【試乗記】マツダ・ロードスターRF RS(FR/6MT)/ロードスターRF VS(FR/6AT)
- マツダ・ロードスターRF RS(FR/6MT)/ロードスターRF VS(FR/6AT)
“軽いヤツ”にはかなわない
マツダが「ロードスター」と「ロードスターRF」に“商品改良”を実施。中でもハードトップのRFは、デビューからわずか1年半のクルマには常識破りともいえるほど大規模な改修を受けている。正式発売前のプロトタイプモデルに試乗し、その進化の度合いを探った。
2リッターエンジンをロードスターに最適化
現行4代目マツダ・ロードスター(ND型)の発売から3年、シリーズに改良が施された。
安全性能面では、歩行者検知機能付きシティーブレーキや、AT誤発進抑制制御が全車標準装備になった。新色ブラウンのソフトトップやタンの内装色が加わった。ロードスターらしいところでは、ステアリングに前後約3cmの調整シロを持つテレスコピック機構を追加した。
だが、今回のメインテーマはハードトップモデル“RF”用2リッターエンジンの大幅なリファインである。
開発スタッフいわく「モデルチェンジレベルの変更」の例を挙げると、ピストンを27g、コンロッドを41g軽量化した。それに合わせてクランクシャフトのバランスを取り直した。吸排気系を見直して、よりたっぷり空気を吸い、排気ロスの少ないエンジンにした。こうした手当てで、許容回転数は従来の6800rpmから7500rpmに上がり、最高出力は158psから184psに、最大トルクは200Nmから205Nmに向上している。
たしかにモデルチェンジ級といっていいステップアップだが、決して数値ありきではない。NDロードスターでの3年間の知見をもとにして、スポーツカーとしての“質感”を向上させるために2リッターユニットを全力で磨き上げたら、スペックがこうなった、というのがマツダの説明だ。
型式名“PE”の2リッター4気筒は、日本仕様ロードスターではRFの専用にして唯一のエンジンだが、海外市場ではこちらがメインである。つまりワールドワイドでは一番数が出るロードスター用エンジンである。“SKYACTIV-G 2.0”としておなじみのPEユニットに、P5(1.5リッター)の技術と同じ考え方を盛り込んで、高回転高出力化を図った。簡単に言うと、2リッターのほうもロードスター用に最適化したというわけである。
安全性能面では、歩行者検知機能付きシティーブレーキや、AT誤発進抑制制御が全車標準装備になった。新色ブラウンのソフトトップやタンの内装色が加わった。ロードスターらしいところでは、ステアリングに前後約3cmの調整シロを持つテレスコピック機構を追加した。
だが、今回のメインテーマはハードトップモデル“RF”用2リッターエンジンの大幅なリファインである。
開発スタッフいわく「モデルチェンジレベルの変更」の例を挙げると、ピストンを27g、コンロッドを41g軽量化した。それに合わせてクランクシャフトのバランスを取り直した。吸排気系を見直して、よりたっぷり空気を吸い、排気ロスの少ないエンジンにした。こうした手当てで、許容回転数は従来の6800rpmから7500rpmに上がり、最高出力は158psから184psに、最大トルクは200Nmから205Nmに向上している。
たしかにモデルチェンジ級といっていいステップアップだが、決して数値ありきではない。NDロードスターでの3年間の知見をもとにして、スポーツカーとしての“質感”を向上させるために2リッターユニットを全力で磨き上げたら、スペックがこうなった、というのがマツダの説明だ。
型式名“PE”の2リッター4気筒は、日本仕様ロードスターではRFの専用にして唯一のエンジンだが、海外市場ではこちらがメインである。つまりワールドワイドでは一番数が出るロードスター用エンジンである。“SKYACTIV-G 2.0”としておなじみのPEユニットに、P5(1.5リッター)の技術と同じ考え方を盛り込んで、高回転高出力化を図った。簡単に言うと、2リッターのほうもロードスター用に最適化したというわけである。
従来型との違いは歴然
発売に先立って、クローズドサーキットで新型RFにチョイ乗りした。用意されたのは、MTとAT。いずれも登録前のプロトタイプで、伊豆修善寺サイクルスポーツセンターの周回路(5.1km)を数周した。比較のために、同じ変速機の従来型RFもセットで試乗できた。
まず技術説明会で開発スタッフの熱いプレゼンテーションを聞いてから、新旧のRFを乗り比べる。そんなお膳立てのパーフェクトさを差し引いても、新型2リッターエンジンの進化は明らかだった。
フルスロットルを与えると、旧型MTは6800rpmで頭打ちになるが、新型は7600rpmあたりまで回る。2速の最高速は、これまでの90km/h+から100km/hちょうどに伸びた。もともとPEユニットは、1.5リッターよりモリモリしたトルクを感じさせるエンジンだったが、新型は守備範囲が上に広がって、高回転でもより軽やかに回るようになった。今回、足まわりに変更はないが、エンジンのフィールにつられてフットワークまで少し軽くなったように感じた。
排気音もよくなっている。これまではわりとガーガーしたエンジン音だけが耳についたが、新型ではちょっと生意気な芯のある排気音が届くようになった。サイレンサーの内部構造を変更して、スポーツカーらしい音質に“調律”した成果である。
テレスコピックステアリングは、試し忘れた。身長が低いので、筆者はいままでロードスターのハンドルに前後のリーチ調整が必要だと感じたことはない。主に海外市場からの要請だろう。チルト機構と違ってステアリングシャフトを設計変更することになるが、構造部材の検討で700g弱の重量増加に収めることができたため、導入に踏み切ったという。いずれにしても1.5リッターからあるライトウェイトスポーツカーにはぜいたくな装備である。
まず技術説明会で開発スタッフの熱いプレゼンテーションを聞いてから、新旧のRFを乗り比べる。そんなお膳立てのパーフェクトさを差し引いても、新型2リッターエンジンの進化は明らかだった。
フルスロットルを与えると、旧型MTは6800rpmで頭打ちになるが、新型は7600rpmあたりまで回る。2速の最高速は、これまでの90km/h+から100km/hちょうどに伸びた。もともとPEユニットは、1.5リッターよりモリモリしたトルクを感じさせるエンジンだったが、新型は守備範囲が上に広がって、高回転でもより軽やかに回るようになった。今回、足まわりに変更はないが、エンジンのフィールにつられてフットワークまで少し軽くなったように感じた。
排気音もよくなっている。これまではわりとガーガーしたエンジン音だけが耳についたが、新型ではちょっと生意気な芯のある排気音が届くようになった。サイレンサーの内部構造を変更して、スポーツカーらしい音質に“調律”した成果である。
テレスコピックステアリングは、試し忘れた。身長が低いので、筆者はいままでロードスターのハンドルに前後のリーチ調整が必要だと感じたことはない。主に海外市場からの要請だろう。チルト機構と違ってステアリングシャフトを設計変更することになるが、構造部材の検討で700g弱の重量増加に収めることができたため、導入に踏み切ったという。いずれにしても1.5リッターからあるライトウェイトスポーツカーにはぜいたくな装備である。
乗らなきゃよかった……
以前、試乗記にも書いたとおり、2リッターのRFは、よくいえば豪快な、わるくいえばちょっと大味な旦那仕様のロードスターだった。それが今回の変更で明確に改良され、より小股の切れ上がったクルマになった。
会場に1台、ソフトトップの「Sスペシャルパッケージ」が来ていた。今回の試乗プログラムにはなかったが、最後に1周だけ乗せてもらう。
動き出すなり、乗らなきゃよかったと思った。よくなったRFと比べても、1.5リッター幌(ほろ)モデルの軽さは歴然である。すでに6700km走っている媒体向け広報車だが、エンジンは軽いし、ノーズも軽い。ヒラヒラ感も一枚うわてだ。NDロードスターは、これよこれよこれなのよ。
ソフトトップの最軽量モデルが990kgであるのに対して、RFは一番軽いグレードでも1100kgある。絶対重量の違いだけでなく、RFはボディーの“上”が重い。ヒラヒラ感のような動きの品質感において、RFがソフトトップにかなわないのは仕方ない。同じソフトトップボディーで、輸出向けの2リッターと1.5リッターを比べたときと、同じエンジン(海外には1.5リッターのRFもある)でソフトトップとRFを比べたとき、後者のほうが運転感覚の差が大きいそうだ。
日本でのRFの販売比率は、3~4割。意外や健闘している。ソフトトップでは8割がMTを選ぶが、RFは半々だという。
新しくなったこの2リッターエンジンをソフトトップにも積む予定は、「絶対にないかと言われると困る」けれど、「ない」そうだ。初代NAからロードスターチームにいる開発スタッフにその理由を聞くと、併売することで、1.5リッターがエントリーモデルと思われることが不本意なのだと言った。それは本音だろう。今回、旦那仕様ロードスターはますます商品価値を高めたが、NDの神髄は、おきて破りの排気量ダウンサイジングと軽量化を成し遂げた1.5リッターのソフトトップにあるにきまっているのだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
会場に1台、ソフトトップの「Sスペシャルパッケージ」が来ていた。今回の試乗プログラムにはなかったが、最後に1周だけ乗せてもらう。
動き出すなり、乗らなきゃよかったと思った。よくなったRFと比べても、1.5リッター幌(ほろ)モデルの軽さは歴然である。すでに6700km走っている媒体向け広報車だが、エンジンは軽いし、ノーズも軽い。ヒラヒラ感も一枚うわてだ。NDロードスターは、これよこれよこれなのよ。
ソフトトップの最軽量モデルが990kgであるのに対して、RFは一番軽いグレードでも1100kgある。絶対重量の違いだけでなく、RFはボディーの“上”が重い。ヒラヒラ感のような動きの品質感において、RFがソフトトップにかなわないのは仕方ない。同じソフトトップボディーで、輸出向けの2リッターと1.5リッターを比べたときと、同じエンジン(海外には1.5リッターのRFもある)でソフトトップとRFを比べたとき、後者のほうが運転感覚の差が大きいそうだ。
日本でのRFの販売比率は、3~4割。意外や健闘している。ソフトトップでは8割がMTを選ぶが、RFは半々だという。
新しくなったこの2リッターエンジンをソフトトップにも積む予定は、「絶対にないかと言われると困る」けれど、「ない」そうだ。初代NAからロードスターチームにいる開発スタッフにその理由を聞くと、併売することで、1.5リッターがエントリーモデルと思われることが不本意なのだと言った。それは本音だろう。今回、旦那仕様ロードスターはますます商品価値を高めたが、NDの神髄は、おきて破りの排気量ダウンサイジングと軽量化を成し遂げた1.5リッターのソフトトップにあるにきまっているのだ。
(文=下野康史<かばたやすし>/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
テスト車のデータ
マツダ・ロードスターRF RS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3915×1735×1245mm
ホイールベース:2310mm
車重:1100kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:184ps(135kW)/7000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)205/45R17 84W/(後)205/45R17 84W(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:15.8km/リッター(WLTCモード)
価格:386万6400円/テスト車=424万4400円
オプション装備:【ブレーキ フロント】ブレンボ製ベンチレーテッドディスク&ブレンボ製対向4ピストンキャリパー:レッド塗装+【ブレーキ リア】キャリパー:レッド塗装+205/45R17 84Wタイヤ&17×7JインチBBS製鍛造アルミホイール:ブラックメタリック塗装(32万4000円)/2トーンルーフ<ピアノブラック>(5万4000円)
テスト車の年式:--年型
テスト車の走行距離:1273km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
マツダ・ロードスターRF VS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3915×1735×1245mm
ホイールベース:2310mm
車重:1130kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:184ps(135kW)/7000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)205/45R17 84W/(後)205/45R17 84W(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:15.2km/リッター(WLTCモード)
価格:373万1400円/テスト車=410万9400円
オプション装備:【ブレーキ フロント】ブレンボ製ベンチレーテッドディスク&ブレンボ製対向4ピストンキャリパー:レッド塗装+【ブレーキ リア】キャリパー:レッド塗装+205/45R17 84Wタイヤ&17×7JインチBBS製鍛造アルミホイール:ブラックメタリック塗装(32万4000円)/2トーンルーフ<ピアノブラック>(5万4000円)
テスト車の年式:--年型
テスト車の走行距離:1084km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3915×1735×1245mm
ホイールベース:2310mm
車重:1100kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段MT
最高出力:184ps(135kW)/7000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)205/45R17 84W/(後)205/45R17 84W(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:15.8km/リッター(WLTCモード)
価格:386万6400円/テスト車=424万4400円
オプション装備:【ブレーキ フロント】ブレンボ製ベンチレーテッドディスク&ブレンボ製対向4ピストンキャリパー:レッド塗装+【ブレーキ リア】キャリパー:レッド塗装+205/45R17 84Wタイヤ&17×7JインチBBS製鍛造アルミホイール:ブラックメタリック塗装(32万4000円)/2トーンルーフ<ピアノブラック>(5万4000円)
テスト車の年式:--年型
テスト車の走行距離:1273km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
マツダ・ロードスターRF VS
ボディーサイズ:全長×全幅×全高=3915×1735×1245mm
ホイールベース:2310mm
車重:1130kg
駆動方式:FR
エンジン:2リッター直4 DOHC 16バルブ
トランスミッション:6段AT
最高出力:184ps(135kW)/7000rpm
最大トルク:205Nm(20.9kgm)/4000rpm
タイヤ:(前)205/45R17 84W/(後)205/45R17 84W(ブリヂストン・ポテンザS001)
燃費:15.2km/リッター(WLTCモード)
価格:373万1400円/テスト車=410万9400円
オプション装備:【ブレーキ フロント】ブレンボ製ベンチレーテッドディスク&ブレンボ製対向4ピストンキャリパー:レッド塗装+【ブレーキ リア】キャリパー:レッド塗装+205/45R17 84Wタイヤ&17×7JインチBBS製鍛造アルミホイール:ブラックメタリック塗装(32万4000円)/2トーンルーフ<ピアノブラック>(5万4000円)
テスト車の年式:--年型
テスト車の走行距離:1084km
テスト形態:トラックインプレッション
走行状態:市街地(--)/高速道路(--)/山岳路(--)
テスト距離:--km
使用燃料:--リッター(ハイオクガソリン)
参考燃費:--km/リッター
マツダ・ロードスター関連記事
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-
-
-
スズキ『スイフト』新型のツートンカラーが「オートカラーアウォード2024」特別賞に
2024.12.21
-
最新ニュース
-
-
ホンダ『プレリュード』、米国でも25年ぶりに復活へ…次世代ハイブリッド車として2025年投入
2024.12.22
-
-
-
名機・A型エンジン搭載の歴代『サニー』が集結…オールサニーズ・ミーティング
2024.12.22
-
-
-
軽自動車サイズの布製タイヤチェーン「モビルシュシュ」が一般販売開始
2024.12.22
-
-
-
スバル「ゲレンデタクシー」5年ぶり開催へ、クロストレックHVが苗場を駆ける
2024.12.22
-
-
-
「カスタマイズは人生に彩りを与える」、東京オートサロン2025のブリッツは『MFゴースト』推し
2024.12.22
-
-
-
ヒョンデの新型EV『インスター』、東京オートサロン2025で日本初公開へ
2024.12.22
-
MORIZO on the Road