【VW Tロック 新型試乗】500万円超も「桁違いに高い」という時代ではないが…諸星陽一
日本に輸入されているフォルクスワーゲンのSUVのなかで、ボトムから2番目に位置するのが『T-Roc(Tロック)』。今回はそのディーゼルモデルである「TDI」に試乗。仕様は特別仕様車の「ブラックスタイル」だ。
Tロックは2020年から日本への導入されているモデル。当初はディーゼルモデルだけであったが、2021年5月にはガソリンモデルを追加。同年11月に特別仕様車のブラックスタイルを設定した。その後、2022年に内外装を変更するマイナーチェンジ。2023年10月にふたたび特別仕様車のブラックスタイルを設定した。
ブラックスタイルは、グリル下部、ルーフレール、ドアミラー、サイド&リヤのクロームトリムをブラックアウトといったエクステリアへのブラックパーツを採用。ダッシュパッド、エアコンベゼル、インフォテイメントディスプレイ、センターコンソールの加飾をブラックアウト、ルーフライナーをグレーからブラックに変更といったインテリアへのブラックパーツを採用。ホイールは1インチアップした18インチに変更。オプションのディスカバープロ・パッケージ(SSDナビを含むインフォテイメントパック)が標準となる。
ブラックスタイルはガソリン仕様、ディーゼル仕様、そしてガソリンのハイパワー仕様と、3種のパワーユニットが用意されている。今回試乗したのはディーゼル仕様。ターボ過給の4気筒2リットルディーゼルで、150馬力、340Nmのスペックを持つ。
◆生き物のような力強さは内燃機関ならでは
発進トルクの力強さはもちろんなのだが、その際のボディや足まわりのしっかりさにまずは関心させられる。同じタイミングで、フォルクスワーゲン『Tクロス』にも試乗しているが、ボディや足まわりのしっかりさはTロックのほうがずっと上。Tクロスではボディが震え、駆動力も少し逃げているような印象を受けるが、Tロックはそうしたことがない。
そのまま加速を続けていっても全体としてボディのしっかりさを感じる。ディーゼルターボならではのグッと盛り上がるトルク感は、軽快に回転を上げていくガソリンエンジンとは異なるが、内燃機関ならではの生き物のような力強さを感じる。試乗車のTロックはオプションのDCCパッケージが装着されるため、タイヤサイズが225/40R19とワンサイズばかりインチアップされているので、よりシャシに対する負担は大きくなるはずだが、そうしたこともない。
試乗車にはオプションとなるDCCパッケージが装着されていた。DCCパッケージはサスペンションの減衰力やステアリングの重さを変更するもので、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、カスタムをチョイスできる。ワインディングに入り、スポーツを選んでやればしっかりダンピングが効いたサスでのスポーティな走りができる。ステアリングに装備されたパドルシフトによって、マニュアルシフトもできるので、ワインディングで走りを楽しむ要素はしっかりと詰め込まれている。
舞台を高速道路に移すとディーゼルのよさがさらに極まる。ディーゼルは回転数によるトルク変動が少ないので、高速巡航は得意分野だ。ACCの制御もいい。EVのほうが高速巡航時の快適性は高いが、EVは航続距離がバッテリー容量によって左右される。高速道路で安定して長距離を走り、充電(給油)時間を気にすることなく移動できるとなれば、ディーゼルが上となる。
もっとも、日本ではクルマでそこまでの長距離移動をする人はあまりいないということも付け加えておく。
◆「桁違いに高い」という時代ではないものの
Tロック ブラックスタイルの車両本体価格は501万5000円。DCCパッケージが23万1000円なので、試乗車は524万6000円だ。500万円+αの車両価格のクルマが、桁違いに高いという時代ではないものの実際に購入するとなると、ハードルは決して低くない。
価格帯が高いクルマは、どこまで特別感が得られるかが大きなポイントとなる。Tロック ブラックスタイルは、各種の専用パーツによってその特別感をアピールしているが、もう一歩踏み込んだ特別感がほしいと感じる。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★
諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。
Tロックは2020年から日本への導入されているモデル。当初はディーゼルモデルだけであったが、2021年5月にはガソリンモデルを追加。同年11月に特別仕様車のブラックスタイルを設定した。その後、2022年に内外装を変更するマイナーチェンジ。2023年10月にふたたび特別仕様車のブラックスタイルを設定した。
ブラックスタイルは、グリル下部、ルーフレール、ドアミラー、サイド&リヤのクロームトリムをブラックアウトといったエクステリアへのブラックパーツを採用。ダッシュパッド、エアコンベゼル、インフォテイメントディスプレイ、センターコンソールの加飾をブラックアウト、ルーフライナーをグレーからブラックに変更といったインテリアへのブラックパーツを採用。ホイールは1インチアップした18インチに変更。オプションのディスカバープロ・パッケージ(SSDナビを含むインフォテイメントパック)が標準となる。
ブラックスタイルはガソリン仕様、ディーゼル仕様、そしてガソリンのハイパワー仕様と、3種のパワーユニットが用意されている。今回試乗したのはディーゼル仕様。ターボ過給の4気筒2リットルディーゼルで、150馬力、340Nmのスペックを持つ。
◆生き物のような力強さは内燃機関ならでは
発進トルクの力強さはもちろんなのだが、その際のボディや足まわりのしっかりさにまずは関心させられる。同じタイミングで、フォルクスワーゲン『Tクロス』にも試乗しているが、ボディや足まわりのしっかりさはTロックのほうがずっと上。Tクロスではボディが震え、駆動力も少し逃げているような印象を受けるが、Tロックはそうしたことがない。
そのまま加速を続けていっても全体としてボディのしっかりさを感じる。ディーゼルターボならではのグッと盛り上がるトルク感は、軽快に回転を上げていくガソリンエンジンとは異なるが、内燃機関ならではの生き物のような力強さを感じる。試乗車のTロックはオプションのDCCパッケージが装着されるため、タイヤサイズが225/40R19とワンサイズばかりインチアップされているので、よりシャシに対する負担は大きくなるはずだが、そうしたこともない。
試乗車にはオプションとなるDCCパッケージが装着されていた。DCCパッケージはサスペンションの減衰力やステアリングの重さを変更するもので、エコ、コンフォート、ノーマル、スポーツ、カスタムをチョイスできる。ワインディングに入り、スポーツを選んでやればしっかりダンピングが効いたサスでのスポーティな走りができる。ステアリングに装備されたパドルシフトによって、マニュアルシフトもできるので、ワインディングで走りを楽しむ要素はしっかりと詰め込まれている。
舞台を高速道路に移すとディーゼルのよさがさらに極まる。ディーゼルは回転数によるトルク変動が少ないので、高速巡航は得意分野だ。ACCの制御もいい。EVのほうが高速巡航時の快適性は高いが、EVは航続距離がバッテリー容量によって左右される。高速道路で安定して長距離を走り、充電(給油)時間を気にすることなく移動できるとなれば、ディーゼルが上となる。
もっとも、日本ではクルマでそこまでの長距離移動をする人はあまりいないということも付け加えておく。
◆「桁違いに高い」という時代ではないものの
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