【レクサス RZ 新型試乗】一生モノとして付き合ってもいいのでは?…島崎七生人
レクサス『RZ』のホイールベースは2850mmで、これは『RX』と同数値。ただしそれは奇遇と見るべきで、同じBEVのトヨタ『bZ4X』(ホイールベースは共通)と電動プラットフォームが共通のため……と考えたほうが自然かもしれない。
このRZだが、将来的に(といっても2035年のことだが)BEV専売ブランド化するとされるレクサスにとって初BEVとなるモデル。全長×全幅×全高は4805×1895×1635mmで、サイズ的にはRXより85mm短く、25mm幅が小さく、65mm低い。もちろんコンパクトではないまでも、都心で街中に繰り出すようなシチュエーションでも持て余すことのないサイズだ。
スタイリングは新世代の仕立てで、個人的に昔の(今も?)百貨店のそごうのロゴマークを連想しなくもなかったメッキの縁取りのあのグリルが形骸化し、スピンドルボディへと進化。ボディ全体のプレスラインも相当にスッキリと整理されたことと相まって、従来は“これでもか”だったデザインがだいぶ静かになった点に好感をもつ。
と同時に、いかにもEVでござい!といったアピールは控えめで、フロントフェンダー左右の給電口と「450e」のバッジで、見る人が見ればBEVとわかるクルマになっている。
◆電気仕掛けでもレクサス流儀のインテリア
インテリアは、いわゆるレクサス流儀のデザイン、仕立て、質感だ。電気仕掛けだからといってJR原宿駅の駅舎のように新旧に何の脈絡もなく新デザインに一変されたりしてはいない。後席は背もたれがやや寝ているも、床面がフラットで広々としており、ドア開口が広く乗り降りしやすいのがいいと思った。
操作系も物理スイッチの残存率が高く、なかでもセンターコンソールのシフトセレクターはダイヤルを左右に捻るとDかR、中央を押してN、前方のボタンでPと、わかりやすいロジックと上質な操作感が好ましい。
◆一生モノとして付き合ってもいいのでは?
走りは、この試乗では都心の湾岸エリアをひと回りする程度だったが、第一印象として感じたのはレクサスとBEVの親和性は非常に高いということ。RZ450eはフロントに150kW(203.9ps)/266Nm(27.1kgf・m)、リヤに80kW(109ps)/169Nm(17.2kgf・m)のモーターを搭載、これを総電力量71.4kWhのリチウムイオンバッテリーで駆動する。
もちろん今回の一般公道でその絶対性能をフルに試す機会はなかったが、その動力性能の高さから逆算していった結果の余裕が、クルマをごくスムースにゆったりと走らせているのが理解できた。乗り心地、ステアリングフィールもあくまでもスムースで穏やかだが、このあたりはレクサスの味わいどころ。
唯一ブレーキのタッチについて、踏力とペダルストロークと制動力の関係について人により気になることがあるかも知れないとも感じたが、今や国産車とはいえ800万円のプライスタグがつくだけあり、一生モノとして付き合ってもいいのでは?とさえ思わせられるクルマだった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★
島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。
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