【レンジローバー スポーツ 新型試乗】乗り心地、ディーゼルの出来、雲泥の差とはこのことか…中村孝仁
先代から『レンジローバースポーツ』は同社のトップモデル『レンジローバー』と同じ、オールアルミ製のモノコックボディへと進化を遂げ、正直なところぱっと見ではわからないほどレンジローバーとよく似たスタイルを持つモデルになった。
とはいえ先代をチョイ乗りした限りでは、それほど良い感触はなく、どうせ買うならやっぱりレンジだよなぁなどと思ったものである。しかしながらプラットフォーム自体は「D7u」と呼ばれたものがどちらにも使われていて、要は味付けが異なっていただけ。それが今回はそのプラットフォームが「MLA-Flex」と呼ばれるものに置き換えられた。
もちろんやはりレンジローバーと共通であるが、このMLA-Flexというプラットフォームがどうやら素晴らしい出来を持っているようで、レンジローバーでもその圧倒的な進化を体感し、今回はレンジローバースポーツでも体感したというわけである。
◆乗り心地、ディーゼルの出来、先代とは雲泥の差
正直に言って、先代とは雲泥の差と言っても過言ではない。先代モデルに乗っているユーザーは不快に感じるかもしれないが、ならば試乗してみると良い。恐らくその進化の深さに驚かされると同時に、すぐにでも乗り換えたい衝動に駆られるかもしれない。余談ながらプラットフォーム自体がかなり重くなっていて(一説には18kg重いとある)、これはBEVに対応するため全体のストラクチャを強化したためと思われるが、この重さは間違いなく乗り心地と剛性感に寄与している。
その乗り心地は例によってレンジローバーとの差異はほとんどないが、スポーツの名が示すようにレンジローバーほどのライドフラット感はなく、ほんの少しだけ締めあげられたサスペンションの性格が路面の繋目や少しラフな舗装を乗り越えた時に顔をのぞかせるものの、やはりレンジローバー同様、抜群の快適さを持っている。
「D300」と名付けられた3リットル直6ターボディーゼルと48VMHEVの組み合わせは、数か月前に試乗したレンジローバーのそれと同じである。しかし、どういうわけかこちらの方がレンジローバーを差し置いてより静粛性が高く感じられたから不思議だ。ディーゼルであることは乗せたすべての人が気付かないほどで、静止状態で例えエンジンがかかっていても、それを認識することはなく、ダイナミックに加速してみたところで、ああディーゼルね…という反応は示さない。
インジニウムと名付けられたそのディーゼルの出来の良さはあのメルセデスの直6ディーゼルにも匹敵するほどの静粛性の高さで、正直なところ驚かされる。申し訳ないが日本で唯一直6ディーゼルを作る某メーカーのそれとはまあ値段も違うから比較してはいけないのかもしれないが、あまりの出来の違いに唖然とさせられるほどだ。
◆「コマンドポジション」は感じられないが
ランドローバーのモデルと言えば、その乗車姿勢をコマンドポジションと言ってウィンドーの下縁がかつては脇腹あたりにあったものだ。最近はそれがサイドインパクトを気にしてか少し上がって、新しいレンジローバーではかなり高くなっている。それでも何となくコマンドポジションの面影を感じたのだが、これがレンジローバ―スポーツになると正直全く感じられない。
そこで、クルマを返却する時に改めてレンジローバーと座り比べてみたのだが、やはり微妙に違って、レンジローバーではコマンドポジションを実感する。見たところほとんど変わりないデザインではあるが、やはり微妙に異なるのか着座位置はレンジローバースポーツの方が囲まれ感が強く、レンジローバーほどの見晴らしの良さを感じない。スポーツのスポーツたる所以であろうか。
サイズは正直デカい。3サイズは全長4960×全幅2005×全高1820mm。とりわけ2mを超える車幅は、多くのガソリンスタンドにある洗車機に入らない。まあ。洗車は手洗い常識!とオーナーから言われてしまいそうだが、取り回しが良いのでそのサイズを感じないものの、こういう時や狭い幅の白線を引いた駐車場などではドカンと居座る印象が強く、その分乗っている身の肩身が狭くなる。まあ、ネガな要素はこれだけか。
どこか避暑地に別荘でも持っていれば、一番欲しいクルマの1台。「どうせ買うならやっぱりレンジだよなぁ」とは全然言えなくなった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
とはいえ先代をチョイ乗りした限りでは、それほど良い感触はなく、どうせ買うならやっぱりレンジだよなぁなどと思ったものである。しかしながらプラットフォーム自体は「D7u」と呼ばれたものがどちらにも使われていて、要は味付けが異なっていただけ。それが今回はそのプラットフォームが「MLA-Flex」と呼ばれるものに置き換えられた。
もちろんやはりレンジローバーと共通であるが、このMLA-Flexというプラットフォームがどうやら素晴らしい出来を持っているようで、レンジローバーでもその圧倒的な進化を体感し、今回はレンジローバースポーツでも体感したというわけである。
◆乗り心地、ディーゼルの出来、先代とは雲泥の差
正直に言って、先代とは雲泥の差と言っても過言ではない。先代モデルに乗っているユーザーは不快に感じるかもしれないが、ならば試乗してみると良い。恐らくその進化の深さに驚かされると同時に、すぐにでも乗り換えたい衝動に駆られるかもしれない。余談ながらプラットフォーム自体がかなり重くなっていて(一説には18kg重いとある)、これはBEVに対応するため全体のストラクチャを強化したためと思われるが、この重さは間違いなく乗り心地と剛性感に寄与している。
その乗り心地は例によってレンジローバーとの差異はほとんどないが、スポーツの名が示すようにレンジローバーほどのライドフラット感はなく、ほんの少しだけ締めあげられたサスペンションの性格が路面の繋目や少しラフな舗装を乗り越えた時に顔をのぞかせるものの、やはりレンジローバー同様、抜群の快適さを持っている。
「D300」と名付けられた3リットル直6ターボディーゼルと48VMHEVの組み合わせは、数か月前に試乗したレンジローバーのそれと同じである。しかし、どういうわけかこちらの方がレンジローバーを差し置いてより静粛性が高く感じられたから不思議だ。ディーゼルであることは乗せたすべての人が気付かないほどで、静止状態で例えエンジンがかかっていても、それを認識することはなく、ダイナミックに加速してみたところで、ああディーゼルね…という反応は示さない。
インジニウムと名付けられたそのディーゼルの出来の良さはあのメルセデスの直6ディーゼルにも匹敵するほどの静粛性の高さで、正直なところ驚かされる。申し訳ないが日本で唯一直6ディーゼルを作る某メーカーのそれとはまあ値段も違うから比較してはいけないのかもしれないが、あまりの出来の違いに唖然とさせられるほどだ。
◆「コマンドポジション」は感じられないが
ランドローバーのモデルと言えば、その乗車姿勢をコマンドポジションと言ってウィンドーの下縁がかつては脇腹あたりにあったものだ。最近はそれがサイドインパクトを気にしてか少し上がって、新しいレンジローバーではかなり高くなっている。それでも何となくコマンドポジションの面影を感じたのだが、これがレンジローバ―スポーツになると正直全く感じられない。
そこで、クルマを返却する時に改めてレンジローバーと座り比べてみたのだが、やはり微妙に違って、レンジローバーではコマンドポジションを実感する。見たところほとんど変わりないデザインではあるが、やはり微妙に異なるのか着座位置はレンジローバースポーツの方が囲まれ感が強く、レンジローバーほどの見晴らしの良さを感じない。スポーツのスポーツたる所以であろうか。
サイズは正直デカい。3サイズは全長4960×全幅2005×全高1820mm。とりわけ2mを超える車幅は、多くのガソリンスタンドにある洗車機に入らない。まあ。洗車は手洗い常識!とオーナーから言われてしまいそうだが、取り回しが良いのでそのサイズを感じないものの、こういう時や狭い幅の白線を引いた駐車場などではドカンと居座る印象が強く、その分乗っている身の肩身が狭くなる。まあ、ネガな要素はこれだけか。
どこか避暑地に別荘でも持っていれば、一番欲しいクルマの1台。「どうせ買うならやっぱりレンジだよなぁ」とは全然言えなくなった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
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