように、新しい408はピュアエンジンモデルとPHEVのみが設定されている。欧州車であればディーゼルモデルもありそうなものだが、ディーゼルモデルは設定されないとのこと。また、完全電動のEVモデルである『e-408』も登場予定とのことで、時代のシフトも感じるところだ。
ボディサイズは全長4700×全幅1850×全高1500mmで、日本の多くの立体駐車場でも入庫可能な車幅となっている。特徴的なのは最低地上高で、ファストバックスタイルのハッチバックとしては高めの170mmを確保。クロスオーバーSUV的な要素も与えられていることがわかる。
◆1.2リットルターボ、PHEVともに好フィール
今回の試乗では両タイプに乗ることが叶ったが、PHEVは自分の試乗前の方が電気をすべて使ってしまったため、充電されていない状態での試乗となった。
1.2リットルターボエンジンは3気筒だが、3気筒の悪い部分を一切感じることはなかった。エンジンが発生する振動などは感じずに加速していく。組み合わされるミッションは8速と多段なので、変速ショックはなくスムーズに加速する。EVには走行時がクリーンであるという利点があるが、そのことを考えなければこのユニットの高性能さは素晴らしいものだといえる。排気量が1.2リットルということはもとより、3気筒というレイアウトでこれだけできるのは驚異的なことだ。
一方のPHEVは、こちらも同様に好フィールのパワーユニット。PHEVながらミッションは8速のATを組み合わせている。前述したように電池無し状態での試乗だったが、EV走行はしないとはいえ、加速時にはモーターアシストが効いているはず(エネルギーフロー表示が見つからなかったため、確認はできていない)で、加速感は十分に力強く、アクセルを緩めた際の回生ブレーキもしっかりと効いている感触。一般的なエンジンブレーキよりも高い減速感を味わうことができた。この減速感はエレクトリック、ハイブリッド、スポーツと3つ用意されるモードセレクトのなかでスポーツがもっとも強い印象だった。
◆ビシッと路面をつかむ感覚も気持ちいい
乗り心地のよさと静粛性の高さも408の大きな魅力。今回は運転席だけでなく、後席にも試乗できた。運転席での静粛性の高さはフラッグシップの508にも届くほどのもの。また、ダンピングに関しても初期の当たりが柔らかくその後はシームレスにしっかり感を増していくもので、快適性と安心感を兼ねそなえている。後席も快適だが、ハッチバックのため、路面が荒れている状況のときはタイヤからのノイズが目立つ場面もあった。
タイトなコーナーでキビキビしたコーナリングを披露するだけでなく、大きな回転半径の回り込んだコーナーでビシッと路面をつかむ感覚も気持ちいいものだ。小径ステアリングを操作しながら、傾斜したAピラー越しに見える風景はスポーティでありながら、これが最低地上高170mmを持つクルマなのだ、と考えるとなかなかの感心させられる。
◆補助金と税の減免で魅力の増すPHEV
価格はピュアエンジンモデルのGTが499万円。PHEVのGTハイブリッドが629万円で、パワーユニットによる価格差は130万円。PHEVの場合、国の補助金が45万円、東京都なら都の補助金が40万円の計85万円が補助される。自動車重量税は100%減税、環境性能割は非課税、翌年度の自動車税は75%減でさらに約23万円の優遇。ピュアエンジンモデルも若干の減税はあるが、補助金と税の減免で100万円を超えるとなるとPHEVの魅力もグッと増してくる。
PHEVには急速充電機構はなく、普通充電のみとなるため、自宅や職場などに普通充電器がないとPHEVの恩恵を受けづらいが、搭載するバッテリーの容量が12.4kWと小さく、普段買い物に行くショッピングセンターなどに普通充電器があればそこでの充電も有効。6kW普通充電器ならば2時半程度でゼロから満充電が可能。満充電時のEV走行可能距離は66km(WLTC)と、普段の生活では十分な距離といえる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
◆まったく新しいクロスオーバーモデル
408は数字の組み合わせを見れば『407』の後継車ということになるが、プレゼンテーションではこの法則を否定。408はまったく新しいモデルとしているとのことだ。その理由のひとつは従来の400番台シリーズはセダンを基本として、モデルを派生しているのに対し、この408は5ドアのハッチバックボディしか存在しないということ。
つまりセダン需要が減ってきているということなのだろう。需要の中心はセダンでもなければ、ステーションワゴンでもなく、SUVへと移ってきているのは明白で、世界中のあらゆるメーカーがSUVを製造する状況。そうしたなかで最近の動きとしては、クロスオーバーSUVというSUVでありながらセダンより、またはハッチバックより、というようなクルマも増えてきている。とくに欧州にはアウトバーンに代表されるようなペースの速い高速道路があるため、そうした高速道路を安全で快適に走るための性能も求められるのだ。
408はまさにそうしたクロスオーバーモデル。ステランティスのプレゼンでは、SUVとセダンのクロスオーバーではなく、ファストバックとクロスオーバーSUVとの融合というのだから、さらに細分化された分野でニッチな市場となるが、だからといってそれが小さな市場かといえばそんなことはなく、いつビッグバンを起こすかわからない市場だというのが今の世界状況なのもまた事実である。
前述のように、新しい408はピュアエンジンモデルとPHEVのみが設定されている。欧州車であればディーゼルモデルもありそうなものだが、ディーゼルモデルは設定されないとのこと。また、完全電動のEVモデルである『e-408』も登場予定とのことで、時代のシフトも感じるところだ。
ボディサイズは全長4700×全幅1850×全高1500mmで、日本の多くの立体駐車場でも入庫可能な車幅となっている。特徴的なのは最低地上高で、ファストバックスタイルのハッチバックとしては高めの170mmを確保。クロスオーバーSUV的な要素も与えられていることがわかる。
◆1.2リットルターボ、PHEVともに好フィール
今回の試乗では両タイプに乗ることが叶ったが、PHEVは自分の試乗前の方が電気をすべて使ってしまったため、充電されていない状態での試乗となった。
1.2リットルターボエンジンは3気筒だが、3気筒の悪い部分を一切感じることはなかった。エンジンが発生する振動などは感じずに加速していく。組み合わされるミッションは8速と多段なので、変速ショックはなくスムーズに加速する。EVには走行時がクリーンであるという利点があるが、そのことを考えなければこのユニットの高性能さは素晴らしいものだといえる。排気量が1.2リットルということはもとより、3気筒というレイアウトでこれだけできるのは驚異的なことだ。
一方のPHEVは、こちらも同様に好フィールのパワーユニット。PHEVながらミッションは8速のATを組み合わせている。前述したように電池無し状態での試乗だったが、EV走行はしないとはいえ、加速時にはモーターアシストが効いているはず(エネルギーフロー表示が見つからなかったため、確認はできていない)で、加速感は十分に力強く、アクセルを緩めた際の回生ブレーキもしっかりと効いている感触。一般的なエンジンブレーキよりも高い減速感を味わうことができた。この減速感はエレクトリック、ハイブリッド、スポーツと3つ用意されるモードセレクトのなかでスポーツがもっとも強い印象だった。
◆ビシッと路面をつかむ感覚も気持ちいい
乗り心地のよさと静粛性の高さも408の大きな魅力。今回は運転席だけでなく、後席にも試乗できた。運転席での静粛性の高さはフラッグシップの508にも届くほどのもの。また、ダンピングに関しても初期の当たりが柔らかくその後はシームレスにしっかり感を増していくもので、快適性と安心感を兼ねそなえている。後席も快適だが、ハッチバックのため、路面が荒れている状況のときはタイヤからのノイズが目立つ場面もあった。
タイトなコーナーでキビキビしたコーナリングを披露するだけでなく、大きな回転半径の回り込んだコーナーでビシッと路面をつかむ感覚も気持ちいいものだ。小径ステアリングを操作しながら、傾斜したAピラー越しに見える風景はスポーティでありながら、これが最低地上高170mmを持つクルマなのだ、と考えるとなかなかの感心させられる。
◆補助金と税の減免で魅力の増すPHEV
価格はピュアエンジンモデルのGTが499万円。PHEVのGTハイブリッドが629万円で、パワーユニットによる価格差は130万円。PHEVの場合、国の補助金が45万円、東京都なら都の補助金が40万円の計85万円が補助される。自動車重量税は100%減税、環境性能割は非課税、翌年度の自動車税は75%減でさらに約23万円の優遇。ピュアエンジンモデルも若干の減税はあるが、補助金と税の減免で100万円を超えるとなるとPHEVの魅力もグッと増してくる。
PHEVには急速充電機構はなく、普通充電のみとなるため、自宅や職場などに普通充電器がないとPHEVの恩恵を受けづらいが、搭載するバッテリーの容量が12.4kWと小さく、普段買い物に行くショッピングセンターなどに普通充電器があればそこでの充電も有効。6kW普通充電器ならば2時半程度でゼロから満充電が可能。満充電時のEV走行可能距離は66km(WLTC)と、普段の生活では十分な距離といえる。
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