【試乗記】トヨタ・カムリG“レザーパッケージ”(FF/CVT)
イメージチェンジはいい感じ
トヨタ・カムリG“レザーパッケージ”(FF/CVT)
長年にわたって代を重ねてきた、トヨタのFFセダン「カムリ」。「前例のない変革」を掲げて開発された新型は、どんなクルマに仕上がったのか。最上級グレード「G“レザーパッケージ”」に試乗して確かめた。
長年にわたって代を重ねてきた、トヨタのFFセダン「カムリ」。「前例のない変革」を掲げて開発された新型は、どんなクルマに仕上がったのか。最上級グレード「G“レザーパッケージ”」に試乗して確かめた。
パッと見からびっくり
発売直後、パソコン画面で赤いカムリのバナー広告をよく見かけた。
“BEAUTIFUL MONSTER”
英語のキャッチコピーを最初に見たときは、びっくりした。カムリがビューティフルモンスター!? 新型も日本国内は2.5リッターハイブリッドのみだが、地味な印象の先代モデルから突然のイメージチェンジを図ったということなのか。カムリはアメリカで月3万台以上をコンスタントに売る不動のベストセラーカーだが、向こうではこんなキャッチコピーは使われていない。
webCG編集部へクルマを取りに行く。リフトパーキングの扉が開くと、姿を現した試乗車は地味ィなシルバーだった。赤だと思っていたので、拍子抜けする。
しかし、低い位置に付く水平ラインのフロントグリルはスゴイ。“シン・カムリ”という感じだ。ビューティフルかどうかは知らないが、ボンネットに入るプレスラインや、リアクオーター部の造形は新鮮だ。アメリカのデザイン拠点CALTYのアメリカ人デザイナーが手がけたといわれる「C-HR」と同じテイストを感じる。
試乗したのは、G“レザーパッケージ”。本体価格419万5800円の最上級グレードだ。
“BEAUTIFUL MONSTER”
英語のキャッチコピーを最初に見たときは、びっくりした。カムリがビューティフルモンスター!? 新型も日本国内は2.5リッターハイブリッドのみだが、地味な印象の先代モデルから突然のイメージチェンジを図ったということなのか。カムリはアメリカで月3万台以上をコンスタントに売る不動のベストセラーカーだが、向こうではこんなキャッチコピーは使われていない。
webCG編集部へクルマを取りに行く。リフトパーキングの扉が開くと、姿を現した試乗車は地味ィなシルバーだった。赤だと思っていたので、拍子抜けする。
しかし、低い位置に付く水平ラインのフロントグリルはスゴイ。“シン・カムリ”という感じだ。ビューティフルかどうかは知らないが、ボンネットに入るプレスラインや、リアクオーター部の造形は新鮮だ。アメリカのデザイン拠点CALTYのアメリカ人デザイナーが手がけたといわれる「C-HR」と同じテイストを感じる。
試乗したのは、G“レザーパッケージ”。本体価格419万5800円の最上級グレードだ。
スポーツモードでモンスターに
静かで落ち着いた大型セダン。新型カムリハイブリッドで走りだした第一印象である。新世代プラットフォームを採用した4ドアノッチバックボディーは、旧型より大きく、しっかりしている。腰から下だけで路面の凸凹を吸収するドイツ車的なフラット感には欠けるものの、いかにもフットプリントの大きさを感じさせる乗り心地は上等だ。
パワートレインは、新しい直噴2.5リッター4気筒にTHSIIの組み合わせ。先代と比べると、エンジンの最高出力は160psから178psに向上し、一方、モーターの最高出力は143psから120psに抑えられている。
先代のカムリハイブリッドはなかなかの俊足だった。あれと比べると、新型はやや重々しい。最初はそう感じた。モンスターはどこにいるんだよー!? と思ったら、フロアセレクターの近くにあるスポーツモードのボタンを押せばいい。俄然(がぜん)、スロットルレスポンスが鋭くなり、パワーも目に見えて向上する。特にゼロ発進のスタートダッシュは、路面を蹴る前輪タイヤのトレッドがイメージできるくらい力強くなる。パワフルなFF! という感じだ。スポーツモードで走るカムリは、おそらく国産FFハイブリッド最速だと思う。
エンジン始動時のデフォルトは“ノーマル”。ほかに“エコ”があり、ハイブリッドユニットやステアリングの制御を変える。このドライブモード切り替えは、今回の新趣向である。シフトパドルの備えはないが、フロアセレクターにSモードが設けられたのも新しい。短いセレクターをSモードに入れてシーケンシャルシフトをすると、電気式無段変速機を6段ATとしてステップ変速することができる。
「プリウスGT」とか、「アクアGTI」とか、トヨタはなぜハイブリッドで楽しい高性能モデルをつくらないのか。ずっと不思議に思っていた。欧州車はハイブリッドを例外なく“スポーツ”に使っているのに。そういう意味で、新型カムリのこれらの機構は今後の展開に期待を持たせる。
パワートレインは、新しい直噴2.5リッター4気筒にTHSIIの組み合わせ。先代と比べると、エンジンの最高出力は160psから178psに向上し、一方、モーターの最高出力は143psから120psに抑えられている。
先代のカムリハイブリッドはなかなかの俊足だった。あれと比べると、新型はやや重々しい。最初はそう感じた。モンスターはどこにいるんだよー!? と思ったら、フロアセレクターの近くにあるスポーツモードのボタンを押せばいい。俄然(がぜん)、スロットルレスポンスが鋭くなり、パワーも目に見えて向上する。特にゼロ発進のスタートダッシュは、路面を蹴る前輪タイヤのトレッドがイメージできるくらい力強くなる。パワフルなFF! という感じだ。スポーツモードで走るカムリは、おそらく国産FFハイブリッド最速だと思う。
エンジン始動時のデフォルトは“ノーマル”。ほかに“エコ”があり、ハイブリッドユニットやステアリングの制御を変える。このドライブモード切り替えは、今回の新趣向である。シフトパドルの備えはないが、フロアセレクターにSモードが設けられたのも新しい。短いセレクターをSモードに入れてシーケンシャルシフトをすると、電気式無段変速機を6段ATとしてステップ変速することができる。
「プリウスGT」とか、「アクアGTI」とか、トヨタはなぜハイブリッドで楽しい高性能モデルをつくらないのか。ずっと不思議に思っていた。欧州車はハイブリッドを例外なく“スポーツ”に使っているのに。そういう意味で、新型カムリのこれらの機構は今後の展開に期待を持たせる。
最新の安全装備に思う
カムリには「Toyota Safety Sense P」が標準装備される。単眼カメラとミリ波レーダーを使った運転支援システムだ。レーダークルーズコントロールは全車速対応で、前走車をロックオンしていれば、ETCゲートも足操作フリーでやってのける。
最近、装着が進んでいるオートマチックハイビームも付いている。夜のニュータウンに出て、初めて使ってみた。ダッシュボードのスイッチを押し、コラムレバーでヘッドライトを上向きにすると、あとは必要に応じて自動で上/下を切り替える。前走車や対向車があるところでは下向きをキープする。街灯の明かりがあるところでも上向きにはならない。このクルマのシステムはよくコントロールされていたが、一度バイクに「上向きだぞ」とパッシングされ、その直後に下向きに切り替わった。
歩行者や自転車に対しては減光しない。というか、カタログの見出しにもあるとおり、「夜間の歩行者の早期発見に貢献する」のがオートマチックハイビームの大きな目的だ。でも、夜道を歩いているとき、ハイビームに照らされるのはまぶしいし、不愉快である。ここが悩ましいところだが、少しでも早く、多くの情報を取り込むことは、自動運転技術には欠かせない。完全自動運転車というのは、けっこうぶしつけなことをするクルマになるのかもしれない。
最近、装着が進んでいるオートマチックハイビームも付いている。夜のニュータウンに出て、初めて使ってみた。ダッシュボードのスイッチを押し、コラムレバーでヘッドライトを上向きにすると、あとは必要に応じて自動で上/下を切り替える。前走車や対向車があるところでは下向きをキープする。街灯の明かりがあるところでも上向きにはならない。このクルマのシステムはよくコントロールされていたが、一度バイクに「上向きだぞ」とパッシングされ、その直後に下向きに切り替わった。
歩行者や自転車に対しては減光しない。というか、カタログの見出しにもあるとおり、「夜間の歩行者の早期発見に貢献する」のがオートマチックハイビームの大きな目的だ。でも、夜道を歩いているとき、ハイビームに照らされるのはまぶしいし、不愉快である。ここが悩ましいところだが、少しでも早く、多くの情報を取り込むことは、自動運転技術には欠かせない。完全自動運転車というのは、けっこうぶしつけなことをするクルマになるのかもしれない。
「燃費」と「広さ」は大したもの
約260kmを走って、燃費はなんと20.1km/リッター(満タン法)をマークした。車載燃費計も20.2km/リッターを示していた。このサイズのクルマでこの燃費は、さすがトヨタハイブリッドである。
全長4885mm、全幅1850mmのFFセダンだから、室内は広い。後席空間もたっぷりしている。だがせっかく広いのに、リアシートはお尻が落ち過ぎて、前方の見晴らしがきかないのが残念だ。「日産エクストレイル」「スバルXV」「マツダCX-5」といったSUVのほうが、乗り込んでしまえば後席乗員フレンドリーだと思う。
リチウムイオン電池をトランク下から後席床下の低い位置に移した結果、トランク容積は2割増え、後席背もたれを倒して、貫通トランクにすることもできる。「アコードハイブリッド」に対する大きなアドバンテージだ。
このつくりなら、ステーションワゴンもつくれそうである。日本だとセダンはやはり買う人が限られる。高速道路でしばらく右後ろにつけてガン見していったのは、旧型カムリの個人タクシーだった。
ドライブモードのデフォルトを“スポーツ”に設定した“ビューティフルモンスターワゴン”はどうでしょうか。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=菊池貴之/編集=関 顕也)
全長4885mm、全幅1850mmのFFセダンだから、室内は広い。後席空間もたっぷりしている。だがせっかく広いのに、リアシートはお尻が落ち過ぎて、前方の見晴らしがきかないのが残念だ。「日産エクストレイル」「スバルXV」「マツダCX-5」といったSUVのほうが、乗り込んでしまえば後席乗員フレンドリーだと思う。
リチウムイオン電池をトランク下から後席床下の低い位置に移した結果、トランク容積は2割増え、後席背もたれを倒して、貫通トランクにすることもできる。「アコードハイブリッド」に対する大きなアドバンテージだ。
このつくりなら、ステーションワゴンもつくれそうである。日本だとセダンはやはり買う人が限られる。高速道路でしばらく右後ろにつけてガン見していったのは、旧型カムリの個人タクシーだった。
ドライブモードのデフォルトを“スポーツ”に設定した“ビューティフルモンスターワゴン”はどうでしょうか。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=菊池貴之/編集=関 顕也)
テスト車のデータ
トヨタ・カムリG“レザーパッケージ”
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4885×1840×1445mm
ホイールベース:2825mm
車重:1630kg
駆動方式:FF
エンジン:2.5リッター直4 DOHC バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:178ps(131kW)/5700rpm
エンジン最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3600-5200rpm
モーター最高出力:120ps(88kW)
モーター最大トルク:202Nm(20.6kgm)
タイヤ:(前)235/45R18 94W/(後)235/45R18 94W(ブリヂストン・トランザT005A)
燃費:28.4km/リッター(JC08モード)
価格:419万5800円/テスト車=442万8000円
オプション装備:ブラインドスポットモニター<BSM>+リアクロストラフィックアラート<RCTA>+インテリジェントクリアランスソナー<リアクロストラフィックオートブレーキ機能付き>(9万2880円)/おくだけ充電(1万2960円) ※以下、販売店オプション ETC2.0ユニット<ビルトイン>ナビ連動タイプ(3万2400円)/フロアマット<ロイヤルタイプ>(5万1300円)/ドライブレコーダー<DRD-H66>(4万2660円)
テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:2806km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(1)/高速道路(8)/山岳路(1)
テスト距離:259.2km
使用燃料:12.9リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:20.1km/リッター(満タン法)/20.2km/リッター(車載燃費計計測値)
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=4885×1840×1445mm
ホイールベース:2825mm
車重:1630kg
駆動方式:FF
エンジン:2.5リッター直4 DOHC バルブ
モーター:交流同期電動機
トランスミッション:CVT
エンジン最高出力:178ps(131kW)/5700rpm
エンジン最大トルク:221Nm(22.5kgm)/3600-5200rpm
モーター最高出力:120ps(88kW)
モーター最大トルク:202Nm(20.6kgm)
タイヤ:(前)235/45R18 94W/(後)235/45R18 94W(ブリヂストン・トランザT005A)
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価格:419万5800円/テスト車=442万8000円
オプション装備:ブラインドスポットモニター<BSM>+リアクロストラフィックアラート<RCTA>+インテリジェントクリアランスソナー<リアクロストラフィックオートブレーキ機能付き>(9万2880円)/おくだけ充電(1万2960円) ※以下、販売店オプション ETC2.0ユニット<ビルトイン>ナビ連動タイプ(3万2400円)/フロアマット<ロイヤルタイプ>(5万1300円)/ドライブレコーダー<DRD-H66>(4万2660円)
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