【VW ID.4 新型試乗】満充電で618km、本当に走れるの?…岩貞るみこ
今回のワンポイント確認は、「満充電で618km走れるとカタログに書いてあるけれど、エアコンもライトもつけて本当に安心して長距離走れるの?」である。
人生は挑戦だと息巻くわりに、私はビビりである。ゆえに、電気自動車(以下EV)は苦手だ。遠出して途中で帰れなくなったらどうするのだ。それに、私には時間がない(この年齢になるといろんな意味でね)。充電施設優先で旅程を組んでいる場合ではないのである。
でも、ちょっと気になっているのは、『ID.4』の「Pro」が「満充電で618km走れる」と謳っていることだ(Liteは435km)。618kmも走れれば、東京タワーから徳島県の鳴門駅まで行けることになる。さすがにエアコンつけて、ヘッドライトつけて、音楽聞いてと電気を走行以外に使いながらではそうはいかないだろうけれど、でも618kmも走れるのなら、そこそこ安心して走れるのではないだろうか。
というわけで、ちょっとビビりながらの試乗である。
◆えっ、618kmじゃなかったの?
対峙したID.4は、ふっくらとボリュームのある顔つき。横幅は1850mmと昨今の乗用車としてはふつうだけど、このふっくらとボンネットが高いせいでやたら大きく見える。
スタートボタンはあるものの、ドアを開けるだけでスイッチが入り、ブレーキペダルを踏むと走行準備OKになり、そのままアクセルペダルを踏めば加速開始という走り出すまでの流れは、エンジン搭載車にはないシナリオ。この演出だけで、EVであることを実感する。
ハンドルの輪の中に見える速度計などのインパネはハンドルと一体化されており、ドラポジを調整するためにハンドルを上下に動かすといっしょに動く。ゆえに、ハンドルの高さをどんなに調整してもインパネの文字がハンドルに隠れず視認性は抜群だ。さらにシフトレバーは、このインパネ本体の右上に設けられていて、ちょうどハンドルを握った右手の奥あたりという位置。手前や奥にひねって操作するやり方も新しい。
さて、運転席に座り、そのインパネに目をやると、あと何km走れるかの表示が出てきた。
「466km」
えっ、618kmじゃなかったの?
満充電であっても、この前に走っていた走行パターンで電費が計算され走行可能距離が算出されるため、こういう数字になるのである。しかし、618kmと刷り込まれていた身には、ちょっと不安がのしかかる。
◆思わずインパネを二度見する
えーっと、エアコン、消しちゃおうかな。
ビビりな私は思わず、エアコンをオフにする。そうして都内を渋滞にもはまらずに走り始めると、あっという間に走行可能距離は500kmを超えてきた。前の人、どんな運転してたのよ? ここで安心してエアコンをオンにし、気前よく音楽も聞いていこう。大きなナビ画面も、ずーっとApple CarPlayで、煌々と地図を映しっぱなしだ。
その後、渋滞にはまりながらスローペースで一般道を24km走ると、走行可能距離は483kmになる。さらに高速道路に乗ったとたん、ほんの1分もたたないうちに走行可能距離は432kmまで下がって、思わずインパネを二度見する。
高速道路をそのまま25km走り、郊外の道をするすると2kmほど走り、スタートから目的地まで51km走ったところで、走行可能距離は415kmになった。
466km(走行前の残航続距離)-51km(実際の走行距離)=415km(到着時)。
あら、ぴったり!
途中、いきなり数字が上がったり下がったりして、信用ならん! と思っていたけれど、このあたりは、自分のクルマになって乗り慣れたら感覚的につかめそうだ。
◆500km走れと言われるとどきどきしちゃうけれど
乗り心地はというと、ハンドルは思いのほか重め。そして、ブレーキペダルも重い。というか、跳ね返り感が強いのだ。ぐいぐい足の裏を突き上げてくる感じである。そして、重心が低くて安定しているのだけれど、ひとつのタイヤが凹凸を超えると腰から下に直接、響いてくる感じ。これ、もう少し柔らかくいなしてくれるといいんだけど。
だけど、加速はEVならではのスムーズさで、静かだし、サービスエリアでクルマをとめたままちょっと地図を設定するときも、エアコンをかけていてもエンジン音もしないし排気ガスも出さず、罪悪感がないのが嬉しい(どうやって電気を作るかは、この際、おいておく)。
今回は結局、車内外の電化製品をそれなりに使い、116km走って、走行可能距離は364km。電気残量は79%(使用量21%)であった。ということは、このペースで一般道、渋滞、高速、郊外とバランスよく走って400kmは走れるということだ。ふーっ。私の肩に入っていた力が抜けていく。うん、これなら、安心して遠出もできそうだ。
今回のワンポイント確認である「満充電で618km走れるとカタログに書いてあるけれど、エアコンもライトもつけて本当に安心して長距離走れるの?」は、500km走れと言われると、きっとどきどきしちゃうけれど、400kmならばっちり走れる、であった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
人生は挑戦だと息巻くわりに、私はビビりである。ゆえに、電気自動車(以下EV)は苦手だ。遠出して途中で帰れなくなったらどうするのだ。それに、私には時間がない(この年齢になるといろんな意味でね)。充電施設優先で旅程を組んでいる場合ではないのである。
でも、ちょっと気になっているのは、『ID.4』の「Pro」が「満充電で618km走れる」と謳っていることだ(Liteは435km)。618kmも走れれば、東京タワーから徳島県の鳴門駅まで行けることになる。さすがにエアコンつけて、ヘッドライトつけて、音楽聞いてと電気を走行以外に使いながらではそうはいかないだろうけれど、でも618kmも走れるのなら、そこそこ安心して走れるのではないだろうか。
というわけで、ちょっとビビりながらの試乗である。
◆えっ、618kmじゃなかったの?
対峙したID.4は、ふっくらとボリュームのある顔つき。横幅は1850mmと昨今の乗用車としてはふつうだけど、このふっくらとボンネットが高いせいでやたら大きく見える。
スタートボタンはあるものの、ドアを開けるだけでスイッチが入り、ブレーキペダルを踏むと走行準備OKになり、そのままアクセルペダルを踏めば加速開始という走り出すまでの流れは、エンジン搭載車にはないシナリオ。この演出だけで、EVであることを実感する。
ハンドルの輪の中に見える速度計などのインパネはハンドルと一体化されており、ドラポジを調整するためにハンドルを上下に動かすといっしょに動く。ゆえに、ハンドルの高さをどんなに調整してもインパネの文字がハンドルに隠れず視認性は抜群だ。さらにシフトレバーは、このインパネ本体の右上に設けられていて、ちょうどハンドルを握った右手の奥あたりという位置。手前や奥にひねって操作するやり方も新しい。
さて、運転席に座り、そのインパネに目をやると、あと何km走れるかの表示が出てきた。
「466km」
えっ、618kmじゃなかったの?
満充電であっても、この前に走っていた走行パターンで電費が計算され走行可能距離が算出されるため、こういう数字になるのである。しかし、618kmと刷り込まれていた身には、ちょっと不安がのしかかる。
◆思わずインパネを二度見する
えーっと、エアコン、消しちゃおうかな。
ビビりな私は思わず、エアコンをオフにする。そうして都内を渋滞にもはまらずに走り始めると、あっという間に走行可能距離は500kmを超えてきた。前の人、どんな運転してたのよ? ここで安心してエアコンをオンにし、気前よく音楽も聞いていこう。大きなナビ画面も、ずーっとApple CarPlayで、煌々と地図を映しっぱなしだ。
その後、渋滞にはまりながらスローペースで一般道を24km走ると、走行可能距離は483kmになる。さらに高速道路に乗ったとたん、ほんの1分もたたないうちに走行可能距離は432kmまで下がって、思わずインパネを二度見する。
高速道路をそのまま25km走り、郊外の道をするすると2kmほど走り、スタートから目的地まで51km走ったところで、走行可能距離は415kmになった。
466km(走行前の残航続距離)-51km(実際の走行距離)=415km(到着時)。
あら、ぴったり!
途中、いきなり数字が上がったり下がったりして、信用ならん! と思っていたけれど、このあたりは、自分のクルマになって乗り慣れたら感覚的につかめそうだ。
◆500km走れと言われるとどきどきしちゃうけれど
乗り心地はというと、ハンドルは思いのほか重め。そして、ブレーキペダルも重い。というか、跳ね返り感が強いのだ。ぐいぐい足の裏を突き上げてくる感じである。そして、重心が低くて安定しているのだけれど、ひとつのタイヤが凹凸を超えると腰から下に直接、響いてくる感じ。これ、もう少し柔らかくいなしてくれるといいんだけど。
だけど、加速はEVならではのスムーズさで、静かだし、サービスエリアでクルマをとめたままちょっと地図を設定するときも、エアコンをかけていてもエンジン音もしないし排気ガスも出さず、罪悪感がないのが嬉しい(どうやって電気を作るかは、この際、おいておく)。
今回は結局、車内外の電化製品をそれなりに使い、116km走って、走行可能距離は364km。電気残量は79%(使用量21%)であった。ということは、このペースで一般道、渋滞、高速、郊外とバランスよく走って400kmは走れるということだ。ふーっ。私の肩に入っていた力が抜けていく。うん、これなら、安心して遠出もできそうだ。
今回のワンポイント確認である「満充電で618km走れるとカタログに書いてあるけれど、エアコンもライトもつけて本当に安心して長距離走れるの?」は、500km走れと言われると、きっとどきどきしちゃうけれど、400kmならばっちり走れる、であった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。最新刊は「法律がわかる!桃太郎こども裁判」(すべて講談社)。
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