【スバル レヴォーグレイバック 新型試乗】エンジニアの良心を感じずにはいられない…中村孝仁
◆パッと見は「まんまレヴォーグ」だけど
9月7日から予約受付の始まった『レヴォーグレイバック』というモデル。『レヴォーグ』の名が付くように、言ってみれば派生車種である。何でもスバルによれば従来のレヴォーグが少しスポーティーで乗り心地が硬いと感じていた人向けのクルマだそうで、骨格は共有しながらそこかしこに独自のテイストを盛り込んだクルマに仕上がっているという。
パッと見た時は個人的に「なんだ、まんまレヴォーグじゃん」と思ってしまったのだが、写真を撮っているうちにあれ?なんか違うなぁ…という印象に。そこで、現行レヴォーグと2台並べてみて見比べてみると、実に大きく違うことが判明した。とりわけフロントエンドの造形はより顔つきが大きくなって主張が強い。地上高をだいぶかさ上げした結果、全高はレヴォーグに比べて70mmも高くなっているということで、この辺りも並べてみると一目瞭然だった。
エンジンを含むドライブトレーンはレヴォーグと共通だが、足回りのチューニングはだいぶ異なり、レヴォーグに比べて少し控えめのクィックさと、より快適で静かな室内空間を創造しているという。それに内装は上質感を創出したアッシュカラーとカッパー色のステッチを施したシートで、この辺りは明らかにレヴォーグよりも1クラス上を印象付けた。
◆サスペンションストローク+10mmの効果
今回のコースは閉鎖された一般道である。距離は大したことはないのだが片道7分ほどのコースを2往復する。危険回避のため試乗車は全部で4台。先頭がUターン地点に到達すると、残り3台を待って、再び元に戻るというコース設定であるのだが、道は予想していたよりもはるかに荒れていて、2箇所、まあスピードにもよるがほぼフルボトムするバンプがあった。山の稜線を縫うコースなので、関東圏の人は箱根の芦ノ湖スカイラインあたりを想像してもらえば良いだろう。
基本がレヴォーグだから、例えばデュアルピニオンのステアリングやフルインナーフレーム構造のリアの骨格などは共有されている。そのうえで専用の足のチューニングと専用開発されたタイヤが装着される。70mm上がった車高ながら、サスペンションのストローク量は10mm伸びただけということなのだが、やはりレヴォーグと比べると若干ソフト方向に振られていることは感じられる。
◆エンジニアの良心を感じさせるクルマ
後半は、少しスピードを増して走ってみた。その結果が例のフルボトムなわけだが、ソフト化された足回りだが決してロールが大きいわけでもなく、またロール剛性が低いと感じられることもない。実にうまい具合にまとめられていると思う。とにかく本当に見えないところにお金をかけて玄人をうならせるレベルの走行性能と安全性を実現している最近のスバル車に乗ると、本当にエンジニアの良心を感じさせるクルマに仕上がっている。
ただ、欲を言えば設定されたコースが静粛性や快適性を試すには全く不向きで冒頭話したようにフルボトムするようなバンプと荒れた路面に終始して、本来ならより素晴らしい性能を味わえたであろうレイバックの精々半分程度しか、良さが感じられなかったのは残念である。
車高を上げたSUV風モデルとはいえ、スバルでいうなら言わば『アウトバック』の弟分。それでも狙いは都会派だというから、ナンバーが付いた暁にはより快適な道路で走らせてみたいモデルであった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
9月7日から予約受付の始まった『レヴォーグレイバック』というモデル。『レヴォーグ』の名が付くように、言ってみれば派生車種である。何でもスバルによれば従来のレヴォーグが少しスポーティーで乗り心地が硬いと感じていた人向けのクルマだそうで、骨格は共有しながらそこかしこに独自のテイストを盛り込んだクルマに仕上がっているという。
パッと見た時は個人的に「なんだ、まんまレヴォーグじゃん」と思ってしまったのだが、写真を撮っているうちにあれ?なんか違うなぁ…という印象に。そこで、現行レヴォーグと2台並べてみて見比べてみると、実に大きく違うことが判明した。とりわけフロントエンドの造形はより顔つきが大きくなって主張が強い。地上高をだいぶかさ上げした結果、全高はレヴォーグに比べて70mmも高くなっているということで、この辺りも並べてみると一目瞭然だった。
エンジンを含むドライブトレーンはレヴォーグと共通だが、足回りのチューニングはだいぶ異なり、レヴォーグに比べて少し控えめのクィックさと、より快適で静かな室内空間を創造しているという。それに内装は上質感を創出したアッシュカラーとカッパー色のステッチを施したシートで、この辺りは明らかにレヴォーグよりも1クラス上を印象付けた。
◆サスペンションストローク+10mmの効果
今回のコースは閉鎖された一般道である。距離は大したことはないのだが片道7分ほどのコースを2往復する。危険回避のため試乗車は全部で4台。先頭がUターン地点に到達すると、残り3台を待って、再び元に戻るというコース設定であるのだが、道は予想していたよりもはるかに荒れていて、2箇所、まあスピードにもよるがほぼフルボトムするバンプがあった。山の稜線を縫うコースなので、関東圏の人は箱根の芦ノ湖スカイラインあたりを想像してもらえば良いだろう。
基本がレヴォーグだから、例えばデュアルピニオンのステアリングやフルインナーフレーム構造のリアの骨格などは共有されている。そのうえで専用の足のチューニングと専用開発されたタイヤが装着される。70mm上がった車高ながら、サスペンションのストローク量は10mm伸びただけということなのだが、やはりレヴォーグと比べると若干ソフト方向に振られていることは感じられる。
◆エンジニアの良心を感じさせるクルマ
後半は、少しスピードを増して走ってみた。その結果が例のフルボトムなわけだが、ソフト化された足回りだが決してロールが大きいわけでもなく、またロール剛性が低いと感じられることもない。実にうまい具合にまとめられていると思う。とにかく本当に見えないところにお金をかけて玄人をうならせるレベルの走行性能と安全性を実現している最近のスバル車に乗ると、本当にエンジニアの良心を感じさせるクルマに仕上がっている。
ただ、欲を言えば設定されたコースが静粛性や快適性を試すには全く不向きで冒頭話したようにフルボトムするようなバンプと荒れた路面に終始して、本来ならより素晴らしい性能を味わえたであろうレイバックの精々半分程度しか、良さが感じられなかったのは残念である。
車高を上げたSUV風モデルとはいえ、スバルでいうなら言わば『アウトバック』の弟分。それでも狙いは都会派だというから、ナンバーが付いた暁にはより快適な道路で走らせてみたいモデルであった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来46年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。
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