【試乗記】ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”(FF/CVT)

ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”(FF/CVT)【試乗記】

いい手応えはあるものの

ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”(FF/CVT)

この夏、現行モデルとなってから初のマイナーチェンジを受けた「ダイハツ・ムーヴ」。軽量・高剛性のボディー構造をいち早く採用し、走りを含む“基本性能のレベルアップ”をうたって登場したその実力は今も健在か? 最上級モデルの試乗を通して確かめた。

軽のCVTがこんなにイイとは!

マイナーチェンジにより、各所に細かく手が加えられたインテリア。ドアアームレストやドアトリムのデザインが変更されたほか、オーディオパネルもよりスリムな形状となっている。
マイナーチェンジにより、各所に細かく手が加えられたインテリア。ドアアームレストやドアトリムのデザインが変更されたほか、オーディオパネルもよりスリムな形状となっている。
「カスタム」の最上級グレード「RS“ハイパーSA III”」では、装飾パネルのデザインがディープマルーンの幾何学模様に変更された。
「カスタム」の最上級グレード「RS“ハイパーSA III”」では、装飾パネルのデザインがディープマルーンの幾何学模様に変更された。
標準車の「Xターボ“SA III”」と「カスタム」の「RS“ハイパーSA III”」に搭載される、KF型3気筒ターボエンジン。64psの最高出力と92Nmの最大トルクを発生する。
標準車の「Xターボ“SA III”」と「カスタム」の「RS“ハイパーSA III”」に搭載される、KF型3気筒ターボエンジン。64psの最高出力と92Nmの最大トルクを発生する。
6代目となる現行型「ムーヴ」は2014年12月に登場。走りや燃費を含めた「基本性能のレベルアップ」が重視されており、軽さと剛性の高さを追求したダイハツの新世代ボディー構造「Dモノコック」が初めて採用された。
6代目となる現行型「ムーヴ」は2014年12月に登場。走りや燃費を含めた「基本性能のレベルアップ」が重視されており、軽さと剛性の高さを追求したダイハツの新世代ボディー構造「Dモノコック」が初めて採用された。
このムーヴのイイところ。ヨカッタところ。最初にあげるとしたら、それはパワートレインのドライバビリティーである。内燃機関+CVTの物件がこれだけ運転しやすいとは……って感じでちょっとビックリ。技術の進歩なのか考えかたが変わったのか、どういう理由でこうできたのかはわからない。わからないけれど、内燃機関+CVTの日本車のパワートレインがどれもこれくらい運転しやすかったらそれは非常にメデタイ。そういえば「スズキ・スイフト」のCVTのも悪くなかった。んー。ジャーナリストの皆さんが「ラバーバンドフィールがー!!」とか書き続けてきたことの成果……だろうか。

どこがどうイイかというと、ひとつには、運転手のあずかり知らないところで勝手にウニョウニョ変速しまくる感じがないのがイイ。ホントはやっているのかもしれないけれど、気にならない。いまこれだけアクセルペダルを踏み込んだら、このぐらいの加速をしてくれる。そのへんのお約束というか操作と結果の関係がわかりやすいのもイイ。要するに、フツーである。フツーじゃないのがアタリマエになってしまっている状況だと、フツーであることがほんとにありがたい。ちょっと加速の要求レベルが高いとすぐにパオーン!! で、高速道路の下り坂では勝手にどんどんスピードが上がっちゃう。アクセルペダルの裏側に右足の爪先を突っ込んで戻したくなる(笑)。そういうのが軽のCVTつき物件だと思っていたけれど、気がつけばずいぶん……ということなのか? やりゃあ、できるじゃん。

CVT関係の印象がイイということは、エンジンも相応にイイ。変速の制御だけでやれることなんて、おそらくタカが知れている。ほしいときにほしいだけのチカラが出てくれないと。その点、軽のターボは有利といえる。排気量660ccということで負荷が常に高いところへもってきて、パワーの上限は「自主規制」の64ps。つまり、ちっこい排気タービンがビンビンに回っているときが多い。レスポンス的に有利。でもそれはずっと前からそうなワケで、だからやっぱり、ダイハツのパワートレイン屋さんたちが頑張っているのだと思いたい。こないだ借りた「ミラ イース」(ということは当然ターボなし+CVT)も悪くなかったし。

マイナーチェンジにより、各所に細かく手が加えられたインテリア。ドアアームレストやドアトリムのデザインが変更されたほか、オーディオパネルもよりスリムな形状となっている。
マイナーチェンジにより、各所に細かく手が加えられたインテリア。ドアアームレストやドアトリムのデザインが変更されたほか、オーディオパネルもよりスリムな形状となっている。
「カスタム」の最上級グレード「RS“ハイパーSA III”」では、装飾パネルのデザインがディープマルーンの幾何学模様に変更された。
「カスタム」の最上級グレード「RS“ハイパーSA III”」では、装飾パネルのデザインがディープマルーンの幾何学模様に変更された。
標準車の「Xターボ“SA III”」と「カスタム」の「RS“ハイパーSA III”」に搭載される、KF型3気筒ターボエンジン。64psの最高出力と92Nmの最大トルクを発生する。
標準車の「Xターボ“SA III”」と「カスタム」の「RS“ハイパーSA III”」に搭載される、KF型3気筒ターボエンジン。64psの最高出力と92Nmの最大トルクを発生する。
6代目となる現行型「ムーヴ」は2014年12月に登場。走りや燃費を含めた「基本性能のレベルアップ」が重視されており、軽さと剛性の高さを追求したダイハツの新世代ボディー構造「Dモノコック」が初めて採用された。
6代目となる現行型「ムーヴ」は2014年12月に登場。走りや燃費を含めた「基本性能のレベルアップ」が重視されており、軽さと剛性の高さを追求したダイハツの新世代ボディー構造「Dモノコック」が初めて採用された。

ブレーキが普通なことのありがたみ

フロントまわりでは、新意匠のバンパーやメッキフロントグリル、新開発の多灯薄型LEDヘッドランプなどが、マイナーチェンジ後のモデルの特徴となっている。
フロントまわりでは、新意匠のバンパーやメッキフロントグリル、新開発の多灯薄型LEDヘッドランプなどが、マイナーチェンジ後のモデルの特徴となっている。
リアまわりでは、スモーククリアタイプのインナーレンズを用いたリアコンビネーションランプが新たに採用された。
リアまわりでは、スモーククリアタイプのインナーレンズを用いたリアコンビネーションランプが新たに採用された。
機能面でのトピックは、運転支援システムに最新の「スマートアシストIII」が採用されたことで、自動緊急ブレーキが歩行者にも対応するなど、既存のシステムから機能が大幅に強化されている。
機能面でのトピックは、運転支援システムに最新の「スマートアシストIII」が採用されたことで、自動緊急ブレーキが歩行者にも対応するなど、既存のシステムから機能が大幅に強化されている。
パワートレイン関係でもうひとつ。スタート&ストップつまりアイドリング停止機構のウザさがグッと減っているのも印象に残った。まだ走行中なのに勝手にエンスト……はしない感じ。それとブレーキ関係。停止に向けての減速中、踏力一定&制動G一定のブレーキングをエンジンブレーキ(というかパワートレインの都合による前後方向のGの変動←CVTにありがち)がジャマする感じ……がない。ほほー。ちゃんと踏力をかけて制動Gを出す感じもわりあいあって、だから左足ブレーキ(筆者はあまり慣れてない)がやりやすかった。

いまの日本車の……とあえていうけれど、ブレーキはほんとにヒドい。ペダルにかける踏力の加減でもって制動Gをコントロールするという基本のキが、それこそアサッテどころか異次元のどこかへいっちゃってる感じ。「だからやっぱ自動ブレーキでしょ!!」とジャーナリストの皆さんはいうかもしれないけれど(笑)、人力ブレーキがフツーに扱いやすいことは大事である。ものすごく。踏み応えだけだとアクセルペダルかブレーキペダルかワカランようなのは、それはクルマとして根本的にどうかしている(ほとんどクレイジー)。ブレーキペダルは踏力メイン。アクセルペダルはストローク。

フツーじゃないのがすっかりアタリマエになってしまっている状況で、このムーヴのブレーキは、この程度でもすごくありがたい。そういえば、こないだのミラ イースも……。とにかく、いいぞダイハツ!! もっと踏力をかけて自信をもって踏める方向でやってくれ!! なお、日本車じゃなかったらいまのクルマのブレーキはヒドくなくてどれもバッチリかというと、そうとはかぎりません。

フロントまわりでは、新意匠のバンパーやメッキフロントグリル、新開発の多灯薄型LEDヘッドランプなどが、マイナーチェンジ後のモデルの特徴となっている。
フロントまわりでは、新意匠のバンパーやメッキフロントグリル、新開発の多灯薄型LEDヘッドランプなどが、マイナーチェンジ後のモデルの特徴となっている。
リアまわりでは、スモーククリアタイプのインナーレンズを用いたリアコンビネーションランプが新たに採用された。
リアまわりでは、スモーククリアタイプのインナーレンズを用いたリアコンビネーションランプが新たに採用された。
機能面でのトピックは、運転支援システムに最新の「スマートアシストIII」が採用されたことで、自動緊急ブレーキが歩行者にも対応するなど、既存のシステムから機能が大幅に強化されている。
機能面でのトピックは、運転支援システムに最新の「スマートアシストIII」が採用されたことで、自動緊急ブレーキが歩行者にも対応するなど、既存のシステムから機能が大幅に強化されている。

ステアフィールにムラがある

試乗車のボディーカラーには、マイナーチェンジで新たに設定された「レーザーブルークリスタルシャイン」が用いられていた。
試乗車のボディーカラーには、マイナーチェンジで新たに設定された「レーザーブルークリスタルシャイン」が用いられていた。
ステアリングホイールは標準車、「カスタム」ともにターボ車のみ革巻き、その他のグレードはウレタン製となる。
ステアリングホイールは標準車、「カスタム」ともにターボ車のみ革巻き、その他のグレードはウレタン製となる。
ステアリングホイールの右スポークには、エンジンのスロットル開度を上げ、回転数を高めに保つパワーモードスイッチが備わる。
ステアリングホイールの右スポークには、エンジンのスロットル開度を上げ、回転数を高めに保つパワーモードスイッチが備わる。
ディーラーオプションのメモリーナビやオーディオユニットなどを収める、ダッシュボード上部のオーディオパネル。今回の改良では、ナビゲーションシステムのモニターに自車の俯瞰(ふかん)映像を表示する「パノラマモニター」がオプション設定された。
ディーラーオプションのメモリーナビやオーディオユニットなどを収める、ダッシュボード上部のオーディオパネル。今回の改良では、ナビゲーションシステムのモニターに自車の俯瞰(ふかん)映像を表示する「パノラマモニター」がオプション設定された。
アクセル関係、ブレーキ関係ときて、じゃあ次はハンドル関係でしょうか。一番大事な直進付近の手応えは、少なくとも日本車の電動パワステ物件としてはそこそこかもっとよくできている。真ん中は固着したみたいにガチッとしていて、そこからヨイショと動かすと、手応えがスカッと抜ける。本来のというかナマのハンドルの手応えやその変化のしかたとは真逆パターンなそういうのがアリガチななかで、このムーヴのはまあフツーだった。進路の管理がやりにくくないタイプ。真っすぐ走らせるのが難しくないタイプ。高速道路を巡航していて「おいオマエ、そっちじゃないよ」で慌てて(最初の一瞬はグイッと、ただし直後に手応えが抜けるのに注意しながら)修正舵。そういうことにはならなかった。クルマの進路を安定させるにあたってキモになるのはリアなので、そういうことでいうと後ろアシも相応にしっかりできていると考えられる。

もし重ステだったら、ハンドルの手応えはどうなるか。コレコレこういうときにはカルくて、コレコレこういうときにはグッと重たくなる。そのへんのことを考えながら運転しているとわかることに、このムーヴの電動パワーステアリングのハンドルの手応え、わりかし合っているっぽい。だからきっと、それなりに気をつかって仕上げてあるのだと思う。ということで、またもや、いいぞ!!

ただし……というか、例えば朝イチの、まだタイヤがあったまっていないとき。ハンドルを動かしてタイヤに角度がついてもスッとグリップが立ち上がらないからトルクセンサーのトーションバーがちゃんとねじられなくて……ということだと思われることに、アシストがスッと入らなくてフリクションが気になる。直進付近の進路の管理がぎこちなくなる。で、「昨日と違うぞ」。その状態がしばらく続く。電動パワステ物件あるある系の話ではあるけれど、でもちょっと目立つ。気になる。

試乗車のボディーカラーには、マイナーチェンジで新たに設定された「レーザーブルークリスタルシャイン」が用いられていた。
試乗車のボディーカラーには、マイナーチェンジで新たに設定された「レーザーブルークリスタルシャイン」が用いられていた。
ステアリングホイールは標準車、「カスタム」ともにターボ車のみ革巻き、その他のグレードはウレタン製となる。
ステアリングホイールは標準車、「カスタム」ともにターボ車のみ革巻き、その他のグレードはウレタン製となる。
ステアリングホイールの右スポークには、エンジンのスロットル開度を上げ、回転数を高めに保つパワーモードスイッチが備わる。
ステアリングホイールの右スポークには、エンジンのスロットル開度を上げ、回転数を高めに保つパワーモードスイッチが備わる。
ディーラーオプションのメモリーナビやオーディオユニットなどを収める、ダッシュボード上部のオーディオパネル。今回の改良では、ナビゲーションシステムのモニターに自車の俯瞰(ふかん)映像を表示する「パノラマモニター」がオプション設定された。
ディーラーオプションのメモリーナビやオーディオユニットなどを収める、ダッシュボード上部のオーディオパネル。今回の改良では、ナビゲーションシステムのモニターに自車の俯瞰(ふかん)映像を表示する「パノラマモニター」がオプション設定された。

このピッチングは要改善

標準車、「カスタム」ともども、FF車のサスペンションには前後ともにスタビライザーが装備されている(4WD車はフロントのみ)。
標準車、「カスタム」ともども、FF車のサスペンションには前後ともにスタビライザーが装備されている(4WD車はフロントのみ)。
「カスタム」に装備されるメッキリング付きの自発光式メーター。中央にはカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイが装備される。
「カスタム」に装備されるメッキリング付きの自発光式メーター。中央にはカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイが装備される。
軽乗用車ならではの充実した収納スペース。すっきりと収納できるよう、ダッシュボードの助手席側にはオープントレーではなくフタ付きのインパネボックスが備わっている。
軽乗用車ならではの充実した収納スペース。すっきりと収納できるよう、ダッシュボードの助手席側にはオープントレーではなくフタ付きのインパネボックスが備わっている。
燃費性能についてはデビュー当初から変更はなく、仕様に応じて25.6~31.0km/リッターとなっている(JC08モード)。
燃費性能についてはデビュー当初から変更はなく、仕様に応じて25.6~31.0km/リッターとなっている(JC08モード)。
ハンドル操作に対するロールの感じは、ダイアゴナル系……といっていいと思われる。ダイアゴナルロールとはすなわち、フロントの旋回外輪へ向かって車体がナナメに沈みこんでいくロール(クルマを前荷重の状態にしてハンドルを切れば自然とそうなる、ともいえる)。どちらかというとハンドルを切るのと同時にフロントのロールが発生する系ではあるけれど、ただしグラッとはこない。抑えが効いている。車両の向きが変わり始めるところで後ろがガッと引っ掛かる感じもなくて、切りはじめから切り増しから切り終わりまでのつながりもよい。ハンドルを完全に真っすぐに戻さないとロールが戻りきらないイヤな感じは別になかった……と思う。なので、これはこれでアリ。ハンドルを切るとスッと姿勢が変わって向きが変えやすい感じがあってしっかり感もあって、ワインディングロードを元気よく走ったら、けっこう楽しいのではないか。

「でもこれ、惜しいなあ!!」なのは、乗り心地。簡単にいうと、ピッチングが気になる。フロントのアシが伸びているときにリアは沈んでる。またはその逆。それがピッチング。前後のアシが呼吸を合わせて同じ方向に伸びたり縮んだりして車体が地面と平行に上下に動けば、それはバウンシング。車体の上下動がピッチングにならなくて、常にバウンシング。そういうクルマはめったにないけれど、でもこのムーヴのピッチング(だと思う)はちょっと気になる。だから「惜しい!!」。

ピッチングを伴う車体の上下動の周波数がちょっと高いというか気になりやすいところにある、というのがひとつ。勢いよく沈み込んで反転して、伸びの途中でキュッと止まる、というのもあった(後ろアシ)。ダンパーの圧側の減衰を上げきれないぶんを伸び側に盛ってしまう、日本車にすごくありがちなタイプだと思われる。とにかく、長距離長時間乗っても疲れない系の乗り心地の典型的な例……ではないことは間違いない。それどころか今回、試乗していてクルマ酔いしそうになった。というか、間違いなく酔った。少なくとも気持ち悪くはなった。そのまま乗り続けていたら、なぜか症状が治まったけれど。

標準車、「カスタム」ともども、FF車のサスペンションには前後ともにスタビライザーが装備されている(4WD車はフロントのみ)。
標準車、「カスタム」ともども、FF車のサスペンションには前後ともにスタビライザーが装備されている(4WD車はフロントのみ)。
「カスタム」に装備されるメッキリング付きの自発光式メーター。中央にはカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイが装備される。
「カスタム」に装備されるメッキリング付きの自発光式メーター。中央にはカラー液晶のマルチインフォメーションディスプレイが装備される。
軽乗用車ならではの充実した収納スペース。すっきりと収納できるよう、ダッシュボードの助手席側にはオープントレーではなくフタ付きのインパネボックスが備わっている。
軽乗用車ならではの充実した収納スペース。すっきりと収納できるよう、ダッシュボードの助手席側にはオープントレーではなくフタ付きのインパネボックスが備わっている。
燃費性能についてはデビュー当初から変更はなく、仕様に応じて25.6~31.0km/リッターとなっている(JC08モード)。
燃費性能についてはデビュー当初から変更はなく、仕様に応じて25.6~31.0km/リッターとなっている(JC08モード)。

大筋ではイイのだけれど……

「RS“ハイパーSA III”」に装備される、シルバーステッチの入った合成皮革とファブリックのコンビシート。今回のマイナーチェンジでは、シート表皮も変更されている。
「RS“ハイパーSA III”」に装備される、シルバーステッチの入った合成皮革とファブリックのコンビシート。今回のマイナーチェンジでは、シート表皮も変更されている。
リアシートは左右独立してのリクライニングおよびスライド調整、格納が可能となっている。
リアシートは左右独立してのリクライニングおよびスライド調整、格納が可能となっている。
荷室まわりでは、後席のスライドレバーをシートバックに設置。荷室側から後席のスライド調整を可能とすることで、利便性を改善している。(写真をクリックすると、シートの倒れる様子が見られます)
荷室まわりでは、後席のスライドレバーをシートバックに設置。荷室側から後席のスライド調整を可能とすることで、利便性を改善している。
タイヤサイズは「RS“ハイパーSA III”」のみ165/55R15、その他のグレードは、標準車、「カスタム」ともに155/65R14となっている。
タイヤサイズは「RS“ハイパーSA III”」のみ165/55R15、その他のグレードは、標準車、「カスタム」ともに155/65R14となっている。
上部のふらつきを抑え、小型車並みの安定した走りを追求したという現行型「ムーヴ」。空力性能の改善も図られており、Cd値は先代モデルより10%低くなっている。
上部のふらつきを抑え、小型車並みの安定した走りを追求したという現行型「ムーヴ」。空力性能の改善も図られており、Cd値は先代モデルより10%低くなっている。
あと気になったのは、車内のニオイ。発生源はシートに使われているビニールレザー。それがクルマ酔いのしやすさを助長している印象があった。それと、オトシン環境。ある種のというかあるメーカーの日本車に乗っているとありがちなことなのだけど、「うわ、風邪ひいたっぽい!!」のときの感じと似た感じになったときがあった。寒くもないのにゾクゾクしてくるというか、あるいは痛感神経がムキだしになって微風でも肌に当たると不快というか。おそらく客室内にこもっている振動を浴び続けたことによる影響なのだろうけど、クルマ酔いっぽくなったときがあったことに関しては、いわゆる乗り心地よりも実はこれが大きかったかもしれない。でも常にそうなっていたわけではないところが不思議というか、かえってメンドくさい。常にそうなら、はっきり「こんなのダメー!!」といえるから。

ちなみに。この「うわ、風邪ひいたっぽい!!」になるオトシン環境、筆者は個人的に“ト○タお化け”と呼んでいる。そのスジの某専門家によると、お化けの出やすさには温度条件(それもどうやら、外気温というよりはクルマの)なんかも関係してくるという。それと、温度条件といえば、タイヤ。この銘柄にありがちなこととして、時間帯(昼か夜か)によるものもふくめた外気温や路面温度や熱の入りかた等で乗り心地や手応えやオトシンの印象がイロイロと変わる……気がする。タイヤなんだからどれもそうだといえばそうかもしれないけれど、どれが本来の姿なのかちょっとわからない感じ。路面や車速もふくめて各種の条件がピタリとツボにはまると「うおーすげえ!!」になったりするのだろうか。

えー、ドライビングポジション。簡単にいうと、ペダルが近くてハンドルが遠い。ミラ イース(現行型)に乗ったときは、そうじゃなくなっていたのでオッと思った。今回は、「そうそう。これが従来のダイハツ流」。運転席のシートのデキは悪くなかった。パッと座って、モジモジしないでそのまんま……が、できていたかできていなかったかでいうと、できていたと思う。

という感じで今回のムーヴ、いくつかイイ手応えを感じさせてくれた。大筋「ヨッシャー!!」ではあった……といいたい気持ちはあるけれど、自信をもってドーンと推奨できるかというと、まだちょっと。

(文=森 慶太/写真=向後一宏/編集=堀田剛資)

「RS“ハイパーSA III”」に装備される、シルバーステッチの入った合成皮革とファブリックのコンビシート。今回のマイナーチェンジでは、シート表皮も変更されている。
「RS“ハイパーSA III”」に装備される、シルバーステッチの入った合成皮革とファブリックのコンビシート。今回のマイナーチェンジでは、シート表皮も変更されている。
リアシートは左右独立してのリクライニングおよびスライド調整、格納が可能となっている。
リアシートは左右独立してのリクライニングおよびスライド調整、格納が可能となっている。
荷室まわりでは、後席のスライドレバーをシートバックに設置。荷室側から後席のスライド調整を可能とすることで、利便性を改善している。(写真をクリックすると、シートの倒れる様子が見られます)
荷室まわりでは、後席のスライドレバーをシートバックに設置。荷室側から後席のスライド調整を可能とすることで、利便性を改善している。
タイヤサイズは「RS“ハイパーSA III”」のみ165/55R15、その他のグレードは、標準車、「カスタム」ともに155/65R14となっている。
タイヤサイズは「RS“ハイパーSA III”」のみ165/55R15、その他のグレードは、標準車、「カスタム」ともに155/65R14となっている。
上部のふらつきを抑え、小型車並みの安定した走りを追求したという現行型「ムーヴ」。空力性能の改善も図られており、Cd値は先代モデルより10%低くなっている。
上部のふらつきを抑え、小型車並みの安定した走りを追求したという現行型「ムーヴ」。空力性能の改善も図られており、Cd値は先代モデルより10%低くなっている。

テスト車のデータ

ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”
ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”
ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”

ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3395×1475×1630mm
ホイールベース:2455mm
車重:850kg
駆動方式:FF
エンジン:0.66リッター直3 DOHC 12バルブ ターボ
トランスミッション:CVT
最高出力:64ps(47kW)/6400rpm
最大トルク:92Nm(9.4kgm)/3200rpm
タイヤ:(前)165/55R15 75V/(後)165/55R15 75V(ブリヂストン・エコピアEP150)
燃費:27.4km/リッター(JC08モード)
価格:162万5400円/テスト車=190万9167円
オプション装備:ボディーカラー<レーザーブルークリスタルシャイン>(2万1600円)/パノラマモニター対応カメラ(3万4200円) ※以下、販売店オプション ETC車載器<エントリーモデル>(1万7280円)/カーペットマット<高機能タイプ、グレー>(2万5553円)/8インチメモリーナビ<標準プランA>(18万5134円)

テスト車の年式:2017年型
テスト開始時の走行距離:156km
テスト形態:ロードインプレッション
走行状態:市街地(3)/高速道路(7)/山岳路(0)
テスト距離:278.0km
使用燃料:17.0リッター(レギュラーガソリン)
参考燃費:16.4km/リッター(満タン法)/18.2km/リッター(車載燃費計計測値)


ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”
ダイハツ・ムーヴカスタムRS“ハイパーSA III”

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